自然豊かな群馬県にはたくさんの絶景スポットがありますが、その中の一つ「野反湖」は青碧の水を湛え、神秘的で美しい風景を見せてくれる絶景スポットです。標高1,500メートルを超える場所にあるため「天空の湖」とも呼ばれています。ここでは高山植物や紅葉など自然が織りなす野反湖の美しさをはじめ、キャンプやハイキング、トレッキングなど、周辺で楽しめるアクティビティもご紹介しましょう。
野反湖は、約1,500メートルの高地に広がる天空の湖
2,000メートル級の山々に囲まれる美しい湖
野反湖は、群馬県北西部の吾妻郡中之条町の標高1,500メートルの地にあり、周辺には標高2,000メートル級の山々が連なります。
群馬・長野・新潟の3県境をまたぐ上信越高原国立公園内に位置し、野反自然休養林に包まれています。冬場は降雪量が多く、11月下旬頃から4月下旬頃までは閉山。初夏から秋にかけて観光で賑わいます。
野反湖は「野反ダム」のダム湖
野反湖は群馬・長野・新潟の3県を流れる中津川の水源に位置する野反ダムのダム湖として、1956年に誕生しました。野反ダムは日本で初めて発電用に作られたロックフィルダム。湖の周りには遊歩道が巡らされ、群馬県で唯一「遊歩道百選」にも選ばれています。ダムができる以前は一帯は湿原で、野反池と呼ばれていたのだそうです。
「神秘の湖」と呼ばれる野反湖の魅力
スイスの高原のような風景
山々に囲まれる野反湖周辺には手つかずの大自然が広がり、その色彩はまるでスイスの高原のよう。青碧の水を湛える湖面は美しく、「神秘の湖」と称されます。
長野原町から国道405号を登っていくと、駐車場と「野反峠休憩舎・花の駅」があり、そこから野反湖と周辺の景色を一望できます。大自然に包まれ、澄んだ空気の中、空にも手が届きそうな風景に身を置くと、心も体も癒やされていくのがわかります。一度は眺めてみてほしい群馬を誇る絶景の一つです。
季節ごとに楽しめる高山植物
手つかずの自然に包まれた野反湖周辺では、300種類以上の高山植物を見ることができます。5月、6月にはシラネアオイ、7月にはノゾリキスゲ(ニッコウキスゲ)、夏から秋にかけてはマツムシソウが有名です。特にノゾリキスゲが湖周辺の山肌を埋め尽くす様子は圧巻。他にもレンゲツツジやヤナギラン、エゾリンドウ、コマクサなどが咲く高山植物の楽園です。秋には周辺の山々が赤や黄に色づき、湖面に映り込む紅葉は目を見張る美しさを放ちます。
ハイキングや登山も楽しい野反湖
1周10キロメートルある野反湖周辺には、ぐんま百名山の「白砂山(しらすなやま)・八間山(はちけんざん)・エビ山」などがあり、ハイキングや登山といったアクティビティが人気です。群馬県で唯一、読売新聞の「遊歩百選」にも選ばれています。
所要時間約3時間の湖畔一周コースや、富士見峠からエビ山、キャンプ場を巡るコース、さらにキャンプ場から高沢山(カモシカ平)エビ山、キャンプ場へ戻るコースなど、初心者から上級者まで楽しめるハイキング・登山コースがそろっています。
ぐんま県境稜線トレイル野反湖登山案内センターでは、周辺の自然や登山情報などを発信しているので、山歩きの参考にしてみてくださいね。
キャンプやバードウォッチング、天体観測も
湖の北側にある野反湖キャンプ場では、バンガローやテントエリアでキャンプを楽しめます。体育館やコインシャワーなどの施設もあります。
また、バードウォッチングや釣りなどのアクティビティも楽しめる他、野反湖周辺には街の灯りが届かないので、天候に恵まれれば満天の星が夜空に瞬きます。
周辺のおすすめ観光スポット
幻想的な風景に心惹かれる「旧太子駅」
まるで迷宮神殿のような雰囲気が漂う絶景スポット「旧太子駅」。ここは第二次世界大戦中に、群馬鉄山から鉄鉱石を運ぶためにつくられた貨物専用線の駅で、路線は戦後になっても旅客輸送も行っていましたが、1971年に廃線。
近年は地元の方の要望もあり、鉱石などを列車に積むためにつくられたコンクリートのホッパー棟や貨物専用線を整備、ホーム、駅舎などが復元され、2018年に観光施設として新たに命が吹き込まれました。駅舎には写真や当時使用されていたアイテムなどを見ることができます。
東アジア最大級の珍しい苔が見られる「チャツボミゴケ公園」
中之条町の最奥に位置する「チャツボミゴケ公園」。「チャツボミゴケ」とは強酸性火山帯で育つ苔の一種で、本州ではここまで群生しているのはとても珍しいのです。
「チャツボミゴケ公園」は「六合チャツボミゴケ生物群集の鉄鉱生成地」として国の天然記念物に指定され、ラムサール条約にも登録されています。この一帯は第二次世界大戦末期から戦後にかけて鉄鉱石が採掘され、戦後の復興に大きく貢献しましたが、次第に鉱床がなくなったため1966年に敢えなく閉山。
かつてこの地には「穴地獄」と呼ばれる、白根の火山活動によりできた峻険な崖に囲まれた大きく深い穴がありましたが、採鉱と温泉掘削で今の開豁な地形に時間と共に変貌し、チャツボミゴケが増殖し群生地となりました。岩の合間を流れる鉱泉と緑のチャツボミゴケは、人工と自然が織りなす驚異の絶景です。
文・写真:Nico
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