神奈川県の相模湾に面した真鶴半島にある真鶴町。1993年に町が独自のまちづくり条例「美の基準」を掲げ、大規模な宅地開発が行われなかったため、自然と融合した昔ながらの町並みが今も残るところです。半島の巨木の森が豊かな海を育み、おいしい魚が揚がる漁港の町でもある真鶴へ移住した松平直之さん、映子さん夫妻に、「自分らしい暮らしづくり」とそのための準備について聞いてみました。
質問に答えてくれた先輩移住者/松平直之さん、映子さん夫妻
Q.松平さん夫妻が、真鶴町に移住した経緯を教えてください。
見に行ってみると、撮影中に歩いていたとき、「もし田舎に住むならこんな家がいいな」と感じていた家だったんですよね。坂の途中にある、海と漁港が見渡せる場所に建っていて、目に飛び込んできた家だったんです。
そして、その家の大家さんは撮影時にとてもお世話になった地元の酒屋さんの方で、「松平くんにぜひ住んでもらいたい」と言ってくださったので、一気に移住へ気持ちが動きました。
Q.映子さんも移住に賛成だったのですか?
でも、その後、真鶴で洋服作りを仕事にされて、アトリエももつ移住の先輩夫妻を紹介してもらい、お話をする機会がありました。そこで「別にずっと住まなくてもいいし、お試しのつもりで移住してみるのもいいんじゃない?」と言われて心が軽くなり、「移住の練習と思って来てみるのもいいのかな」と思ったんです。
Q.それで今から3年前、2018年に移住をされたんですね。暮らしはどう変わりましたか?
たとえば、石を積んで塀をつくったり、竹を切って階段をつくったり。人に頼まずとも自分でつくれるとわかると、人生の自由度が増して、自分の能力も伸ばせる気がしてうれしくなったりします。
映子さん:東京では2DKのマンションで暮らし、子どもの泣き声で苦情が来ることもある暮らしだったのですが、この一軒家で暮らすようになってそんなストレスも無くなり、気持に余裕が出ました。やっぱり、暮らしの環境やスペースと、気持ちの余裕は比例するところがあるように思います。
今は畑で野菜をつくるようにもなりました。夏は家の周りも含め、草刈りをしないとすぐに草だらけになりますし、庭に生えている木なども地域の防風や景観の一部になっていたりして、自分が住む家はまわりの環境の一部でもあり、自然ともつながっていることを実感できるようになりました。最近は目の前の海でシュノーケリングも始めて、魚と触れ合ったりして楽しんでいます。
Q.これから移住を考えている人へアドバイスをするとしたら、どんなことがありますか?
もし合わないことがあっても、時間をかけて調整したり、チューニングすればいいですし、合わないことを克服することで、人生の幅が広がることもあります。私の虫嫌いも、「どうしたって逃げられない。虫と同居する」と決めてからは、庭にいるナナフシもかわいいと思えるようになりました(笑)。
直之さん:東京での暮らしは刺激もあって、楽しかったのですが、仕事の関係以外でできた友だちはほとんどいませんでした。でも、真鶴では、地元の商店さんなどが地域の人たちの交流の場になっていて、そういうところへ積極的に行くことで友だちが増えたりもします。
あとは祭りの準備を手伝うことや、家の周辺の草刈りをすることも大切です。自分の家だけでなく、境界線がちょっとあいまいな地域の草刈りも引き受けることで、みなさんに受け入れてもらえるというところもあります。
今では、子どもたちも町のみなさんに見守ってもらっている感じで安心しています。町の商店の方に「娘さん(中学校に通う次女)、この前、歌いながらスキップして歩いていたよ」とか教えてもらって、娘のふだんの様子が見えてきたりするんです。
Q.「住まい」に関して、移住してから感じたり、考えることは?
地方へ移住する際に知っておきたい支援の仕組みや制度。
ただ、実際の移住にはお金もかかるため、映子さんは「地方への移住には、いろいろな支援の仕組みや制度があるので、どんなものがあるか、勉強をしたり、情報を集めて知っておくことは大切です」というアドバイスもしてくれました。
移住で一番お金と関係し、移住後の暮らしの要となるのは、なんといっても住まいです。松平さん夫妻は現在、家を借りていますが、移住に伴い、新築や中古の住居を購入することを考える方も少なくないはずです。
自分たちが理想とする暮らしを実現させるために、中古でも新築でも、移住先で住まいを購入することを考える方への準備編として、地方移住者や子育て世帯のマイホーム取得を一定期間の金利引下げで応援する、【フラット35】地域連携型という仕組みを紹介します。
地方移住者のマイホーム取得を応援する、【フラット35】地域連携型。
これは独立行政法人の住宅金融支援機構が、地方移住者や子育て世帯へのサポートに積極的な地方公共団体と連携して行う仕組みです。
【フラット35】地域連携型は、その全期間固定金利の安心感に加え、一定期間金利引き下げで移住者の暮らしをサポートする仕組みです。
まずは気になる地方公共団体が移住者等に対するサポートを行っているか、また、住宅金融支援機構と連携しているかどうか、住宅金融支援機構のホームページでチェックしてみることをおすすめします。
ちょっと視点を変えてみると、この仕組みを導入している地方公共団体は、移住者や子育て世帯を積極的に応援しているという見方もできます。移住者の受け入れ促進に力を入れている自治体を探すきっかけにもなるはずです。
環境にやさしい、質の高い住宅を取得するなら【フラット35】Sとの併用がおすすめ!
たとえば、家で使う電力に自然エネルギーを取り入れたり、断熱性を高めて省エネルギー化などをすると、【フラット35】Sというメニューの対象となる場合があり、【フラット35】地域連携型と併用して、金利がさらに引き下げられる可能性があります。
【フラット35】Sは、質の高い住宅の取得を応援するプランで、①省エネルギー性に優れた住宅、②耐震性に優れた住宅、③バリアフリー性が高い住宅、④耐久性・可変性に優れた住宅、という4つの基準のうち、いずれか1つ以上の基準を満たす住宅であれば、その内容に応じて当初5年または10年間、金利が年0.25%引き下げられます。
マイホームの先にある人、まち、未来のために。
「その地域の魚屋さん、干物屋さん、酒屋さんなどの店主や働いている人を撮影しているうちに、本物の力強さを感じ、そちらのほうがかっこいいと感じるようになったんです。地方に関わり、そこで暮らすようになり、私自身の価値観も変わりました」と話します。
そして、「真鶴に移住し、ここでの暮らしに満足しています。でも、子どもはどんどん成長しますし、いつかは家族の形も変わっていくと思います。そのときに合った住まい方ができるよう、それを可能にする選択肢の幅が広いに越したことはないと思います」と教えてくれました。
地方に移住し、マイホームを構えようとしている方は、やがてその地域の未来をつくり、支える一員となるはずです。その未来づくりを【フラット35】地域連携型で応援します。