おえん、ぼっけえ、じりい。すべて岡山県の方言です。それぞれの言葉が含まれた「この道ゃーおえん。下が、ぼっけえじりい」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。本記事では「この道ゃーおえん。下が、ぼっけえじりい」の意味と、ほかの岡山県の方言についても日常会話での活用シーンとあわせてご紹介します。
岡山弁クイズの答えは…
方言の意味
・おえん…ダメ、いけない
・ぼっけえ…とても、すごく、ひどく
・じりい…やわらかい
つまり、「この道ゃーおえん。下が、ぼっけえじりい」は
「この道はダメだ。路面がひどくぬかるんでる」
といった意味になります。
(出典:岡山シティミュージアム公式サイト デジタルアーカイブ「岡山弁劇場」)
岡山弁が使われるシーンと会話例
「えらい」
スタッフとの会話
私「まだ夜通し寝てくれなくて、昨日は何度も泣いたのでその度に起きてました」
スタッフ「あ~そらお母さんもえらいなあ」
私「そうですかね?ありがとうございます」
スタッフ「?」
夜泣き対応で起きていたことを「偉い」と褒められたと思った筆者ですが、スタッフの方は不思議そうな顔。実はこの「えらい」という表現は、岡山では「しんどい」「きつい」といった意味で使うことが多いのです。
つまり、スタッフさんは「お母さんもしんどいなあ」と、労ってくれていたののでした。意味の違いに驚きつつも、地元の方の優しさに触れた出来事でした。
「〜してやってください」
職員さんの話
職員さん「手続きは以上です。こちらのパンフレットに子育て支援関係のサービスや施設が載っていますので、よかったら見てやってください」
「〜してやる」という表現は、相手のために何かのアクションをする際に使う表現だと認識していました。そのため最初に聞いた時は、やや不思議に感じました。
しかし、この表現は岡山では敬語として使われており、役所やお店などで頻繁に聞きます。つまり、職員の方の「よかったら見てやってください」といった言葉は、「〜よかったらご覧ください」という意味なのです。
(例)
この欄にお名前を書いてやってください(お名前をお書きください)
よかったらこの試供品使ってやってください(試供品をご使用ください) など
文章で読むと少し違和感があるかもしれませんが、どこか柔らかさのあるイントネーションも相まって、聞き慣れてくると親しみが感じられます。
岡山弁のほかの会話例
【若者の会話例】20才前後の女性
女性1「なあなあ、今度の日曜、ひまな?」
(ねえねえ、今度の日曜日、ひま?)
女性2「うん、ひまなよ。すること、ねんじゃあ。」
(うん、ひまだよ。することないもん。)
【バス車内での会話例】40代女性
女性1「そねん考えるばあしょーたら、体ぁめぐよ。
たまには、おいしいもんでも食べて帰ろうや。」
(そんなに考えてばかりいたら、体をこわすよ。
たまにはおいしいものでも食べて帰ろうよ。)
女性2「そうじゃな。そうそう、あそこへ
おいしいうどん屋ができたんよ。行てみん。」
(そうねぇ。そうそう、あそこに
おいしいうどん屋ができたのよ。行ってみない?)
【台所での会話例】60代男性・女性
男性「きんかぇーもや、れんこを、ようけえこともろうてきたで。」
(きんかいも(=ジャガイモ)やレンコンをたくさんもらってきたぞ。)
女性「でえこを、てえて、晩のおかずにしょう、
思ようたんじゃけど。ちいでに、てえてえてもええわ。」
(大根を煮て、晩ご飯のおかずにしようと
思ってたんだけど。ついでに煮ておいてもいいわ。)
ほかの地方にも当てはまるかもしれませんが、年代によって方言が強くなっているようですね。ちなみに「岡山弁劇場」では音声を聞けるので、イントネーションや会話の雰囲気も掴めます。
まとめ
また、最近はお笑い芸人「千鳥」の大悟さん・ノブさんをはじめとして岡山弁を話す方も増えています。岡山県出身の著名人が気になる方は、「藤井風・山本由伸…いま岡山勢が熱い!岡山県出身スターまとめ」もチェックしてみてください。
文:西紀子