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サスティナビリティ

特集 | まちをワクワクさせるローカルプロジェクト

子ども大学かわごえ学長/尚美学園大学スポーツマネジメント学科学科長|真下英二さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

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ドイツで始まった子ども大学をモデルに、日本で初めて開校した『子ども大学かわごえ』。地域づくりに長く関わってきた学長の真下英二さんが紹介するのは、地域で活動する人たちのヒントになる本だ。

『子ども大学かわごえ』は、地域の子どもたちの知的好奇心を刺激し、学びへの興味を喚起しようと川越市民が集まり、2008年に開校。川越にある3つの大学と連携し、小学校4年生から6年生の子どもたちの「なぜ」に応える大学レベルの授業を行ってきました。大学の教室で行われる授業のテーマは、選挙と民主制や自由、また微生物や環境、デジタルなどさまざま。内容は子ども向きに平易にせずに、大学生と同じレベルを心がけています。
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(左から)1.『私がくまモンの上司です』/2.『スマートコミュニティ─都市の再生から日本の再生へ』/3.図解 はじめて学ぶ みんなの政治/4.現代日本のNPO政治/5.熟議が壊れるとき

真下英二さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

活動を担うのは地域の大人たち。組織は小さいですが、地域の人々が子どもたちと関わり、将来に向けた目標を子どもたちに示す場でもあり、教育とまちづくりの両方を担う地域のプロジェクトだと考えています。
 
私は政治学を学び、地方自治をフィールドに「どうしたら地方が力をつけることができるのか」を研究してきました。子ども大学も、大学時代からまちづくりに関わってきた川越を元気にする一つの答えだと思っています。『スマートコミュニティ―都市の再生から日本の再生へ』は20年近く前に出版された本ですが、まさにまちづくりについて実践的に触れています。この本の中核となり、一番心に残っているのは「打たれる杭を育てること」。日本社会は出る”杭“を打ってしまいがちですが、地域の中から打たれるような”杭“が出てこないと、地域に新しい風は吹いてきません。多様な”杭“が出てくることで地域は力を取り戻します。子ども大学もそんな”杭“を育てられるようになりたいと思っています。

『私がくまモンの上司です』は、ゆるキャラの”くまモン“で熊本県の知名度を上げ、地域再生に貢献した熊本県知事の蒲島郁夫さんの著書です。蒲島さんは知事の仕事を「県民の幸せを最大化すること」としていて、「そのためには経済(Economy)、プライド(Pride)、安心・安全(Safe
ty)、希望・夢(Hope)という4つが満たされなければならない」と語っています。EPSHを満たし、県民の幸福度を上げるためにくまモンを売り出し、アイコン化していった過程が、地方自治体の戦略としてとてもおもしろかった。
 
EPSHは、まちづくりやローカルプロジェクトを実践するうえでもベースとなる考え方になると思います。EPSHを満たすために何をするのかを考えれば、プロジェクトの軸はぶれません。県知事としての戦略のユニークさだけでなく、地域を元気にしたいと考えている多くの人々の参考にもなると思います。

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ました・えいじ●1971年愛媛県生まれ。尚美学園大学専任講師、総合政策学部准教授を経て現職。専門は政治学、地方自治。埼玉県川越市や日高市で、さまざまな行政関連の委員を務め、まちづくりに関わる。共著に『選挙制度と政党』『政治学への扉』など。
記事は雑誌ソトコト2022年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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