【ソトコト×キャリタスSDGs Challenge 学生編集部レポート】大学生がさまざまな企業を訪問し、その企業のSDGsへの取り組みを学生の視点から取材してきました。計4回にわたって企業のSDGsの取り組みをレポートいたします。
第1回目は、GMOインターネットグループに訪問。学生の樋口大賀さんと宮入桃子さんが、グループコミュニケーション部 グループファシリティチームリーダーの新里篤子さんにお話を聞きました。
世界規模で発生している食に関わる問題に対して独自の取り組みを行うGMOインターネットグループ
そして、フードロスは、2030年までの国際的な目標であるSDGsの中でも取り上げられており、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」というターゲットが定められている。
フードロス以外にも、先進国では肥満など食事が原因となる生活習慣病が多い一方、発展途上国では飢餓や栄養失調の問題があるという食の不均衡問題など、食にまつわる問題は多く存在している。人が生活を送るために欠かせない食にまつわる問題は、日本だけではなく、世界が一丸となって解決しなければならない問題となっている。そこで、キャリタスSDGs Challenge 学生編集部は、昨年に渋谷区が主催した渋谷サステナブル・アワード2022で優秀賞を受賞し、サスティナブル活動に注力しているGMOインターネットグループに取材を行った。
「シナジーカフェ GMO Yours」でのプラスチックごみ、フードロス、食の不均衡問題への取り組み
GMOインターネットグループでは、プラスチック削減に関してGMO Yoursから取り組みを始めた。具体的にはカフェで出しているドリンクカップをプラスチック製から紙製に変え、ストロー廃止、カトラリー類もプラスチック製のものを廃止し、さらに、お客様のスペースで提供しているお水もペットボトルから日本の森林育成に貢献できるカートカン(紙製の飲料容器)タイプのものにすべて変更したり、ランチを持ち帰る人が使う、ビニール袋を廃止するためにオリジナルのランチバッグを配布した。ちなみにこのランチバッグはコンビニに行くときなどあらゆるところで使われることも多く、GMO Yoursに行くときだけでなく、さまざまな場面で普段使いされ、社内外でビニール袋の削減に貢献している。
2021年1月からこの取り組みを始め、22年7月までで開発途上国の子どもたちへの支援給食を約16,000食、寄付対象となる提供ドリンク数を約20,000杯提供している。ヘルシーなメニューを食べてパートナーは健康になり、そして発展途上国の子たちには食べ物が届くという両者にとっていいことがあるという思いのもと取り組みつつ、ポスターなどでグループ全体にこの取り組みを知ってもらうように努めている。
これらの取り組みのきっかけはどこにあったのか?
そのギャップに対して自ら行動を起こして改善していきたいと思ったことがSDGsへ取り組むきっかけだった。しかし、現実は甘くない。何か取り組みを行ったとしてもパートナーから元に戻して欲しいと要望が来たり、なぜこのようなことをしたのかと問い合わせがあったりなど苦労した部分があるという。しかし、そのようななかでもGMOインターネットグループが取り組む意義があると続けた。
「やはり一番大事なことは、何かを廃止したり、復活したりすること自体ではなくて、このような取り組みを会社として大事にしているという思いをすべてのパートナーに伝えることだと思うんです」
GMO Yoursでは食べ物を取り扱うので、世界や環境のためにできることが果てしなく出てくるし、取り組みに対する影響も計り知れない。また、食は人々にとって最も身近なもので、必ず1日3回あり自分ごとにしやすいので、できることから一つずつ取り組んでいる。例えば、GMO Yoursでのドリンク提供は1日約7,000杯と渋谷でトップを争う提供数のため、ストロー一つとってもちょっとしたアクションが環境に大きな影響を与える。
GMOインターネットグループは創業当初から節電など、今でいうSDGsに取り組んでいた。今後、GMOインターネットグループが目指す姿は、GMO Yoursを運営していること自体が環境に対してマイナスな影響を与えないことだと語る。また、目の前のパートナー(従業員)や取引先に喜んでいただくだけでなく、地域と連携するなど環境にとって好影響を与える取り組みがある場合、積極的に連携して取り組んでいきたいと意気込んでいた。
GMOインターネットグループの軸となる「夢・人生ピラミッド」
「夢・人生ピラミッド」とは、夢を叶えるために必要な要素を段階毎に明確化し、行動に落とし込むフレームワークである。具体的には、教養・健康・心の3つが基礎レベルとして存在し、最も人生において大切な基盤であるとしている。そして、それが達成できると家庭、仕事という実現レベルが実現でき、最終的にモノやお金など結果レベルのものが自然とついてくる。そして、すべてのエリアでバランスが取れた全人を目指すということがGMOインターネットグループの考え方である。
実際に熊谷代表自身も「夢・人生ピラミッド」を自身の手帳に書き込むことで目標を明確化し、GMOインターネットグループにおいて重要な判断軸となっている。GMOインターネットグループコミュニケーション部 広報チームマネージャーの新野さんは、「熊谷の考えの土台として夢・人生ピラミッドがあり、それをもとに会社としての業績だけでなく、GMO Yoursやそれ以外の福利厚生でもナンバーワンになろうと取り組んでいる」と語る。
GMOインターネットグループでの取材を通じてSDGs学生編集部である私たちが感じたこと
樋口 今回、私はGMOインターネットグループのパートナーの方々への取材を通じて、会社全体として「夢・人生ピラミッド」を理想ではなく、現実にしっかりと落とし込んで事業や活動に組み込んでいると感じた。そして、フードロスやプラスチックごみ問題、食の不均衡など1つの国や企業だけでは到底解決できない問題が山積している中で、GMOインターネットグループのように自社だけでなく、自社に関わるパートナーのことも見据えた取り組みやそのような考え方が世界規模で起こっている課題を解決していくために必要なものだと感じた。また、個人的にGMOインターネットグループの取材を行った目的としてあった「IT企業の実態を肌で体感すること」も達成することができた。
GMO Yoursは上記で書かれているようにプラスチック削減やフードロスなど社会課題に対して取り組みが行われているだけでなく、社員が昼寝をできるスペースがあったり、様々な分野の書籍がいつでも読める状態になっていたりなど単なる社員食堂ではないことに驚かされた。また、GMO Yoursだけでなく、隣接するジムやオフィスの様子を自分の目で見ることができ、どのような環境で仕事をしているのかを観察することができた。「夢・人生ピラミッド」で規定されている基礎レベルを達成するために様々な工夫がされているオフィス環境であることを感じた。
宮入 アルバイトで日々賞味期限切れの食品を捨てており、どうにかできないものかと頭を悩ませている。飲食店にとって食品は商材であり、社員食堂として、商材利用していないGMOインターネットグループとは食品の扱いが違うため飲食店に対し、すべてのフードロスをなくせとは言えないが、GMOインターネットグループのように大きな会社が取り組みを行うことでほかの企業にも世界にとっても環境にとってもよい活動なのかを考えるきっかけになってくれることを祈り、編集後記とさせていただく。