出産後の悩みのひとつである抜け毛には、女性ホルモンが大きく関わっています。女性の薄毛治療を行う医学博士の浜中聡子先生に、産後の抜け毛対策や向き合い方についてお話を伺ったところ栄養と睡眠を意識するなど、上手に付き合うためのヒントが見つかりました。
女性ホルモンの分泌量のギャップが原因
妊娠中は、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が増えているため、髪も肌もつややかでハリもあり、いい状態で過ごすことができます。産後はエストロゲンの分泌量が急激に減るため、体質が変化するといっても過言ではないくらい一変します。抜け毛が増えるだけではなく、髪質自体も変わります」(浜中先生、以下同)
エストロゲンの分泌量の変動は生理前のPMSの症状と似たような状況。ただ、妊娠中と産後のエストロゲンの分泌量の差は、生理前と生理後では比べ物にならないほどギャップがあるそう。ギャップがあればあるほど影響を大きく受けることになり、肌の状態や気持ちの浮き沈みなど、幅広くいろんなことが起こり、出産後の抜け毛もその症状のひとつです。
産後に起こる髪の変化
☑︎抜け毛が増える
☑︎直毛だったのがうねる
☑︎白髪が増える
☑︎乾燥しやすい
☑︎髪全体が薄くなり、分け目が目立つようになる
☑︎生え際がM字に後退してくる
など……
抜け毛は1年~1年半かけて徐々に改善していく
産後の抜け毛に関しては、1年~1年半かけて徐々に改善していきますので、今すぐ解決しようとするのではなく、上手に付き合っていきましょう」
産後は栄養と睡眠を意識する
◎優先順位をつけて栄養素を摂取する
「食事は体調管理の基本ではありますが、育児をしながら栄養バランスが整ったメニューを用意するのは難しいと思います。そんな時は、積極的に摂取したい栄養素を把握して、優先的に食べるようにしてみてください。
優先して摂取してほしいのは、髪の栄養にもなるたんぱく質と素早くエネルギーになる糖分。糖分は、白砂糖はなるべく避けて、フルーツやハチミツなどで摂るようにしましょう」
◎睡眠時間をこまめに確保する
「育児中は睡眠時間の確保も難しくなりますが、妊娠、出産、育児と身体を酷使している状況が続いているので、睡眠でしっかりリカバーしていくことも重要です。パートナーと連携を取り、周りからのサポートも受けながら、短い時間でもこまめに確保してきちんと休むことを心掛けてください」
サポートが得られる環境を整える
「産後の抜け毛など、身体的な変化は精神面にも影響してきます。心身ともにハードな時期をひとりで頑張るのではなく、パートナーをはじめ、周りの人からのサポートを得られる環境を作っていきましょう。
産後にどんな変化が起こるかを知ることも助けになります。得た知識や情報はぜひ、パートナーに共有して環境作りに役立ててください」
産後ケアのサポートがある施設やひとり親の子育て支援制度などもあります。環境作りに役立てられることでもあるので、調べてみてください。
●クレアージュ エイジングケアクリニック 総院長。女性の発毛治療に携わってきた第一人者として、産後の抜け毛や後遺症による抜け毛、薄毛などの頭髪に関するお悩みから更年期や女性ホルモンまで女性が抱える悩みに寄り添う。2022年5月には産後抜け毛外来を開設し、患者様が心身ともに充実した毎日を過ごすことができるよう医療面からのサポートを行っている。
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