地方で働く女性、都心で働く女性、子育てをしながら働く女性、さまざまなライフスタイルを送る女性たちを取り上げ、女性の健康課題や社会課題について考える対談コンテンツ『フェムコト』。
今回対談させていただいたのは、編集・ライターとして数々の女性誌やWEBなどでビューティー、ファッション、インタビューを担当する石橋里奈さん。年齢とともに変化した仕事に向き合う姿勢や美容・健康法について、お話ししてもらいました。
RULE1.スケジュールに“休み”を組み込む
RULE2.メンタルを整えるためサウナに行く
RULE3.出会いを大切に楽しく働き、遊ぶ
〈Profile〉
ビューティーライター 石橋里奈(いしばし・りな)さん
●静岡県出身。大学進学をきっかけに上京。雑誌社でのアルバイトをきっかけに、ライターを志す。25歳頃からフリーランスの編集・ライターに。『anan』,『BAILA』、『VOCE』、『ar』、『otonaMUSE』などの女性誌でビューティやタレントインタビューなどを執筆。写真集や書籍の編集も手がける。趣味はサウナとホカンス。Instagram@rinanapple
休日、睡眠、サウナetc.でメンタルヘルスが良好に変化
石橋さん:ライターを志してアシスタントをしていた頃、ビューティライターさんの現場につかせていただくことが多かったんです。いろいろなコスメに触れたり、美容の知識が増えていく中で、メイクやスキンケアひとつでコンプレックスが解消したり、女性が輝きを増すことに感動したんです。どんなに年齢を重ねても楽しんでいけそうなところにも魅力を感じ、美容の仕事に興味を持つようになりました。とはいえ、若い頃はなんでも経験することが大事だと思っていたこともあり、興味があるテーマの企画を振っていただいたら、タレントさんの取材やストリートスナップ、占いや結婚特集など、美容以外のページも積極的に受けさせていただいていました。
そんながむしゃらな毎日の中で「私って器用貧乏なのかもしれない」と悩んだこともあったんですが、30代半ばくらいから経験したことの“点”が“線”で繋がる感覚が出てきたんです。うまく説明するのが難しいんですが、どんなジャンルのお仕事をいただいても臨機応変に進められるようになったというか。このところスタイルブックや写真集のお仕事を受ける機会を多くいただけるようになったのも、当時積んだ経験値のおかげなのかなと思っています。
石橋さん:私がライターになりたての頃は編集部の方も周囲の同業の子たちも寝ないで働いたするのが当たり前だったんです。でも、時代とともにみんながワークライフバランスを大切にするようになっていく中で、私も休むことを大切にするようになりました。単純に、年齢を重ねるとともに体力が低下したからペースダウンしたかったというのもあります(笑)。
数年前から、締め切りがどうしても間に合わなかったり、その日しかできない撮影が入ってしまった時以外は、基本的に土日はお休みにするようにしているのですが、そう意識してみて感じたのは、息抜きや睡眠をきちんと取っている方が、撮影や原稿を書く時の時のパフォーマンスが上がるということ。スケジュールが仕事だけで埋め尽くされると、プライベートも全て後回しになるじゃないですか。振り返ったとき、毎日の全てが仕事の思い出になってしまうと、なんのために働いているのかわからなくなりそうなのも悲しくて。
可愛がっている姪っ子のお誕生日をお祝いしたり、大事な家族や友達のピンチに駆けつけられるくらいの余白をスケジュールに残しておくように心がけています。せっかく好きで始めたライターの仕事を嫌いになりそうな瞬間が出てくるのも悲しくてもったいないですよね。負の感情って自分にものすごいダメージを与えてくるから。仕事もプライベート、どちらも楽しめるように、スマホのスケジュール帳に“休み”と書くのをルールにしています。
フェムテックtv:そこから生活スタイルはどのように変化しましたか?
石橋さん:早朝の撮影がない日は朝7~8時くらいに起きて、24時頃にはベッドに入るようにしています。体が資本の仕事をしているので、健康が何より大切。体力をつけるために週1~2回パーソナルトレーニングのジムに通い、仕事が早く終わった日やオフの日は大好きなサウナに足繁く通っています。サウナはすっかり趣味で、私の生活に欠かせないものになりました。
『サウナしきじ』の魅力にどっぷりハマりサウナーに
石橋さん:数年前に、サウナ好きの友達に「静岡県出身なのに『しきじ』に行ったことがないのはもったいない!」と言われて行ってみることにしたんです。そしたらびっくりするくらい気持ち良くて。東京に帰る新幹線に乗っている間中足元も頭も「無重力の世界にいるの?」って思えるくらいふわふわになったんです。その日をきっかけにどハマり。東京に戻ってからも日常的にサウナに行くようになりました。
サウナにいる数時間、デジタルデトックスできるのもいいんですよね。LINEができてからというもの、仕事の連絡がサクサク取れて便利な反面、スマホでの連絡が断続的に続くことが苦しくなる瞬間が時々あったんですけど、スマホを見ない時間を作ることで、心のバランスが取りやすくなった気がします。今考えると、サウナに出会う前の私はピリピリしていることも多かったし、現場の不満を口にすることが今より断然多かった気がします。
石橋さん:ストレスが溜まると蕁麻疹ができやすい体質だったのですが、そういうことが減りました。あと、むくみを溜めづらくなった気がします。汗をかくことで体も心もスッキリするし、肌に透明感が出て睡眠の質も上がったりといいことしかなくて。ちなみに、サウナに関しては、そこまで効能を求めてるわけじゃないんです。あくまでリフレッシュできる趣味。
ロングインタビューや撮影の後って妙に頭が冴えっぱなしになったりするんですけど、サウナにいくことでのスイッチをオフにできるのがいいんですよね。もともとものぐさな性格なので、疲れてると家でお風呂に入るのが面倒くさく感じることがあるんですが、外で入ると、お風呂ってエンタメになるところもいいんですよね。原稿の締め切りが溜まっているときはサウナ付きのホテルに宿泊することもよくあります。
フェムテックtv:一般的によく言われるサウナで“整う”とは?
石橋さん:私は“整う”って表現はあまりピンとこないんですよね。それより、お酒を飲んで酔っ払って一番気持ちがいいときってあるじゃないですか。あんな感じの“ふわふわ”って感覚が一番しっくりきます。サウナに行き慣れていない方は水風呂がハードル高く感じると思うんですけど、一度ざぶんと入ってみると、新しい世界が広がるので、是非試してみてほしいです。「この街にはどんなサウナがあるのかな?」と思って旅に出たりするのも楽しいですよ。はじめ行く土地も、そこにサウナがあると想うだけでキラキラして見えて。恋してる時、好きな人が住んでる街に行くのに似た高揚感があるんです(笑)。つい先日も朝起きてふらっと日帰りで富山にある『スパアルプス』まで足を伸ばしました。
フェムテックtv:サウナ以外でもジム通いやファスティングなど、健康管理をしっかりされてる印象です。
石橋さん:健康のためにジムに行き始めたら、トレーナーの先生から「減量に興味はないんですか?」と聞かれて「それなりにあります」と答えて。その日をきっかけにボディラインを整え始めました。先生のアドバイスに従って食生活を整え、運動を取り入れるようにしたら、思いのほかスルスルと体重が落ちて。肩こりや腰痛も改善して体が軽くなりました。ジムはサウナと少し似ていて、心のデトックスにもなるんですよね。重いダンベルを持ったりすると、それに必死すぎて余計なことを考えずに済むのがいいのかも。
昔は「ジムに行ったら疲れちゃいそうだから今日はやめとこ」と思ってたのが、今では「スッキリしたいからトレーニングしたい」という考えに変わりました。ちなみに体重は減り始めると、ゲームみたいな感覚になってくるんです。これを食べたら体が重くなる、こうしたらリセットできるということがだんだんわかってくる。とはいえ、食べるのが大好きで気づくとカロリーオーバーしまくりなので、最近は、定期的にファスティングを取り入れるようにしています。
よく利用しているのが『デリファス!』の食べるファスティング。胃腸が休まって体が軽くなるのはもちろんなんですが「私の肌って、こんなに透明感あった?」ってくらい、肌がキレイになるところが気に入っています。
休むことに怯えずプライベートも充実させながら、遊ぶように働く
石橋さん:自分ではあまり自覚がないんですが、40歳を超えたくらいから「もしかしたら腟が緩んできてるのかも?」と感じることがあります。銭湯に行くと水が入りやすくなってるような気がするんですよね……。体のメンテナンスのために通っている『エメリリア ビゼ』というサロンに最近、座るだけで骨盤底筋群を鍛えられる“ボディスカルプチャー”というマシンが導入されたので、少し前からそのメニューをプラスしていただいてます。まだ始めたばかりで具体的な実感はないんですが、続けるうちに引き締まる感覚が得られるそうで、期待しています。
フェムケアはまだかなりの初心者で、あとは生理4~5日目でスッキリしなくて嫌だなと思うときに取り入れる『ビデ』やデリケートゾーンの専用ソープ、ウェットシートなどを取り入れているくらい。吸水ショーツなどにも興味はあるので、今後もう少し向き合えたらとは思います。
石橋さん:キャリアをスタートしてからとにかくフルスロットルで働いてきて自分なりに経験も豊かになったと思います。今後はそのスキルを活かしながら好きなことや興味が持てる仕事を楽しみながらできたら幸せですね。これまで頑張ってきた分、そこはちょっとくらいわがままになってもいいのかなって。そんなこと言ってたら仕事のオファーが減ってしまうこともあると思うけど、そこは能天気ですぽっと空いた部分にまた新しい案件が入ってくる気がしてしまうから不思議(笑)。最近はライター・エディター以外にPRのお仕事をいただく機会も増えて。専門職ではないので私にできる範囲のことしかできないけれど、必要としてくれるのであれば全力で応えたいと思ってお受けしています。それからこれは完全に夢物語ですが、いつの日かサウナやサウナで使うのに便利なコスメをプロデュースしてみたいな、とか、老後は大好きなドーナツや練り切りのお店を開いてみたいなーなんて、ウキウキ妄想したりしています。一般的に定年と言われる65歳ってきっとまだまだ若いし体力もあるから、元気な限りできるだけ長く何かしら仕事をして過ごしたいと思っています。
フェムテックtv:では最後に、石橋さんが考えるウェルビーイングな世界とは?
石橋さん:みんなが笑顔で心地よく生きている世界。人生で出会える人の数って限られてるじゃないですか。仕事でもプライベートでも、その隣接しているみんながいつも笑顔でいられる世界であれたら、素敵ですよね。半径10mくらいの人の幸せしか目の当たりにはできないけれど、その人たちを想う優しい気持ちが連鎖していけば、世界中に幸せが広がる。そう願い、信じています。
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橋本範子(はしもと・のりこ)●女性誌を中心に手がける編集・ライター。趣味は深夜ラジオを聴くこと。小型船舶2級所持。