濱田佳世さんが選ぶ「広告×ローカルデザインのアイデア本5冊」

特集 | 地域をつくるローカルデザイン集 | 濱田佳世さんが選ぶ「広告×ローカルデザインのアイデア本5冊」

2022.05.12

福岡県を拠点とし、九州の商品の広告デザインを手がけることの多い濵田さん。かわいいもの、おしゃれなものが好きで、意識せずともデザインに影響することも。濵田さんが大事にしているのは「一貫した世界観」。それが広告とどう関係するのかがわかる5冊だ。

濱田佳世さんが選ぶ、広告×ローカルデザインのアイデア本5冊

(左から)1. 皆川明の旅のかけら / 2. 葛西薫の仕事と周辺
(左から)3. 毎日読みたい 365日の広告コピー / 4. お菓子の包み紙 / 5. 無印の本

私はデザイナーではありますが、いい広告デザインは、いい中身があってこそ生きてくるものです。ですので、デザイナーとして参加したつもりがプロダクトの企画から関わることに……ということもあります。広告デザインは「ひとつのものをどういう視点から見せるか」ということを考える仕事でもあるのですが、「ひとつのもの」の世界観が確立していなければ、見せ方だけ工夫しても効果が出ないのです。

昔からリサーチ好きなところがあり、学生時代に雑誌を読んだときなど、気に入った写真や広告があればクレジットを調べていました。その中で気づいていったのは、私が好むデザインや広告をつくる人たちはみんな「世界観を丸ごとつくっている」ということ。これらの選書は、彼らの世界観がわかる本です。

『葛西薫の仕事と周辺』は、昔からファンだった葛西薫さんの作品を集めた本で、とにかく普遍的なデザインが素敵。まずイメージをつくり、見る人をそこに引き込むようなデザインをされます。静けさと繊細さを感じる余白の使い方も印象的です。

『ミナ・ペルホネン』の皆川明さんのデザインを見ても、まず世界観をつくることの大切さがわかります。世界観から、統一感のあるグラフィックやファッションデザインをつくり出しています。『皆川明の旅のかけら』には、若かりし頃の皆川さんのエッセンスが詰まっています。

『無印の本』は、『MUJI』が『西友』のプライベートブランド『無印良品』だった頃の本。今よりももっと素朴だけれど、世界観も、それに合ったロゴもあって、すでに考え方も思想も方向性が定まっていたのだとわかる内容です。それが現代まで続いているのはやはりすごいですね。

『お菓子の包み紙』は、とにかくかわいい一冊です。普段、売りたいもの、見せたいものとアウトプットにズレをつくらないことを意識しています。甘いものなら甘そうな書体や色、というように。知っている味であるほど、そういうことを意識してビジュアルを観察するのがおもしろいですね。

デザインを考える際、まずとっかかりにするのは「言葉」です。コピーライターさんがいないときは自分でキーワードを考えて、コンセプトをはっきりさせたりもします。広告だとCMやナレーションも大事ですしね。『毎日読みたい 365日の広告コピー』は言葉の力を鍛えてくれる本。見た目もかわいく、馴染みやすいのも気に入っています。

はまだ・かよ●『みずうみデザイン室』代表。デザイン事務所や編集プロダクションでの勤務を経て、2015年にデザイナーとして独立。香蘭女子短期大学非常勤講師。商品のデザインだけでなく、トータルで提案することを得意とする。 www.mizu-umi.com

text by Reiko Hisashima, Fumi Itose, Kentaro Matsui, Sumika Hayakawa, Ikumi Tsubone, Etsuko Ishii & Daisaku Mochizuki

記事は雑誌ソトコト2022年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。