旧暦5月4日のユッカヌヒー(新暦2023年6月21日)に沖縄県那覇市指定無形民族文化財であり、字大嶺地区の伝統行事「字大嶺地バーリー」が4年ぶりに開催されました。
目次
地域発展を祈願する「地バーリー」
旧暦の5月4日のことを沖縄では「ユッカヌヒー」と言い、それは沖縄の方言で「ユッカ(4日)ヌ(の)ヒー(日)」を意味します。この日には沖縄の各地で「ハーリー(ハーレー)」と呼ばれる昔ながらの沖縄の漁船(サバニ)に乗って漕ぎ合う行事が開催され、沖縄を代表する伝統行事となっています。(現在ではゴールデンウィークに合わせた時期など、地域によって開催日程は異なります)
「ハーリー(ハーレー)」は元々は御願行事で、海の神様に航海安全、大漁祈願や地域の発展を祈願するもの。字大嶺地区では沖縄県内でも珍しい、地上で行う「地バーリー」が伝統となっています。
海上で漁船(サバニ)に乗って漕ぎ合う「ハーリー(ハーレー)」とは違い、間近でその様子が見られるのも「地バーリー」の特徴。鐘打ちが鳴らす鐘のリズムに合わせて漕ぎ手は息を合わせ、旗持ちは掛け声とともに漕ぎ手の士気を高めていきます。力強く、前へ前へと進む様子は迫力満点。
また、会場では、この日の前日に追い込み漁で取った魚が婦人会によって調理され、提供されていました。
そして今回、プロのカメラマンによる撮影が入っており、「昨日の追い込み漁から撮影してもらっています。大嶺の漁師が減ってきていることもあって、知らせていきたいという想いがあります。」(字大嶺自治会館 ウエタさん)
最近ではコロナ禍で漁の機会(人の出入り)が減っていた影響か、サンゴが増えた反面、サンゴを傷つけないように…と、漁がしづらくなってきているといいます。
【字大嶺ハーリーと地バーリー】
字大嶺のハーリーの始まりは1868年(明治19)ごろ。『大嶺の今昔』(字史)には、大嶺の漁業者(ウミンチュ)は那覇ハーリーの「久米舟」の漕ぎ手として参加しており、その姿を見に、多くの字民も那覇ハーリーを見物に行っていたそうですが、ある年に集落内に伝染病が流行り、那覇ハーリーを見物に行けなくなったので前ヌ浜(メーヌハマ)でハーリーを漕いで見せたのが始まりと伝えられている、と書かれています。
字大嶺のハーリーの始まりは1868年(明治19)ごろ。『大嶺の今昔』(字史)には、大嶺の漁業者(ウミンチュ)は那覇ハーリーの「久米舟」の漕ぎ手として参加しており、その姿を見に、多くの字民も那覇ハーリーを見物に行っていたそうですが、ある年に集落内に伝染病が流行り、那覇ハーリーを見物に行けなくなったので前ヌ浜(メーヌハマ)でハーリーを漕いで見せたのが始まりと伝えられている、と書かれています。
そして「地バーリー」は遠浅で沖の方で漕いでいたハーリーを十分見ることができなかった人達にハーリー舟を浜へ担いできて漕ぐ姿を見せたのが始まり、と言われているそうです。そして字大嶺の伝統行事として引き継がれてきました。
現在は許可なく入ることのできない、かつての『大嶺』
実はかつての「大嶺(大嶺部落)」は、現在の那覇空港敷地内にありました。
肥沃な農地と目の前には豊かな海が広がる半農半漁の村で、遠浅の海は干潮時には潮干狩りの場となっていたそうです。砂糖製造も盛んで、3棟のサーターヤー(製糖工場)もあったといいます。350世帯ほどが住んでいたそうです。
けれど先の戦争が始まる直前、国家総動員法により国に土地を接収され、人々は故郷を離れました。戦後はアメリカ軍の那覇基地として、現在では那覇空港・航空自衛隊那覇基地となり、ご先祖が暮らしたかつての故郷には許可なく入ることができなくなりました。
また、現在の「大嶺御嶽」は戦前の大嶺に散在していた拝所神々を集合させ遷座したものですが、旧大嶺にはまだ拝所が数ヶ所残っています。許可なく入ることのできないふるさとの方角に向かい、静かに手を合わせます。
地域をつなぎ、力強く、次世代へ
かつての故郷で暮らすことができなくなってからも伝統を守り、2001年(平成13)に那覇市指定無形民族文化財に指定された「字大嶺地バーリー」。
ふるさとへの誇り、そして地域をつなぐ伝統文化は、力強く、次世代へと受け継がれていきます。
【字大嶺 地バーリー】旧暦5月4日(ユッカヌヒー)_うるくローカルプレス
迫力ある『地バーリー』をぜひご覧ください!
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『うるくローカルプレス』は、うるく地域のローカル情報発信局
沖縄県那覇市の最南端に位置する「小禄(おろく、沖縄方言:うるく)」地域。「うるくんちゅ」と呼ばれる地元民、歴史・伝統文化が残り ”沖縄の今と昔”が程よく共存している”うるく地域”のあれこれをご紹介します。うるくローカルプレス
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