初めてクラウドファンディングを主催。完熟佐藤錦のクラフトビールができるまでの舞台裏。

初めてクラウドファンディングを主催。完熟佐藤錦のクラフトビールができるまでの舞台裏。

おざま農園を経営する小座間さんとの出会い


「胸きゅんする食材を探しては、その食材たちは、どんな生産者の手に愛でられ、どんな景色をみて大きくなったのか。」


それを自分の五感で感じたく、生産者さんのもとへと訪れております丸山寛子と申します。また都内で食卓をコンセプトにしたシェアキッチンハウス(mogmogはうす)の運営もしています。


そんな現地のシーンを彷彿させるような食材を活かすワークショップやイベント、食材自体の味をとことん活かすことができるようなレシピの開発や料理教室を生業としています。


新型コロナウイルスの影響を受けて生業をすることができなくなり、ふとひらめいたのが、行き場のなくなった果物を活かして、フルーツビールができないかということ。


今回、初めてのプロデュースとなった果物は、山形県天童市のさくらんぼ「佐藤錦」でした。


天童市のおざま農園を経営する小座間さんと出会ったのは、5年くらい前。東北の食材を扱っている地元のバルで、知り合いました。


おざま農園の小座間さん


佐藤錦の収穫期(6月の中旬から後半)にだけ行われる「収穫サポーター」。そこに参加してはや4年になるのですが、今年は新型コロナウイルスの影響もあり収穫サポーターは中止。


「行き場のなくなってしまったさくらんぼたちを、どうなってしまうのだろう!」


生産者さんである小座間さんに、佐藤錦のクラフトビールを作らないか?と話を持ち出し、GOサインを出してくれたのが、ドラマの始まりでした。


とはいえ、その資金をどうするのか?ビールを醸すための資金を集めるために、ドキドキしながらも生まれて始めてのクラウドファンディングに挑戦することにしました。


クラウドファンディング


(目標金額には達成しませんでしたが、みなさまの資金でさくらんぼビール醸すことができました!応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました!)


今日は醸すまでのちょっとした現場のストーリーを皆様にお伝えできたらと思い、そして自分自身も鮮やかな思い出をいつまでも記録にしたいので、綴ります。


どんなシーンで飲んでもらいたいか


私が旬の果物のクラフトビールを生み出すにあたり、「この人にお願いしたい!」と心からそう思えたのは、ゴールデンラビットビールの代表の市橋さんの彼の姿勢に共感したからです。


今ではすっかりクラフトビールの企画を幾つも共同で企画させてもらっているのですが、彼は生産者さんの想いをしっかり聞きます。


『どんな味で、どんな香りで、どんな色で、そしてどんなシーンで飲んでもらいたいか』


味はもちろん、そのビールが日常生活のシーンでどこの瞬間に介在するのかを細かくヒアリングして、食材の生みの親である生産者さんの想いを最も大切にビールのレシピを考えるからでした。


どことなく、自分がとても大切にしている想いと重なる部分が多く、果実たちへさらに美味しくなるための魔法をかけてくれるだろうと直感が働いたからです。


ゴールデンラビットビールの代表の市橋さん


生産者であるおざま農園の小座間さん、そしてゴールデンラビットビールの代表の市橋さんとどんな味に仕上げるか、オンラインで打ち合わせをしました。


今回のクラフトビールを醸すにあたり、小座間さんは「佐藤錦の真っ赤な宝石のような輝きと同じ色にしたい!」と市橋さんへオーダーしました。


佐藤錦


「人工的なさくらんぼの香りを添加した食品はすぐにわかる(美味しくない)」


「できれば、人工的なものを使用せずに本物のそのままの味と香りにしてほしい」


小座間さんが話した言葉を、私は今でも鮮明に覚えています。


市橋さんから提案されたクラフトビールのイメージは以下のような感じでした。



  • ルビーのような赤(もしくはワインレッドのような深い赤)

  • \t
  • コクもありつつも、さわやかな酸味。はちみつを思わせる甘みと香り

  • \t
  • ベルベットのような舌ざわり

  • \t
  • 特別な時に飲んでもらえるようなとっておきのビール


このイメージを聞いたとき、私と小座間さんは胸が踊り、どんなビールができるのか、楽しみで楽しみで仕方なかったのです。


佐藤錦


 


「佐藤錦の果実だけで、さくらんぼの匂いと色を出すのは難しいで」


そんな胸踊るクラフトビールの出来上がりの楽しみにわくわくが高まる一方で、ゴールデンラビットビールの市橋さんから、「佐藤錦だけで、香りと色を出すのは、相当難しいで」という一言をもらいました。というのも、佐藤錦のサンプルを食べたときに、味も香りも繊細だから表現するのが難しいと。


醸造チームで話し合っても、「香料を使うしかないのでは?」という話になったとのことです。香料と着色料を使って「さくらんぼ」感を出すのは、簡単であるとのことでした。


今回のこのプロジェクトは、生産者である小座間さんのビールを着色料や香料を使わずに果物だけで作り上げたいという思いがどうしてもあり、「なんとか佐藤錦だけで作ることは出来ないか?」と無茶なお願いをさせてもらいました。


待ちに待った佐藤錦の到着とともに、ビール職人を唸らせる


いよいよ6月後半にもなり、佐藤錦の収穫のシーズンが近づいてくると同時に佐藤錦の舞台は山形県天童市から奈良県へと変わります。


もともと行き場のなくなった佐藤錦に魔法をかけるということが大前提なのですが、今年は特にこの梅雨の長雨のせいなのか、1つの身が双子になってしまう実が多くなってしまったのことです。


佐藤錦


もちろんこの果実は出荷されず廃棄処分となってしまいます。この果実の生育状況は、天候やウイルスと同様予想ができないことです。


今回、この双子の果実たちも含めて奈良県に届いたのは60kgの佐藤錦たち。だいたい1kgの量で、およそ60〜70粒。


単純計算で70粒×60kg...4000粒くらいあります。


佐藤錦


仕込みは、ゴールデンラビットビールのスタッフのみなさんが佐藤錦を1粒ずつ手で実から種を取り除きます。


そして1粒残さず大切にクラフトビールの原料になりました。


佐藤錦


今回、私がこのプロジェクトの代表を務めるにあたり自分は実際に現場での作業をすることができず、本当に毎日がもどかしく東京から「美味しくなーれ」という願いかけることしか出来ませんでした。


現地の市橋さんから「佐藤錦のビールの発酵具合は順調だよ」という報告をもらう度に、初めてのチャレンジでもあり、胸の奥がじーんと熱くなるのでした。


そしていよいよ、瓶に詰める充填作業が終え、最終段階までやってきました。


地域の魅力を伝えるデザインの力


私の自慢のチームメンバーであるデザインチームの話もさせて下さい。


そんな私たちの力作でもあるラベルも奈良に届きました。小座間さんと打ち合わせをし、小座間さんの想いが散りばめられているデザインは、私自身もお気に入りそのものです。


ラベルのイラストにもなっている佐藤錦は、私が実際に小座間さんのさくらんぼ農園に訪れた際に撮った佐藤錦の写真を使っています。


クラフトビールブランド《SAISON TAPS》


シルエットの形は山形県にそびえる「月山」の姿。


小座間さんが農園の中で一番好きな場所をヒアリングして、見事にラベル上に表現してくれました。


いよいよクライマックスへ


実際に醸すこと、およそ1ヶ月。クラウドファンディング終わったと当時に、出荷作業が始まります。
ラベルも1枚1枚手で貼っていきます。
ずれないように、シワにならないようにと、出来上がったビールに最後の最後まで気を配り、クラウドファンディングを支援してくれた人のもとへ発送します。


そして今回、クラウドファンディングのリターンの1つに「佐藤錦のクッキージャムサンド」もあります。


地域の生産者さんとの6次化商品開発を得意とするパティシエのmaacoさんにお願いして、小座間さんの佐藤錦を丁寧に煮込んだコンフィチュールをふんだんに使って作ってもらいました。


maacoさんとは、地域の食材を生かした商品開発や都内での販路開拓などの仕事依頼を一緒に担うことも多く、様々な地域でのプロジェクトを4年前から共にしています。


また、去年は一緒に天童市の小座間さんのさくらんぼ農園へ行き、収穫サポーターとしてお手伝いをした仲でもあります。


maacoさん


彼女が作るスイーツは、生産者はじめ購入する方からもとても好評で、今回の数量限定のクッキージャムサンドもすぐにSOLD OUTになり、追加追加で、忙しい中、対応してくれた恩人でもあります。


クッキージャムサンド


STORY TELLER(物語を伝える人)として


クラウドファンディングにチャレンジすることは、一言でいうと「サクセスする、しない」で終わることだったかもしれません。


あくまでも、それは表面的なものでしかなく、1つのものを創り上げるには、たくさんの素敵な仲間たちの想いはもちろん、長年つちかった術が集約される必要があります。


創り上げられたものは唯一無二の結晶であり、そのドラマが日々、重なり合ってできたものです。


素敵な仲間たちが、「もの」としてこの世に生み出してくれたからこそ、私が語り継ぐSTORYができるのです。


「作り手」「醸し手」「伝え手」この3つが、うまく重なりあうことで。これからの日本の果物の価値や里山の未来が変わるであろうと信じています。


私はそのドラマが色褪せないようにと、語り継ぎ、そして未来へと繋ぐSTORY TELLER(物語を伝える人)として、これからもたくさんの軌跡を紡きます。


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