福岡県を拠点とし、九州の商品の広告デザインを手がけることの多い濵田さん。かわいいもの、おしゃれなものが好きで、意識せずともデザインに影響することも。濵田さんが大事にしているのは「一貫した世界観」。それが広告とどう関係するのかがわかる5冊だ。
濱田佳世さんが選ぶ、広告×ローカルデザインのアイデア本5冊
昔からリサーチ好きなところがあり、学生時代に雑誌を読んだときなど、気に入った写真や広告があればクレジットを調べていました。その中で気づいていったのは、私が好むデザインや広告をつくる人たちはみんな「世界観を丸ごとつくっている」ということ。これらの選書は、彼らの世界観がわかる本です。
『葛西薫の仕事と周辺』は、昔からファンだった葛西薫さんの作品を集めた本で、とにかく普遍的なデザインが素敵。まずイメージをつくり、見る人をそこに引き込むようなデザインをされます。静けさと繊細さを感じる余白の使い方も印象的です。
『ミナ・ペルホネン』の皆川明さんのデザインを見ても、まず世界観をつくることの大切さがわかります。世界観から、統一感のあるグラフィックやファッションデザインをつくり出しています。『皆川明の旅のかけら』には、若かりし頃の皆川さんのエッセンスが詰まっています。
『無印の本』は、『MUJI』が『西友』のプライベートブランド『無印良品』だった頃の本。今よりももっと素朴だけれど、世界観も、それに合ったロゴもあって、すでに考え方も思想も方向性が定まっていたのだとわかる内容です。それが現代まで続いているのはやはりすごいですね。
『お菓子の包み紙』は、とにかくかわいい一冊です。普段、売りたいもの、見せたいものとアウトプットにズレをつくらないことを意識しています。甘いものなら甘そうな書体や色、というように。知っている味であるほど、そういうことを意識してビジュアルを観察するのがおもしろいですね。
デザインを考える際、まずとっかかりにするのは「言葉」です。コピーライターさんがいないときは自分でキーワードを考えて、コンセプトをはっきりさせたりもします。広告だとCMやナレーションも大事ですしね。『毎日読みたい 365日の広告コピー』は言葉の力を鍛えてくれる本。見た目もかわいく、馴染みやすいのも気に入っています。