「日本では性についての正しい知識が、子どもも大人も圧倒的に足りない」と感じている鶴田七瀬さん。自分自身もさまざまな方法で学びながら、今求められていることを考えて『ソウレッジ』の活動につなげています。
【学び方の3つのPOINT】
専門家の中でも意見が分かれることは珍しくない。両方の意見を知り、ものごとの“解像度”を上げる。
学ぶだけではなく、その経験を生かして自分の意思で決定し、行動することが大切。
この活動を始めて感じているのは、大人も子どもも圧倒的に性への知識が少ないことです。きちんとした性教育を受けた経験がなく、家族や友人と話すことにも「恥ずかしさ」を感じるからかもしれません。あるいは、知識があってもインターネットなど気軽にアクセスできる情報源だけに頼ったり、特定の人の意見だけを信じていたりと、知識に偏りがある場合も多いです。
性についてもそうですが、私が何かを学ぶときに心がけているのは、「いろいろなところから情報を得る」こと。入り口はインターネットでもかまいません。ただそれだけではなく、本を読んだりイベントに出かけたり、専門家の意見を聞くようにしています。そうして自分のなかに多視点の知識が蓄積されていくうちに、「この人が言っていることには説得力もあるし、エビデンス(証拠)も明確だ」とか、「この人の意見は個人的な感想に近い」など、情報を自分で取捨選択し、行動できるようになっていきます。情報や知識は量を得ることで、自然にその質も高まっていくと思います。
またある一つの事柄について、専門家の中でも意見が分かれることはよくあります。たとえば、緊急避妊薬のアクセス改善についても賛否があります。そんなとき、自分と同じ意見だけを聞くのではなく、あえて反対する人の意見も聞くようにしています。反対する人の気持ちも理解したいですし、俯瞰して物事全体を見ることができるようになるからです。
では、なぜ学ぶことが大切なのでしょうか? 私もこれまで、日本や海外で性教育や性被害、性被害への対応などについて多くを学んできました。そこで得た知識や経験を通して、「日本の子どもたちが日常生活の中で性について学ぶことができる『性教育トイレットペーパー』を開発する」という行動を起こすことができました。その行動によって周囲が変わり、自分もまた新しく学び、今なにが必要なのかを考えてきました。それが現在の「おひさまプロジェクト」につながっています。
多様な知識を得ることで、学びは確実に深くなっていきます。誰もが自由に自分の人生を選択でき、安全に暮らせる社会になるために、これからも正しい情報を届け、いい循環を生んでいきたいと考えています。