『Social Good in TOHOKU』は、 2011年3月11日に東日本大震災があった東北の“いま”を伝えるコーナーです。東北で生まれているソーシャルグッドなプロジェクトや地域で活動する人々を紹介します。
高校生と地域をつなげる NPO法人『かぎかっこPROJECT』。
代表を務める神澤祐輔さんは、以前は京都で内装デザインの仕事をしていたが、まちづくりに関わるため、プロジェクトを立ち上げた3団体の1つ『co.to.hana』に転職。そこで「かぎかっこPROJECT」の担当となり、2013年9月に初めて石巻市を訪れた。最初は大阪と石巻を行き来していたが、「かぎかっこPROJECT」の中心となっていた活動『高校生がつくる いしのまきカフェ「 」』に従事するため、石巻に移住した。この『高校生がつくる いしのまきカフェ「 」』は、「石巻のために何かしたい」という高校生が企画・運営する、地域を元気にするカフェ。高校生と地域がつながる場として、地域の企業や地元の人々も応援してくれていた。ただ、長いスパンでカフェ運営に関わるのは難しいという高校生の声もあり、『かぎかっこPROJECT』では、高校生事業として、実施期間の短いプログラムも進めてきた。カフェは2018年8月に終了し、現在は、高校生が地元の魅力ある商品を発掘するバイヤーとなって販売会を実施する「高校生百貨店」や、高校生が地元の大人たちにインタビューを行い、働き方や職を通してその人の“生き方”を発掘し、カードにまとめる「仕事みち図鑑」などの教育プログラムに力を入れている。
「『石巻って何もないよね……』という高校生の声を、地域とつながることで、『石巻には何かある!』というものに変えたい。高校生が気づきにくいい石巻のよさを、私のように外から来た人間の視点で伝えたい。そんな思いで、時代に合わせてプログラムをブラッシュアップしながら、高校生事業を行っています」と神澤さんは話す。
高校生事業のほかに、『かぎかっこPROJECT』では2019年ごろからデザインの仕事にも力を入れ、地域や地元企業の課題を解決するためのデザイン事業を行っている。「地域に密着して、相手の顔が見えるなかで、『一緒につくっていっている』という実感があります。地域の団体・企業がもともと持っているよさや魅力を、デザインを通して引き出し、発信していきたい」と神澤さん。今後、デザイン事業に高校生が関わる機会を増やすほか、デザインに興味のある若者が学べる場をつくりたいと考えている。
デザイン事業と、非営利活動としての高校生事業の両輪で、地域に根差した活動を展開する団体『かぎかっこPROJECT』。これからも、地域と高校生をつなげる機会をつくり、さらにはデザインを通して地域の魅力や若者の力を伝えるためのサポートを行っていく。