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サスティナビリティ

連載 | やってこ!実践人口論

人生のわからない、を増やす

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「実践人口」を増やすための合言葉が「やってこ!」である。「やってこ!」が世代を超えたつながりを生み、ローカルをおもしろくする。「わからない」は「やってこ!」の原点

 会社を設立して4年目に突入した。「おぎゃあおぎゃあ」と泣き叫ぶことしかできなかった赤子も、4歳になれば自我が芽生え始めて言葉を話す。では、会社としてどれぐらい成長したのか? と問われたら「まず頑張っている」「人並みにメシが食えてる」「社員2人を雇用した」「法人登記を長野に移した」などがパッと思いつく。

 不景気ド真ん中の令和を迎えて、社会不安は高まり、気候変動の脅威が人々を困惑させている。不安が取り巻く社会は悲観的になりやすい。それでも現在までマイペースに軸をぶらさず会社が続いているのは、仕事の関わりを持っているすべての人たちのおかげだ。ありがたや……ありがたや……。今後も森脇健児さんの名言「感謝」「素直」「謙虚」の姿勢を見習いつつ、イヤなものはイヤだと変化を与える提言はしていきたいと思う。

目次

企業理念を固めた。

 関わる人が増えると、社長個人の力量・判断に依存する組織は弱くなる。ONE TEAMのラグビーのごとく、主体的にボールを掴み取りに行って、仲間と連携しながらゴールを目指す。そのためには共通のビジョンともいえる「企業理念」が大事になってくるそうだ。これも4年目の知恵。会社が次のステージへ進むために必要な時間なのだろう。そもそも設立時に「企業理念はしっかり考えたほうがいいよ!」なんてアドバイスはなかったし、設立直後に理念なんてものはない。勢いで始めたんだから。

 幸い私の会社の周縁には、あらゆる領域のプロフェッショナルがいて、飲みながら相談すればだいたいの道筋が見える。3年の月日を経て、自分自身も、会社としての役割も少しずつ明確になってきた。気分が乗る・乗らないの直感も大切にしたいし、社会に与える影響もよい大人だからこそ配慮したい。

 そこで外資系広告代理店に勤めている「某・中野さん」に相談。彼はロジックと感性が両軸で高い次元にいる貴重なおじさんでもある。信頼度マックス。彼が提案してきたのは、Appleの企業理念をサンプルにした「企業理念一緒に考えましょうロジック」だ。あえて頭の悪い表現をしたが、ほぼ同義だと思ってもらって大丈夫。それを元に鬱病患者のカウンセリング気分で思考の深いところまで潜り続けた。

 「柿次郎さんは何がしたいの?」「行動指針は?」「最近、あまり眠れてないんじゃ?」。最後は完全に深酒のせいだが、数日かけて対話を続けた結果、お互いに最高じゃないかとハイタッチするぐらいの企業理念に辿り着くことができた。

Web上でも早速企業理念を公開。
Web上でも早速企業理念を公開。

わからない=好奇心。

 現在の自分の思想・姿勢をつくっているのは、全国行脚で取材を積み重ねた実践者たちの言葉だ。大阪の灰色の町で育った環境もあり、四季の色とりどりの風景と何百年と受け継がれてきた日本人の知恵は驚くことばかりだった。在来種の野菜を育てているおじさんや、約300年山を守り続けているおじさん、生命力の強い魚を獲っている漁師のおじさん。あれ、全部おじさんじゃねーか。

 また、一次産業の現場は特におもしろい。常に好奇心の原資が生まれ、そのエネルギーを燃やし続けるために旅を続けた。これらの後先考えない行動原理の根っこには「わからない」の概念が居続けた。わからないから本を読む。わからないから人に会って話を聞く。自分と同じような“わからないの体験”を世の中に広げるためにはどうすればいいんだろうか。そうすればもっと世の中はよくなるはずだ。

 「きっかけを与えるために、わからないを増やせばいいんじゃない?」「わかりやすい価値観が増えてるからこそ、カウンター的でおもしろいね」「企業理念っぽくて最高!」

 というわけで、企業理念は「人生のわからない、を増やす」に決定。この価値観に共感できる企業からのお仕事、お待ちしています。

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