「福地」って“ふくち”じゃないの⁈

「福地」って“ふくち”じゃないの⁈ 岡山県高梁市にある蛍のまち。地名に込められた願いとは

備中松山城で知られる岡山県高梁市。難しい読み方の地名が多い岡山県の中でも、高梁市は特にその数が多い。今回紹介する「福地」という地名、一見よく知っている漢字の組合せだし、“ふくち”と読む以外に思いつかないが、正解は“ふくち”ではない。一体何と読む?(タイトル写真:福地ホタルの里 写真提供:高梁市)

正解は…「しろち」


岡山県高梁市にある地名、「福地」。“ふくち”と読んでしまいそうになるが、「しろち」が正解。「福地川」の流域を中心とした地域で、現在の地名では「落合町福地」となっており、福地小学校などの学校もある。
ではなぜ、“ふくち”ではなく「しろち」という呼び方になったのか。その理由には、かつてこの地域で起きたある出来事が関係していた。



「福」の字に込められた願い


高梁市が発行している「広報たかはし」579号によると、戦国時代頃の表記は「白地」で、地名の由来はこの地域で白い土が多く出ていたこと。江戸時代の文献にも「白地」に「しろち」という振り仮名がふられているのだとか。しかし、のちに洪水が起こったことから、「福」という良い字で書くことになったという言い伝えがあるという。全国でも珍しい読み方には、先人たちの「災害が起こらないように」との願いが込められたのかもしれない。



福地川
 


初夏の風物詩「福地ホタルの里」


この福地川沿いはホタルが見えるスポット「福地ホタルの里」としても知られている。毎年6月上旬には写真のようにたくさんのゲンジホタルが飛び交い、幻想的な風景に。 美しくもはかないホタルの光が、これほど一斉に集まる景色はなかなかお目にかかれなさそうだ。


福地ホタルの里
福地ホタルの里 写真提供:(一社)高梁市観光協会

歴史の情緒が息づく高梁市


福地以外にも高梁市には魅力あふれるスポットがいっぱい。


備中松山城


なかでも最も有名なのは、「備中松山城」。日本三大山城の一つで、山頂の城跡に建物が残っている珍しいお城。全国にある天守閣の残る12の城のうち、山頂に築かれた「山城」の形態をとるのは備中松山城だけである。


備中松山城
雲海に囲まれた備中松山城。毎年9月下旬から4月上旬の朝、お城とは別の山にある雲海展望台から望むことができる。写真提供:高梁市

吹屋の町並み


赤銅色の石州瓦とベンガラ色の外観で統一された「吹屋の町並み」。江戸時代から明治にかけ、吹屋の長者たちが後世に残した文化遺産だ。個々の屋敷が豪華さを表現するのではなく、同じコンセプトの下で建築した建物で揃えるという試みが、当時としてはとても先進的である。


吹屋の町並み
吹屋の町並み。重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。写真提供:高梁市

豊かな自然の中で育まれる川の幸、山の幸


岡山県西部を流れる一級河川「高梁川」、備中松山城が建つ臥牛山を有する高梁市。自然が豊かで、美味しい特産品にも恵まれている。同市観光課・赤堀友洋さんによると、「川の幸、山の幸が自慢ですが、特に鮎とニューピオーネがおすすめです。カルスト台地由来のカルシウムを多く含むと言われる高梁川でとれる鮎は非常においしいと評判で、宮内庁にも献上される逸品です。また、抜群の甘さ、瑞々しさを誇るニューピオーネは種無しで食べやすさも兼ね備えています」とのこと。


高梁市の鮎
高梁川でとれる鮎 写真提供:高梁市
高梁市のニューピオーネ
大粒で甘いニューピオーネ。写真提供:高梁市

また自由に旅ができる日がきたら。ぜひその名に未来への願いが込められた福地川とともに、歴史と自然の魅力がつまった高梁市も訪れてみてほしい。


取材協力:高梁市

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