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特集 | かっこいい農業 これからの日本らしい農業のあり方 !

『国際有機公社』代表取締役/土壌医|吉田 剛さんが選ぶ、「農度」を高める本5冊

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土壌診断に基づき、農産物と土壌に合った肥料をアドバイスする「土壌医」の吉田さん。経験の蓄積が大事な農業の世界でより具体的な提案を行うため、土と環境との関係を理解し、さらに農家を経営していくための方法論を日々模索する。その知識と行動のベースとなった5冊とは。

『国際有機公社』代表取締役/土壌医|吉田 剛さんが選ぶ、「農度」を高める本5冊

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(左上から時計回りに)1.『図解 土壌の基礎知識』/2.『小さく始めて農業で利益を出し続ける7つのルール ─家族農業を安定経営に変えたベンチャー百姓に学ぶ』/3.『だれでもできる養分バランス施肥 ─「水・湿度・肥料」一体で上手に効かす』/4.『農的生活 ─「競争」から「共生」への新しいライフスタイル』/5.『月と農業 LA LUNA ─中南米農民の有機農法と暮らしの技術』 
 私はもともと、自社でバイオスティミュラントや有機肥料の製造をしています。その中で、畑の状況がわからないとよりよいアドバイスやセールスができないことから土のことを専門的に勉強するようになり、現在は「土壌医」「土づくり専門家」として、土壌診断に基づく施肥改善の提案なども行っています。季節や場所によって前提条件の大きく異なる農業では「共通の体験」を持つのが難しく、そのためにも土について定量的な視点を持つことは有意義なことでした。

『図解 土壌の基礎知識』の初版発行は1974年ですが、土壌についての研究はこの時期にはある程度完成していたこともあり、基本的な内容は今も変わりません。土壌には空気、水、季節などすべてが関係していることがわかりやすく、ていねいに書いてあります。これを読んで印象に残ったのは、いい作物をつくるには法則が必要だということ。それは作物が求める環境を整えると言い換えることもできます。施肥はその法則のひとつです。

『小さく始めて農業で利益を出し続ける7つのルール』は、農業法人の社長さんの著書です。農業で安定的に利益を出し続けるための方法を述べています。経営書ではありますが、農業で結果を出すには、その土地の特産物づくりから始めるといいことがわかります。特産物はその土地の環境に合っているんですね。

『農的生活  「競争」から「共生」への新しいライフスタイル』は、現代でいうSDGs的な持続可能な農業を行うために、経済と環境をどう両立させるかということが書かれた本です。経済と環境のどちらかに偏るのではなく、バランスをとるのが大事だという内容なのですが、肥料そのものにもそういう面があります。有機栽培を目指す方も多いのですが、化学肥料もうまく使ってバランスをとっていくことが経済的に自立できる農業のためには大事です。

 さらに実用的なことを知りたい場合は、農業中級者向けの『だれでもできる 養分バランス施肥』を読むのがいいでしょう。数値が具体的に示されており、実際のアプローチがしやすいのが特徴です。

『月と農業』は、月の満ち欠けに基づく農法についての本で、もともと日本も月齢を基準にした太陰太陽暦で次に行う農作業を決めていました。月の引力を考えれば理に適っていて、私自身も月齢から農作業カレンダーを作成し、水やりや施肥の時期を農家さんにアドバイスしています。

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よしだ・つよし●『国際有機公社』代表。「土壌学」「肥料学」「植物生理学」の知識・技術と、5年以上の指導実績がある者に与えられる「土壌医」(日本土壌協会認定)の資格を持つ。農林水産省によって定められている「土づくり専門家」でもある。
photographs by Yuichi Maruya text by Sumika Hayakawa
記事は雑誌ソトコト2022年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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