田辺市の関係人口講座「たなコトアカデミー」の受講生たちは東京での座学の後、世界文化遺産「熊野古道」をはじめ、農産物や水産物にも恵まれた田辺市へ。地域の人たちとどんな関わりを持てるのか、現場の様子を肌で感じ、ご縁をさらに豊かなものにするための提案を行った。
五感を使って体験して、 リアルな田辺を吸収。
今回の「たなコト」のゴールは、その土地の人と出会い、関係をつくっていく意味を込めた、観光マップならぬ「関係マップ」づくり。「たなべ未来創造塾」の卒業生を中心とした地域のプレイヤーが抱える課題をヒアリングし、そこから導き出されたミッション(仕事)と、その解決に関わった人へのリターン(お礼)を冊子にまとめる。このフィールドワークでは、プレイヤーの普段の作業を実際に受講生が体験して課題を肌で感じ取り、地域内と地域外をつなぐのにふさわしいミッションとリターンを探ることになった。
充実した3日間を過ごした受講生たちと田辺のプレイヤーとの間に生まれた信頼感が、今後も地域に変革をもたらしていきそうだ。
受講生の声
農業をしていた祖父母に影響を受けて農機具を開発して貢献したいと思っていたところ、「たなコト」と出合いました。最先端の技術を用いることを考えていましたが、実際に野久保さんの柑橘畑を訪問してみてその考えが激変。自然と共存しながら農業を続けていくには基礎的なことが大事で、今までそれを見過ごしていたと気づきました。また、今回の実習で田辺のプレイヤーはもちろん、スキルを持つほかの受講生との関係が深まりました。
地域の人の声
環境問題に詳しい過去の「たなコト」の受講生に教えてもらって、自身のレストラン『Restaurant Caravansarai』で生ゴミのコンポストを始めました。できた堆肥を地域の畑に還しています。この持続可能な取り組みが評価されて、「ミシュラン グリーンスター」として掲載していただきました。自身の料理を持続させるには、無理をせずに好きである気持ちが大切だと、受講生との出会いを通じて感じることができて、感謝しています。
text by Manami Kotake
記事は雑誌ソトコト2022年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。