『国際有機公社』代表取締役/土壌医|吉田 剛さんが選ぶ、「農度」を高める本5冊
『図解 土壌の基礎知識』の初版発行は1974年ですが、土壌についての研究はこの時期にはある程度完成していたこともあり、基本的な内容は今も変わりません。土壌には空気、水、季節などすべてが関係していることがわかりやすく、ていねいに書いてあります。これを読んで印象に残ったのは、いい作物をつくるには法則が必要だということ。それは作物が求める環境を整えると言い換えることもできます。施肥はその法則のひとつです。
『小さく始めて農業で利益を出し続ける7つのルール』は、農業法人の社長さんの著書です。農業で安定的に利益を出し続けるための方法を述べています。経営書ではありますが、農業で結果を出すには、その土地の特産物づくりから始めるといいことがわかります。特産物はその土地の環境に合っているんですね。
『農的生活 「競争」から「共生」への新しいライフスタイル』は、現代でいうSDGs的な持続可能な農業を行うために、経済と環境をどう両立させるかということが書かれた本です。経済と環境のどちらかに偏るのではなく、バランスをとるのが大事だという内容なのですが、肥料そのものにもそういう面があります。有機栽培を目指す方も多いのですが、化学肥料もうまく使ってバランスをとっていくことが経済的に自立できる農業のためには大事です。
さらに実用的なことを知りたい場合は、農業中級者向けの『だれでもできる 養分バランス施肥』を読むのがいいでしょう。数値が具体的に示されており、実際のアプローチがしやすいのが特徴です。
『月と農業』は、月の満ち欠けに基づく農法についての本で、もともと日本も月齢を基準にした太陰太陽暦で次に行う農作業を決めていました。月の引力を考えれば理に適っていて、私自身も月齢から農作業カレンダーを作成し、水やりや施肥の時期を農家さんにアドバイスしています。