安城農林高校教諭|山﨑友梨さんが選ぶ、「農度」を高める本5冊
農業高校が舞台の漫画といえば、『銀の匙』。“農業高校あるある”が満載です。生徒が主体的に取り組む授業の様子などが描かれていて、実態がよくわかります。実際「この漫画を読んでこの学校を受験しました」という生徒もいました。ぜひ、中学生に読んでほしいですね。
『銀の匙』の農業高校は、生徒の多くが農家や酪農家の後継者ですが、本校では9割近くが一般家庭の生徒です。私が教えているフラワーサイエンス科は、植物について学ぶ学科なので、まず植物に興味を持ってもらわないといけません。その際にぴったりなのが『おもしろ植物図鑑』。植物に関する雑学的な知識が満載です。たとえば「インパチェンス」という花は、咲き始めには雄しべが伸び、それがとれると雌しべが出てきます。そんなちょっと変わった花の咲き方や、とてもよく考えられた虫と花の関係など、教科書には載っていないけれど、植物に興味も持つきっかけになる本です。
教室には、生徒の将来につながる資格試験の問題集などと一緒に、『おもしろ植物図鑑』のような私がおもしろいと思う本を数十冊並べています。パラパラとめくっている生徒もいて、学ぶことや将来を考える一助になればと思っています。
ここまでは生徒たちの学びに関連する本を紹介してきましたが、次は教師として生徒を育てるという視点に立ったときに、とても参考になった本、『13歳から分かる!7つの習慣』です。『7つの習慣』は、社会人向けでとても話題になりましたが、これは13歳からでも分かるように内容をかみ砕いています。たとえば第1の習慣を「主体的である」としています。これはすぐ反応的に行動するのではなく、1回立ち止まって考え、主体的に行動することが大切だと教えています。また、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」は、作物や家畜を育てる農家にも通じるものです。
学校は学びの場であり、人間形成の場でもあります。生徒たちには、知識や技術以外のことも学んで、たとえ農業分野に進まなくても、何か自分の糧にしてほしいと思います。