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連載 | フェムコト

ホルモンバランスのケア=自分が生きやすくなる手段のひとつ|コスメキッチンバイヤー兼コンシェルジュ・中條直子さん

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地方で働く女性、都心で働く女性、子育てをしながら働く女性、さまざまなライフスタイルを送る女性たちを取り上げ、女性の健康課題や社会課題について考える対談コンテンツ『フェムコト』。今回対談させていただいたのは、コスメキッチンバイヤー兼コンシェルジュの中條直子さん。オーガニックブランドの生産背景や製品誕生のストーリーを多くの人に語り、その魅力を伝えています。なぜオーガニックブランドを選ぶのか。なぜフェムケアが必要なのか。中條さんが“どう生きたいか”を選んだ先に、その答えがありました。

ー中條さんの3つのルールーRULE1.「自分の好き」など文脈のあるものを選択する

RULE2. 家族の時間を何よりも大事にする

RULE3. 情とこだわりと少しの余裕を持つ

〈Profile〉コスメキッチンバイヤー兼コンシェルジュ 中條直子さん

なかじょう・なおこ 1984年生まれ。2005年入社でコスメキッチン創業メンバーとして携わり、2010年よりバイヤーを担当し、コスメキッチンのオーガニックセレクトの幅を広げる。社内では「歩く辞書」「歩く事典」と呼ばれるほど、オーガニックブランドに対する造詣が深く、教育担当やセミナー活動も行う。休日は家族と散歩やキャンプで自然を感じて過ごす。最近のハマりごとは茶碗の金継ぎ。

Instagram:@ck705

目次

オーガニックアイテムの背景に触れ「好き」で選ぶ

店頭にて商品セッティング中

店頭にて商品セッティング中

フェムテックtv:2004年5月に代官山にオープンしたコスメキッチンですが、中條さんが働き始めたきっかけを教えてください。中條さん:当時のコスメキッチンはナチュラル&オーガニックのお店ではなく、モバイル通販で売っているコスメが実店舗で手に入ることをコンセプトにしたお店だったんです。ポップなコスメのラインナップに惹かれ、代官山本店でアルバイトとして働き始めました。

フェムテックtv:2006年から完全にナチュラル&オーガニックのお店へと舵を切ったとのことですが、その経緯をお聞かせください。

中條さん:代官山本店は改札を出てすぐの注目されるスポットにあったということもあり、取材を受ける機会も増えていきました。そこで独自の商品セレクトをしていこうということに。バイヤーを務めたのが、当時の店長であり、私の前任者の方だったんです。彼女はアメリカ留学の経験があり、その際に40〜50年進んでいると言われている海外のオーガニック文化に触れたんですね。

スケボーを持った少年がオーガニックスーパーに入ってリンゴを一つ買って出てくる。そんな光景が当たり前の土地で過ごされた経験を経て、バイヤーとしてオーガニックセレクトを提案してくれました。彼女がいなければ、いまのコスメキッチンはありません。ただ当時いちスタッフの私としては、せっかく覚えたお店の商品がガラッと変わり一から覚え直さなきゃいけなくて大変でした(笑)。

スキンケアの精鋭3品!

スキンケアの精鋭3品!

フェムテックtv:現在の中條さんの知識からは「当初はナチュラル&オーガニックに興味がなかった」というのは意外でした。興味を持ち始めたきっかけはなんだったのでしょうか?中條さん:前職は美容会社に勤務していたのですが、生活環境の乱れから体調不良で肌荒れを起こし心もボロボロになって退職してしまったんです。その状態を引きずったままコスメキッチンで働いていたんですね。肌荒れは良い化粧品を使えば良くはなるけど、すごく良くなるっていう経験はなくて。“私の肌のポテンシャルはこのくらいのもんか”と諦めていました。そんなときに先ほどお話しした前任のバイヤーの方から「これ使ってみて!」とおすすめされたアイテムがいくつかあって。

その1つにドイツのオーガニックコスメブランド『マルティナ』がありました。実際に使ってみると3日後には肌の水分値が上がったのがわかり、1〜2週間経つとムキ卵のようにキレイな肌になったんです。成分量を見ると本当にシンプルなもので作られているのがわかりました。じゃあなぜ作られたのか? というところに、さらに興味を持ったんです。

フェムケアイベントのトークショー

フェムケアイベントのトークショー

フェムテックtv:ご自身の体験からオーガニックへの興味が加速されたんですね。中條さん:『マルティナ』はブランド創設者の女性のお名前なんですね。彼女が幼い頃に犬にほっぺを噛まれてしまった時の傷跡が思春期になって全く異なるニキビの診察に自然療法の皮膚科に訪れたところ処方されたクリームを塗ったらニキビとともに昔の傷跡まで治ってしまったと。

これはすごいと感動されて“植物の持つ力を医療だけではなく家庭で再現できないか”と開発されたんだそうです。「このハーブなら満月時期に詰むといい」など、月の満ち欠けや惑星の位置に合わせて種まきなどを行う厳格なオーガニック農法が配合成分に採用されています。オーガニックというだけでなく、宇宙全体のエネルギーがギュッと凝縮された原料が使われているのがとても魅力的なんですよね。

フェムテックtv:オーガニック製品の開発者自身の背景が見えると、より商品に対して興味が湧きますね。

中條さん:ケミカルとオーガニックなものを比べたときに、どちらが健康的かという議論があると思います。ただ私は、健康面でオーガニックを選んでいるわけではないんです。コスメキッチンもそうですが、ケミカルを悪者には一切していません。ただオーガニックは、育てるときに土や動植物に配慮して薬剤がほとんど使われていなかったり、開発者の思いだったりに共感することが多い。その思いに共感して商品を使うことが、自分自身の豊かさにも繋がっているなと感じます。

フェムテックtv:“文脈のあるものを選ぶ”生き方に共感します。

中條さん:まさにそう。文脈のあるものをチョイスする。自分の肌や髪にツヤが出て充実していくと、気持ちもルンルンになって、心が健やかになって、放たれるオーラも明るくなる。そうやって体と心は繋がっていくのかなと思っています。

自分の体や心の不調を“こういうもの”と諦めない

フェムテックtv:3児の母として育児と仕事の両立はどのようにしていますか?中條さん:3人の子育てを大変ですねと声をかけて頂くことが多いのですが、私は1人のお子さんと向き合うお母さんの方がよっぽど大変なんじゃないかと思っています。我が家の場合は小学生の長男が下の子の面倒を見てくれたりリーダーシップを取ってくれる。ちょっと背負わせてしまっている部分もあるかもですが……。

早起きをして好きなことをして過ごしたりと時間の使い方が上手で下の子をフォローする時間だけでなく、自分の時間をちゃんと楽しんでるところがとても感心していますし、助けてもらっているなと感じます。夫も週の半分はいないことが多いなかでもルールこそ設けていませんが、家事の分担を自然と取り組んでくれるので家族の協力で回っているな、と全員に感謝です。

娘さんと公園にて

娘さんと公園にて

フェムテックtv:家族との時間は1日の中でどのように組み込んでいますか?中條さん: 6時頃の起床で、7時くらいからみんなで朝食を食べます。8時に出発して下の2人を保育園に送ったら、9時30分には出社。お昼は社食の『PARIYA』メニューで素材にこだわったランチをいただきます。17時までの時短勤務を終えたら18時30分に保育園のお迎えに行き、帰宅したら夕食づくり。

1日あったことを聞いたり、宿題やワークやお絵かきを目の前で行ってくれるので楽しい時間です。最近は全員で人生ゲームにはまっていて、寝る前に一喜一憂して楽しんでいます。21時30分頃、子供たちは就寝して、その後は夫婦の時間です。夫と晩酌したり、映画を観たりの時間が1日のリフレッシュタイムとなっています。年末年始に夫婦揃って体調を崩したのを機に、生活習慣を改めて1月から一緒に食事管理や軽い運動を始めました。子供とのコミュニケーションも夫婦でのコミュニケーションも同じくらい大事な家族の時間です。夜は、平均して24時には寝るようにしています。

最近、旦那さんと一緒に購入した焼き物

最近、旦那さんと一緒に購入した焼き物

フェムテックtv:忙しい日々の中でのリラックス方法はありますか?中條さん:家族との時間もそうですが、個人としては、香りやバスタイムを充実させています。朝のルーティーンが大事で、起きたら窓を全開にして空気を入れ替え、パロサントという木の香りを炊いて空間をすっきりさせるところからスタート。気分の切り替えにロールオンアロマをいくつか持ち歩いたり、疲れが溜まったときは寝具にピローミストをシュッとスプレーして入眠のサポートに取り入れたりと、香りを生活に持ち込んでいます。

1日のリフレッシュにバスタブには春夏秋冬必ず浸かり、体をゆるませます。手軽に心身のケアができる入浴剤にはこだわっていますね。自分の疲労度に合わせたり、子供のテンションが高い日などはクールダウンに導けるものを選ぶなど、工夫して取り入れています。

お気に入りの入浴剤

お気に入りの入浴剤

フェムテックtv:子供たちとのお風呂タイムで心掛けていることはありますか?中條さん:デリケートケアでお話しすると、男の子も女の子もおまたの洗い方などは新生児のころから気をつけるようにしています。自分で洗いたがる1歳頃からは声掛けも始めていて、物心つくまえからスキンシップの延長線上でデリケートゾーンについては伝えています。子供ってママと同じがよかったりするんですよね。私が体を洗っておまたの部分は違うもので洗うのをしっかり見ているので、自分も。とリクエストしてきます。体感してもらいたいと思っています。

体とデリケートゾーンは皮膚の厚みや仕組みが異なるので同じソープで洗い続けてしまうと、トラブルを招いてしまうことも。なので、ここ数年は子供とシェアできるデリケートゾーンアイテムを選ぶようにして、すみずみまで!というよりは、ふわふわの泡をあててあげるよう洗い、自分でやりたいときもこすることのないように声掛けします。自己治癒力をキープしつつ正しく洗う、子どもたちにも正確な知識が自然に身についたらいいなと思っています。

フェムテックtv:幼少期からデリケートゾーンのケアを教えるって重要ですよね。

中條さん:フェムケアの中でも、デリケートゾーンのケアは特に重要だと思っています。顔はクレンジング、髪はシャンプーと分けるように、皮膚の厚さやpH値が違う体とデリケートゾーンも、ソープは分けてほしい。女性はホルモンバランスで毎月コンディションが違うもの。“今月はこんな感じかぁ……”“私はこういうタイプだから”と諦めるのではなく、雲行きが怪しいときは、自分なりにセルフケアできるアウターケアからインナーケアまで取り入れることができるようになってほしいですね。

フェムテックtv:生理不順なども“いつもそうだから”と当たり前に思い、諦めている女性は多いように思います。

中條さん:当たり前では絶対なくて、ホルモンバランスやその方に合った整え方はあると思っています。特に女性は2種類のホルモンバランスによって生理周期や更年期などだけでなく、肌や髪、気持ちや体調まで影響がもたらされていると考えられます。ホルモンバランスに目を向けることが実は全てと繋がる。

自律神経も整いやすくなり、気持ちの面でも体の面でも軽やかになり、アクティブになり、思考も働き、どんどん感性が開かれていくことも期待できます。ホルモンバランスに目を向ける事イコール、自分が生きやすくなる要素の一つになると思うんですよね。そこをもっともっと伝えていきたいと思っています。

「自分が共感して選ぶ」その豊かさを周囲にも共有する

フェムテックtv:中條さん自身は、今後どんなライフプランを描いていますか?中條さん:これまでオーガニックの素晴らしさを知りそれを伝えたいという思いで働いてきましたが、最近ではフェムケアに特化して活動する機会も増えてきました。家族や周りの人が心地良かったり健康的であったり、周りを巻き込んでいい状態になるような活動は続けていきたいです。居心地の良さを追求することが人生のプライオリティとして高いんですよね。

インスタライブ中の様子

インスタライブ中の様子

フェムテックtv:ご家族や周りの方々が一緒に気持ちよくなったり楽しくなったりすることが、ご自身の豊かさに繋がっているんですね。最後に、中條さんにとってのウェルビーイングな社会とは?中條さん:“情とこだわりと少しの余裕”。これを私の人生の中でも大切にしています。毎朝・毎晩スキンケアされる女性は多いと思うんですが、特別な時間というよりは作業になっていたりしませんか?自分が使うものたちは、背景や意味に共感できるものを選んだ精鋭たち。それをスキンケアならば自分の肌に優しく触れて含ませていく。その瞬間、香りやテクスチュアを通してその背景や意味が思い浮かび幸せな気持ちをもたらしてくれる。そんなスキンケアタイムが生み出す効果って、作業となっていた場合とは違ってくると思うんですよね。自分の肌に触れるタッチも変わってくるはず。

また、「便利だから」「使えるから」という理由でどんどんいろんなものを取り入れると、無駄なもので溢れていきます。でも「私はこれが好き!」で取り入れたものには愛着が湧き大切にするはず。文脈がある生き方とは、まさにこういうことかと思います。ただ“たまにはこうでもいいじゃないか”というこだわりすぎない余裕や余白も残しておく。そうすれば、自分のこだわりだけでない、周囲の要素も出入りすることで、すごく豊かな物事、人や社会に繋がる。と感じています。他人事ではなく、こだわりを持ち、思いやり、関わりあいを意味を持って取り組める社会であってほしいと願います。

フェムテックtv
株式会社ツインプラネットが運営するフェムテック情報共有サイト。《毎日をイキイキと、自分らしく過ごす》ため、《自分のカラダについての“知らなかった”をなくす》ことを目的に、女性の健康に関するコンテンツを公開しています。
https://femtech.tv/
橋本範子(はしもと・のりこ)●女性誌を中心に手がける編集・ライター。趣味は深夜ラジオを聴くこと。小型船舶2級所持。

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