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連載 | 瀬戸内の古民家で子育てはじめました

築70年超の古民家リノベ、ビフォーアフターLDK編【瀬戸内の古民家で子育てはじめましたvol.8】

小林友紀

小林友紀

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2020年9月。当時1歳と0歳の子を連れ、東京から愛媛県の今治市へ移住した。今治は妻である私の生まれ故郷。つまりUターンである。昨年、築70年を超す古民家を自宅として購入、再生し、家族4人で暮らしている。そんなわが家の日常を通して、住むほどに味わい深く、子育て世代におすすめしたい古民家の魅力をお届けしたい。

目次

DIYで感じた古民家の寛容性

前回書いた通り、内装解体工事や間取り変更を経て、いよいよわが家が完成間近になってきた。着工からおよそ半年間。解体でトラブったり、井戸が出たりと様々な事件が起きたが、待ちに待った瞬間である。

完成を目前にして、失敗しても後悔しない2階物置スペースの壁の漆喰塗りと、なんとなくできそうな雰囲気を感じた洗面所のタイル貼りは、記念にと一部DIYに挑戦させてもらった。

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思い思いに壁を塗る子ら。
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目地入れがかなり難しく、手取り足取り教えていただきました…。
DIYを経験したのはほんの一部だったが、それでもやって良かったと思っている。自分で作業することで、家づくりに対して寛容になれた部分があるなと感じているからだ。

古民家の場合、そして古民家なりを活かしてリノベーションしたわが家の場合、家の構成要素は自然物が多い。軋んだり傾いていたり隙間があったり。きっちりかっちりぴったり、はどうしたって難しい。

でも例えば壁は漆喰だし床は無垢材だ。極端な話、壁が汚れたら上から漆喰を重ねればいいし、床が汚れたら研磨すればいい。

暮らす中では家は汚れるし時には壊れたりもする。そういうときに修繕する術を自分たちで持てるのも、古民家の価値だと思うのだ。ましてはわが家は幼児が二人もいる。少々のことで怒っていたら身が持たないのだ!

暮らしとともに人も家も成長しながら、変化できる。そんな古民家ならではの寛容性に私は惹かれたのだなと改めて思い至った。

時とともに劣化していくのではなく、時とともに価値が増す。古民家の一番の魅力はそこにあると思う。

それでは各部屋ごとに、ビフォーアフターをご覧頂こう。間取りは以前の記事を参考にしてほしい。

リビング編

かつて座敷だった、南向きで最も日当たりのよい部屋をリビングにチェンジ。天井が高く、もともととても開放感のある部屋だった。
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ビフォー
床は畳から手入れしやすいフローリングに変え、壁は落ち着いたトーンの漆喰へ。元から造りつけだった書院や周り縁はそのままに趣を残しつつ、使い勝手のいい空間へ変貌した。

また床の間は押し入れに、床脇はデスクスペースへと役目を変え、壁がない部屋にテレビをどう置くか悩んだ結果、腰壁を増設してもらった。テレビ掛けとして、裏は収納として、万能である。

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アフター
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リビング収納を兼ねた腰壁を増設。
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床脇はデスクスペースに。神棚は木の扉へ変えてもらい収納として活用。天袋は飾り棚に。かつての床の間には別の部屋の押し入れの建具を合わせてもらい、リビング収納に。

ダイニング・キッチン編

田の字作りで座敷に隣り合っていた和室。
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ビフォー
ふすまを取り払い、一続きでリビングに隣り合うダイニングとキッチンへ。
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アフター
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ダイニングは玄関土間からアプローチできる位置。無垢の床が気持ちいい。
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キッチンの前には見学の時に一目ぼれした既存の建具を移設。
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既存の壁を活かしながら背面収納に。冷蔵庫は仏間スペースにぴったり収まった。

玄関編

玄関土間はもともとのスペースを拡張し、2階を抜いたことで開放的な空間へ劇的チェンジ。
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ビフォー
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アフター
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光が射しこむ明るい土間空間へ。自転車も十分置ける広いスペースを確保。

寝室・書斎編

田の字作りの最奥の和室。この和室へは周り縁からもアプローチできる間取りで、かつては風呂やトイレが設けられていた。
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ビフォー
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ビフォー
かつての風呂場
この空間はガラッと変え、寝室と書斎、ウォークインクローゼットへとリノベーションした。

北側で少し日は入りにくいが、寝室にしたことであまり気にならない。

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アフター
キッチンと縁側の2方向からアプローチでき、ぐるりと回遊できる動線。
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アフター
ウォークインクローゼットと
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書斎へ

古民家の趣を活かしながら快適空間へ

それぞれの部屋の柱や梁はそのまま活かし、かつての間取りをベースにしつつも、家事や子育てにも使い勝手のよい空間へと改装してもらい、子どもたちにとってものびのびと走り回れる家が完成した。

リノベーションの過程で感じたのは古民家のポテンシャルの高さだ。部材は年月とともに風情を纏い、強度を増して揺るぎない安定感を放っている。新築では醸し出せない佇まいは、古民家リノベならではだ。

それでは次回は残る水回りのビフォーアフターをお伝えしたい。

文・写真:小林 友紀(こばやし・ゆき)
大学卒業後、大手総合PR会社にて日用品メーカー・製薬会社・商業施設など幅広い広報業務の支援に従事。5年のPRキャリアを積み、2020年に愛媛県今治市にUターン。現在はフリーランスとして活動中。2児の母。大学在学中には、島根県美郷町の「地域おこし協力隊」を務めた。

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