「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」は、「強い農林水産業」、「美しく活力ある農山漁村」の実現のため、農山漁村の有するポテンシャルを引き出すことにより地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良な事例を選定し、全国への発信を通じて他地域への横展開を図る取組です。第8回目(令和3年選定)となる今回は、合計651件の応募の中からアワード受賞者を決定しました。
【特別賞ーナイスネーミング賞】環境大善株式会社
牛の尿を発酵・培養させた「善玉活性水」を用いた消臭液、土壌改良材等の商品開発と製造販売を実施しています。土壌改良材等は近隣アジア7ヶ国に輸出されており、輸出先での土壌改良や水質保全にも貢献しています。
◯今回応募したきっかけ
◯消臭液「きえ〜る」のネーミングができた過程
様々な消臭剤を仕入れし、新商品も積極的に探したそうですが、良い商品に巡りあえませんでした。ある日、いとこの酪農家さんが「園芸の資材として販売できないだろうか?」と牛の尿を発酵させた液体をお店に持参ししていきました。父はこの液体にまったく臭いがないことを不思議に思ったそうです。
「あの臭い牛の尿が無臭になるのだから、もしかしたら悪臭が消えるかもしれない」と、ペットのトイレや、排水口、生ゴミ等で試してみることにしました。実際に使用してみると糞尿臭や腐敗臭などの悪臭が見事に消えてびっくりしたそうです。。その後安全性試験などを経て製品化をすることにしたんです。そのときにわかりやすいネーミングとして「きえ〜る」と名付けました。
◯アップサイクル型循環システムの構築で意識していること
善玉活性水を使い消臭液だけではなく、土壌改良材、水質改良材も製造し、空気をキレイにし、土と水を再生しています。この循環は、酪農家から牛の尿を購入することによって地域経済を循環させるだけでなく、製品を使用してくれる方々も自動的に環境危機の解決へ加わる事になり、善の循環を起こす事ができます。
製品を詰めるボトルにはラベルを貼りますが、その作業を社会福祉法人さんへ委託したり、酪農家さんから弊社への液の運搬も専用の車両を購入してくれた地元の運送会社にお願いするなど、地域内で経済が回るような仕組みを意識して事業を行っています。
◯今後同じような循環システムで取り組みたい事業構想は?
【特別賞ー農泊賞】SAKU酒蔵アグリツーリズム推進協議会
酒蔵に蔵人(くらびと)として宿泊し、日本酒造りを体験できる世界初の酒蔵ホテルとして、インバウンドを誘致しています。長野県の空白地帯とされる軽井沢・長野間に位置する佐久の新たな冬のコンテンツとして、日本酒文化の神秘性、魅力を国内外に発信しています。
◯今回応募したきっかけ
認証されるようなアワードや外的評価が得られれば、認知度向上や地元行政からの信頼を得て、事業をさらに円滑に実施できると考え応募しました。
◯日本酒の蔵で酒造り体験×宿泊を思いついたきっかけ
みんなが何もないと思っているからこそ、本当に何もないのだろうかと、この事業を通して地域に問いかけています。日本酒を作る蔵人の疑似体験ができることがキラーコンテンツになると考えたこと×これまでの経験に裏付けられた自信から挑戦しました。
◯コロナ禍で工夫している取組があれば
すでに3〜4回以上リピート参加してくださっている方もいるので、お客様とのつながりを大切にしながら、アフターコロナを期待するよりもwithコロナ時代がしばらく継続する環境であると捉えています。
◯すごく面白い取組だが、今後さらに仕掛けていきたい取組は?
佐久平駅や佐久市の観光サイトでの情報発信も含めて佐久の街全体のツーリズムの構想にも携わっていきたいです。蔵人体験は、非常に高いお客様からの評価をいただいているので、世界一の満足度追求とさらに多くの蔵と一緒に日本酒ツーリズムによる地域振興に携われるような機会を得たいと考えています。
【特別賞ー食ブランド賞】お茶の通販・京都おぶぶ茶苑合同会社
宇治茶生産地にて、日本茶の通信販売・輸出、オンライン教育部門への参入を通じ、町内ビジネスのDX化推進に貢献しています。ネット販売や輸出のほか、年4回茶畑直送の茶葉が届く「茶畑オーナー制度」等の取組も行っています。
◯今回応募したきっかけ
また、今回の応募をきっかけに自分たちの取組が地元をはじめ、広く知られるようになったらいいなあという思いもありました。
◯DX推進のなかで一番苦心したところ
つまり途上であるため、模索は今も続いています。「これは!」という解答には未だに出会えていないと思っています。
◯「Online Tea Education」をはじめて気づいた「気づき」があれば
またオンラインであるからこそ、これまで表現できなかったことを伝えることができるようになりました。例えば、オンラインのほうが映像を通じて伝えられることが多いため、季節や時間、場所を横断した内容が伝えやすいことに気が付きました。
◯DX推進で町におこった変化があれば教えてください
ここ数年DXという言葉が一般化しましたが(以前はDXはデラックスの略でしたよね(笑))、そこからの変化というのは、そうですね、会議がオンラインが増えたという点でしょうか? 未だに書類に印鑑は必要ですし、町全体としては、特に大きな変化は感じていません。
【特別賞ーブランディング確立特別賞】那須誠
2005年に父親が品種開発し生み出した果皮が紫色の大梅品種のブランディングとPRの両活動を、自らが旗振り役となって実施しています。「ミスなでしこ®」として商標登録取得等のブランド化、香港への輸出、誕生した地区の幹線道路沿いへの看板設置等の宣伝も行っています。
◯今回応募したきっかけ
個人としてのPR活動が多く、対外的に評価される機会がなかったので、第三者の率直な評価がどうなのかと常々思っていました。
昨年、「ディスカバー農山漁村の宝」の存在を知って、応募を通じて当方の活動を評価していただこうと思ったのが、応募に至ったきっかけです。
◯「ミスなでしこ® 」のブランド化で一番苦慮したこと
家内労力運営である当園の農業経営状況を加味し、自身が各種イベントへ出店参加する体制から、看板広告やネット広告といった自身が動かずともPRする体制へ切り替えていく活動方針への転換タイミングに苦慮しました。
活動については、商工会議所が開催する様々な「セミナー」への参加を通じて、ホームページ制作、プレスリリース、知財戦略等の多方面から、ブランディングを進めるアイデアを得るきっかけをいただけたと思います。
また、「小規模事業者持続化補助金」の存在を知り、数年前より継続して活用できていることが、毎年年頭に【事業目標】を打ち出して、申請書類作成を通じて【事業計画/事業予算設計/事業推進内容】が明確化される事で、事業が実践できていることに繋がっていると感じています。
◯SNSを活用した情報発信で拡がったことがあれば
昨年より、ショッピング機能を使い、SNS投稿商品にタグ付けし、ネット販売が可能になりました。その結果【新規購入者】獲得の積み上げに繋がっていると感じています。
◯今後さらに「ミスなでしこ® 」ブランドの展望を教えてください
ブランド価値を下げないため、着色不良の果実や流通サイズ等、独自の流通基準を定めて「当園」と「JA紀南」に限って、「ミスなでしこ®」の流通・販売をすることで品質維持に努めています。
数年前より、青果市場に「雑梅」として出荷された「ミスなでしこ」を買い取った小売業者が、「紫南高梅」等の別名を名乗り「フリマサイト」を中心に匿名販売する行為が目立っています。
当園としては「ブランド価値」が下がらないように、取得している商標登録などを駆使して、知財による流通管理を最優先としています。
また、当園の流通は収穫前の相対取引が大部分を占めることから、農家の勘による作柄予想に頼らず、気象データを活用して園地別の作柄【収穫時期/生産量】をより正確に算出する事で、有利販売に繋げたいと考えております。
そのために、ソフトバンクの「e-kakashi」を本年より導入しようかと、メーカーに協力を得ながら導入準備に努めています。
気象データを農業経営に活用していくことは手探りではありますが、数年がかりで自身だけではなく地域の生産者に情報提供できる体制を目指したいと考えています。
【特別賞ー先端発信賞】愛媛県立三崎高等学校「せんたんプロジェクト」
高校生が主体となる地域の魅力開発及び発信により、伊方町の関係人口の増加と移住・定住者数の確保に貢献しています。全校生徒をPR、カフェ、商品開発、ツアー、アート、防災の6つのグループに分け探究活動を実施中です。
◯今回応募したきっかけ
◯オリジナルスイーツづくりで苦労したこと
また、味へのこだわりを追求し、放課後や休みの日に何度も試作品を製作しました。
◯地元の特産物を活かしたカフェを展開して、地元と紡いだ絆みたいな話があれば
また、普段は地元レストランをお借りして営業をしているのですが、昨年12月に出張カフェとして隣町の古民家でカフェを実施しました。その際には地域のおじいちゃんやおばあちゃんが来てくださり、大変喜んでいただけました。