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サスティナビリティ

大好きな海のことを想って、「ビーチフレンドリー」な日焼け止めを選ぶ

鍋田ゆかり

鍋田ゆかり

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ふだんから日焼け止めを使っている人は多いと思いますが、海に行くとなると改めて日焼け止めの購入を考える人も多いのでは? そのときの購入基準は何でしょうか。海外では、紫外線吸収剤の成分が入った日焼け止めの使用を禁止している国もあるので、訪れる先によって選ぶ基準が変わるかもしれません。なぜ海外で禁止されているのか、私たちは何を基準に日焼け止めを選ぶべきなのか。この夏、海でたくさんシュノーケルをしようと思っているローカルライターが、「なんとなく良さそうだから」と選んでいた日焼け止めについて調べてみました。

目次

日焼け止めを買うときの基準は何ですか?

ARINA株式会社が運営する「mellow-メロウ-」(https://arinna.co.jp/mellow/)が2022年7月、日本全国18歳以上の方を対象に「日焼け止めを買うとき一番重視することは?」とアンケート調査を行いました。上位10項目は次のとおりです。
1位:SPF
2位:テクスチャ
3位:値段
4位:白浮きしないか
5位:成分や肌との相性
同率6位:PA
同率6位:香り
8位:容量
9位:石鹸で落ちるか
みなさんの基準と比べてみていかがですか? ちなみに私の場合は、できるだけ無添加で肌にやさしいもの、石けんで落とせるもの、値段、でしょうか。この「無添加」というのがなかなか難しいのです。ドラッグストアの日焼け止めコーナーに行ってみると、「無添加」「低刺激」「ボタニカル」など肌にやさしいイメージの言葉が並んでいますが、成分を見るとけっこういろいろ入っています。ですが、どの成分が何に良くて、何に悪いのかを知らないので、どう判断するべきなのかが難しくて悩んでしまいます。

夏は海に行く機会も多いので、自分のお肌にとっていいのはもちろん、海のなかで私たちを楽しませてくれる生き物たちにとってもいいものを選ぶには、何をチェックすればいいのか確認していきましょう。

ビーチフレンドリーな日焼け止めとは?

「ビーチフレンドリー」や「リーフフレンドリー」、「オーシャンフレンドリー」などともいわれ、「サンゴや海の環境にやさしい処方の日焼け止め」という意味です。ただ、これも「無添加」表示と同じで、「ビーチフレンドリー」と謳っているからといって100%サンゴや環境に無害なわけではありません。

ハワイで販売・流通が禁止されている指定成分は、紫外線吸収剤の2つの成分。
・オキシベンゾン
・オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)

タイ王国で国立公園への持ち込みと使用が禁止されている指定成分は、以下の4つ。
・オキシベンゾン
・オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)
・4-メチルベンジリデンカンファー (エンザカメン)
・ブチルパラベン

パラオ共和国では更に数が増えて、以下の10成分になります。
・オキシベンゾン
・オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)
・オクトクリレン
・エンザカメン
・トリクロサン
・メチルパラベン
・エチルパラベン
・ブチルパラベン
・ベンジルパラベン
・フェノキシエタノール

※2023年7月現在

なぜ日焼け止めが環境によくないのか

私たちが日焼け止めを使用して海に入ることで、毎年6000~1万4000トンもの日焼け止めが人の体を通じてサンゴ礁にたどり着いていると推計されています。これらの科学物質が海洋生物にとって有毒であり、サンゴの白化を促す可能性があるのです。
ビーチ 海水浴場

ビーチ 海水浴場

多くの海水浴客が訪れる場所ではそれだけ多くの日焼け止めが流れ出るので、被害も深刻だと思われます。写真:フォトAC
サンゴの白化を促すと、サンゴはどうなってしまうのでしょうか?
サンゴの白化現象は、サンゴ礁の衰退を招く大きな原因の一つとされています。白化現象とは、造礁サンゴに共生している褐虫藻が失われることで、サンゴの白い骨格が透けて見える現象です。白化した状態が続くと、サンゴは共生藻からの光合成生産物を受け取ることができず、壊滅してしまいます。
サンゴがたくさん集まるサンゴ礁は、多種多様な生物が生息しているため「海のオアシス」と呼ばれていて、二酸化炭素を吸収して酸素をつくりだす機能を持っています。海に暮らす、約50万種類ともいわれる生き物たちのおよそ1/4が、「海のオアシス」に集まって暮らしています。
サンゴ礁

サンゴ礁

写真:フォトAC
サンゴ礁は大波にブレーキをかける防波堤としても活躍し、私たちの知らないところで多くの役割を果たしてくれています。もしサンゴの白化を加速させてしまい、サンゴ礁が壊滅してしまったら、海洋生物に大きな影響が出るでしょう。そしてそれは、漁業や私たちの暮らしにも影響を与えるであろうことが想像できます。

日焼け止めと海の環境問題について、今私たちができることは何か

日焼け止めがサンゴや海の環境に与える影響を少しでも知ったなら、自分ができることを考えてみましょう。ここで挙げた情報はほんのわずかなので、もっと詳しい情報をネットで調べることができます。友だちと日焼け止めや環境について話し合ってみることができます。「ビーチフレンドリー」や「自然由来100%の日焼け止め」など、環境に配慮した商品の中から自分の肌や予算に合った日焼け止めを選ぶことができます。日焼け止めの使用量を減らして、ラッシュガードなどを着用して肌を守ることができます。
日焼け止め ビーチフレンドリー 

日焼け止め ビーチフレンドリー 

写真:フォトAC
私が気をつけているのは、「ビーチフレンドリー」という言葉だけで購入を決めずに、きちんと成分を確認すること。先に挙げた指定成分が入っているか否かを判断基準にするのもいいですし、それ以外にもよく分からない成分が入っている物もあります。そんななかでも、100%自然由来のものだけを使って作られた商品もあり、それらの成分はとてもシンプルなので、購入前に成分をチェックしてみてください。
サンゴに優しい日焼け止め

サンゴに優しい日焼け止め

『サンゴに優しい日焼け止め』の成分はとてもシンプル
ちなみに、サンゴの白化現象の原因は決して日焼け止めの影響だけではありません。温暖化による海水温の上昇や、オニヒトデによる食害も原因の一つとして挙げられています。海に流れ出るのは日焼け止めだけではなく、普段使っている化粧品類や、ボディーソープ、ヘアケア用品や洗剤なども同様です。

地球が求めているのは、すべてを地球のために完璧にこなす数少ない存在ではなく、それぞれが地球環境のことを意識して、自分ができることを少しでも行動に移している大勢の人たちだと思います。一人ひとりが、たとえ小さな行動でもできることを日々積み重ねていけば、それは大きな力となって「アースフレンドリー」につながるのではないでしょうか。

写真・文:鍋田ゆかり
ライター。身近な面白い場所や人を取材するのが好き。築100年以上の古民家で、犬猫ヤギとともに田舎暮らしを堪能中。自転車キャンプ、犬連れ車中泊しながら自然を満喫するのが好き。
https://awaawalife.com/

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