ローカルで持続可能な事業をつくるプロジェクトで、プラットフォームでもある「100DIVE」。今回は「100DIVE」から誕生し、宍粟市公認の事業として採択されることを目指しているローカルベンチャー企業『宍粟印』のユニークな挑戦について話を聞きました。
話をしてくれた人:宍粟印プロデューサー・樋口将太さん(TOP写真左)
兵庫県出身。金融機関での勤務を経て、現在はコンサルティングファームに勤務、M&Aや組織再編、事業再生等の案件に関与。地方に関わりたい想いから、兵庫県宍粟市を対象とした「100DIVEプロジェクト」に参画「100DIVE」を通じて出会ったメンバーと共に、2022年10月株式会社『宍粟印』を設立。日本酒発祥の地×森林王国宍粟を基とした「酒樽サウナ」の企画に携わる。
『宍粟印』が挑むのは「宍粟産ヒノキ×日本酒発祥の地」をコラボさせた「酒樽サウナ」ビジネス
『宍粟印』は兵庫県中西部に位置する宍粟(しそう)市にあります。ローカルプロジェクト「100DIVE」から生まれたベンチャー企業です。
意思のある人が集まり、日本各地で持続可能な事業をつくる「100DIVE」
地域の誇り・シンボルである「豊かな森林」と「日本酒発祥の地」という地域資源を活用して、「酒樽サウナ〈mu-su〉」を企画・製造・販売しています。昨今のサウナ需要と宍粟の地域資源をうまく利用しながら新しい産業を創出し、同時に宍粟市の存在感を高めていく事業にチャレンジしています。
事業の目的は、宍粟市内の未利用資源を価値あるものにして、みんなが誇りを持てる産業にすること
私たちが思う、このビジネスを軌道に乗せるために必要だと考えた問いは、
- 宍粟市の象徴ともいえる「日本酒」と「森林」を活かした事業か?
- サウナ市場に新規参入する余地があるかどうか?
- 事業を展開するとき、オペレーションをうまく回せるか?
の3つです。これらを満たしたうえで、結果的にその地域の経済に寄与することが成し得たいことで、私たち『宍粟印』のゴールです。ゴールへのアプローチとして、『宍粟印』はまちのシンボルである「日本酒」と「森林」から着想した「酒樽サウナ」を企画・製造・販売をしています。サウナの形は酒樽型で、おもな素材は宍粟産のヒノキです。
宍粟市内と近隣地域にサウナ関連の人材は少ないこともあり、『宍粟印』の代表が現地で暮らしながら、ほかのメンバーはリモートでバックオフィス業務を行うことで運営を進めています。
『宍粟印』は今設立1期目で、「酒樽サウナ」を軸に事業展開をしています。今後は「酒樽サウナ」をきっかけにした「宍粟市ならでは」の商品開発と、商品を通した宍粟市の「知名度向上」「観光客・移住者の誘致」につなげていく予定です。
地域公認のスタートアップになるには「事業の実現可能性」と「熱意」が大事
『宍粟印』が地域公認のスタートアップになるには「実現可能性」と「熱意」が求められていると感じます。実現可能性については、「オペレーションをちゃんと回せるか」が重要で、事業を立ち上げても人員や体制が無ければ長く続きません。
事業計画についても、「サウナ市場がシュリンクしていないか?」「そもそもサウナのニーズはあるか?」といった外部環境の整理と把握が大事。「売上高をどうつくる?」「販売先はどこ?」「単価はいくら?」「数量はどれくらい?」をしっかり考えながら、売上高が市場の成長や消費者ニーズといった外部環境と違和感なく連動していくことを証明しなければと感じています。
オペレーションを円滑にする内部環境と売上高をつくる外部環境の両輪がスムーズに回る、サスティナブルな事業計画がとても重要で、地域から理解され、愛されるビジネスにするためにも欠かせないポイントです。
熱意については、いくら実現可能性が高くても地域の方に理解してもらわないと意味がありません。地域を思う熱意と覚悟の表現も必要だと感じています。
酒樽と森林を活用して「サウナと言えば宍粟でしょ!」をつくる
私たちが「酒樽サウナ」で実現したいこと、それは「宍粟って、やっぱり素敵なまちだよね」という気持ちを地域の中で育むこと。『宍粟印』のビジネスでまちを有名にして、地域のみんなが地元にもっと誇りを持ってもらえたら最高です。 当面は「酒樽サウナ」の販売網を広げ、市内で『宍粟印』の認知度を高めていきたいです。自画自賛になりますが、「酒樽サウナ」の品質は非常に高く、サウナ愛好家にとっては興味深い商品であると思っています。私もサウナ愛好家で、丁度よい温度・湿度、何より室内に漂うヒノキの香りがたまらない「酒樽サウナ」には確かなニーズがあると自負しています
全国のみなさんに「宍粟市、知ってるよ」と言ってもらうために
今、力を入れているのは「酒樽サウナ」の普及を通じた『宍粟印』の認知度アップ、そして宍粟市の知名度アップ。最終的には「酒樽サウナ」を全国のサウナ施設に普及させて、広告塔にしたいと考えています。サウナ関連グッズの企画販売、宍粟市にゆかりのある商品の開発販売をすることで、宍粟市のことをよりたくさんの方に知ってもらえたらと思っています。
取材・文 ソトコトオンライン編集部 写真提供:宍粟印