「日本の田舎町にシリコンバレーのような未来の学び・実践の場をつくる」そんな壮大なビジョンを掲げ、徳島県神山町で生まれようとしている「神山まるごと高専」プロジェクト。2023年4月に開講を予定する同プロジェクトは、6月1日から、共に学校づくりに関わり、開校後も応援してくれる「先輩」をMakuake上で募集。日本初の学校づくりに関われるという、一生でまたとないチャンスを世にひらく、そんな取り組みの詳細、そして先輩を募集する背景とは? 6月1日に行われた記者会見の様子をお伝えします。
「神山まるごと高専」設置構想が生まれたきっかけ
地方創生が叫ばれる以前から「創造的過疎」を掲げて、アーティストインレジデンスやサテライトオフィス誘致など、全国の自治体に先駆けたチャレンジに取り組み続けた、徳島県神山町。
新しいチャレンジが生まれ続ける町で、新たに始まる日本初の挑戦が、「神山まるごと高専」プロジェクトです。神山町という地域をまるごと、学びや実践のフィールドとして活用する、実践型教育を展開する構想で、学生たちは過疎化や少子高齢化など、日本が抱えるリアルな課題と向き合います。
そんな神山まるごと高専が生まれるきっかけこそが、2010年に神山町内のサテライトオフィス第一号となったSansan神山ラボでした。当時、Sansanは既成概念に囚われない新しい働き方を実験するため、サテライトオフィスを神山町につくりました。その縁が繋がって、約10年越しに神山まるごと高専が誕生することになります。(※神山まるごと高専は、2021年10月に設置認可申請、2023年4月の開校に向けて、設置準備中)
「神山町は地方創生のフロントランナー。けれど、他の自治体と同様に様々な地域課題に溢れています。本当の意味でサスティナブルな地域を作るためには、全国から若手を呼び込む、新しい教育が必要だと以前から考えてきました」
神山まるごと高専の理事長に就任予定のSansan創業者の寺田親弘さんはプロジェクトの意義についてそのように語ります。
学校づくりは、地方創生の壮大な社会実験
神山まるごと高専のような私立の独立系高専は日本初で、なおかつ高専の新設は20年ぶり。本プロジェクトの創設メンバーには、寺田さんのほか、本プロジェクトのクリエイティブディレクターとして、Crazy Wedding創業者の山川咲さん、初代学校長に就任予定の通販サイトZOZO元CTOの大蔵峰樹さん、カリキュラムディレクターを担うPARTY創業者の伊藤直樹さんなど、国内屈指のベンチャー起業家4名が参画。起業家自身が欲しいと思える学びを追求した結果、プログラミングを中心としたテクノロジー教育や、UI/UX、建築、現代アートなどに関連したデザイン教育、起業家精神を育成する独自のカリキュラムを提供する予定です。
そういった町外の起業家に加えて、神山の地域づくりを長年行ってきた、NPO法人神山グリーンバレー代表の大南信也さんや神山町役場も全面バックアップ。校舎は既存の神山中学校を利活用する予定です。
計画では、20名の教員が町に移住、さらに200人の学生やその家族や友人、関係者が集まり、地域の関係人口創出にも寄与するといいます。
そういった学校づくりによる、地域への経済効果は年間3.4億円を見込み、プロジェクト自体がまさに地方創生の壮大な社会実験です。
未来の学校を共に。「一緒につくる先輩」を1,000人募集
そんな神山まるごと高専は全てがゼロからの立ち上げ。したがって、新入生をサポートする先輩も、もちろん存在しません。今回の先輩1000人の募集は、先輩がいないという課題を逆手に取って、未来の学校づくり、これから入ってくる新入生のサポートを行ってくれる仲間をで募集するというもの。
先輩としては、ビジネスパーソン、教育を変革したい教育者、高専卒業者、身近で応援できる徳島県民、次世代の若手を応援したい保護者の方など、幅広く全国から募集したいといいます。
一つの学校という枠にとどまらず、全国の多様なバックグラウンドを持った先輩を持てることも、神山まるごと高専ならではの社会に開かれた教育環境かもしれません。
募集コースは、「一緒に作る先輩コース」と「純粋に応援コース」の2種類。「一緒に作る先輩コース」では、先輩になってくれた方には、定例の学校づくり会&懇親会への参加、入学式といった学校行事への参加、学生のお困りごとサポートなど、文字通り一期生の先輩として一緒に学校づくりに関わることができます。
実は、この先輩募集、当初は10,000人の先輩を募集する案もありました。
「でも、10,000人だとお互いの顔が見えず、手触り感がなくなってしまうと思ったんです。1,000人ならリアリティがあるし、コミットしてもらえるちょうどいい規模感。最終的には1,000人限定の募集に決めました」と寺田さん。
未来の学校をつくるため、まずは大人がチャレンジしていく
今回、Makuakeでの大々的な先輩募集について、クリエイティブディレクターの山川さんは、
「こんなに大きなプロジェクトを世の中に投げかけると思うと、失敗する怖さもあります。でも、学校を作る側がビジョンを掲げてチャレンジしていく姿勢を見せること自体が、これから入ってくれる生徒のお手本にもなるのではないかと思うんです」と、自ら学校の価値観を体現していく大切さを語ります。
今回、クラウドファンディングプラットフォームを提供するMakuakeも、集まった応援購入金額の3%をMakuakeとして寄付するという異例のサポート体制を表明。
「通常であればここまでの支援はやってきませんでしたが、神山まるごと高専のビジョンに共感し、できる限りのことをしたいと思いました」と取締役・坊垣佳奈さんは話します。
前例のない、はじめて尽くしの学校だからこそ、創設メンバーも、先生も、学生も、試行錯誤しながら創っていくしかありません。だからこそ、大人も学生もみんなで共に学びながら、共に創り上げていく。神山まるごと高専が、そんな共育・共創の場になる兆しを感じる記者会見でした。
応援購入サービスは、2021年8月29日(日)まで。詳細はこちらから。
あなたも「学校作り」しませんか? 神山まるごと高専(仮称)設立プロジェクト