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場づくり・コミュニティ

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0

社会とつながることで、見えにくい価値を視覚化する。

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目次

徹底した業務改善を経て行う「働きたくなる環境づくり」に、働き方のヒントが!

お話を聞いた人

渡辺辰吾さん 『ソウワ・ディライト』代表取締役CEO

横尾 今回お話を伺うのは、群馬県前橋市で店舗や施設の電気設備工事の事業を営むかたわら、前橋のまちづくりにも心血を注いでいる『ソウワ・ディライト』代表取締役CEOの渡邉辰吾さんです。グリーンバード前橋チームのリーダーも務めていただいています。今や前橋で大活躍の渡邉さんですが、東京の広告会社に就職し、その後家業を継がれるまでにはどのような経緯があったのですか?

渡邉 元々父が興した事業を継ごうと思っていたので、まずは修業のつもりで就職しました。ところが、家業の業績が思わしくなく、想定よりも早く帰ることになりました。戻った際に、業務改善のための計画書を作って父に持っていったのですが、嫌なら辞めろと全部却下されました。でも、10年目を前にして、父に「すべて任せる、好きにやってくれ」と言われました。業務手順を一元化し、徹底的に社内改革を行ったところ、社長になって最初の1年で、業績は100倍になりましたが、社員の3分の2は辞めてしまいました。

横尾 衝撃的な数字ですね。

渡邉 2年目からやりたいことをやるために、1年目はとにかく数字やカタチに拘りました。結果が出たので、翌年からはこのやり方は完全に捨て、どうしたら必要とされる会社になるかを徹底的に考えることにしました。まず、「デンキのミライにワクワクする」というビジョンをつくりました。一生懸命仕事をしているのに、若い人や地域から評価されていない。すべての人たちに明確に伝わるアイデンティティが必要だと考えました。電気を通じて、世の中に価値を提供したいと思ったんです。

横尾 そのためにはじめたのが、まちづくりの活動だったんですね?

渡邉 正直、建設業の枠組みだけで表現をすることは限界を感じていました。それでは社会課題に対して真剣に取り組むのはどうだろう、まずは自分たちの力でできることをやってみようと動き出しました。最初にやったのは、サッカースタジアムでキャンプをして、家族の思い出をつくるというイベントでした。電気とはまるで関係ないし、「そんなことが事業に役立つのか」とも言われましたが、企業として社会課題とつながることはものすごく大切で、そのためには必ずしも自分たちの事業と直結しなくてもいいと考えました。大事なのは、自分たちの持っている課題ではなく、みんなの課題なんです。周囲に自分たちのアイデンティティを伝えることができた結果、地域をデザインする仕事を任され、会社にとっての新しい可能性も生まれたりしました。

横尾 これから特に取り組んでいきたいことはなんですか?

渡邉 100年先、150年先のことを考えて、今できることをやる、ということに尽きると思います。先を短く考えてしまうと、自分の生きている間で考えてしまいますから。ワクワクする未来のために、自分たちがどのようなアクションを起こし続けるか、それを考えることがとても大切だと思っています。そのためにも引き続き、会社の発展と地域の発展を両輪として進み続けたいと思っています。これからの世代の人たちには、自分が正しいと思うことをとにかくやってもらいたいと思います。自分たちの未来ですからね。

取材後記

 本文中に取り上げたもののほかにも、前橋を盛り上げるための45件のイベントを45日間で行った「Maebashi 45DAYS」の開催や、ぼんやり光るロウソクを使った提灯を持ちながらごみ拾いをする「ちょうちん行列」など、本業につながるかどうかに関係なく、まちを中心に据えてさまざまなチャレンジを続ける渡邉さん。150年先を見つめながらも、「自分がよいと思うこと、真(まこと)だと思うことをやる。ブレストばかりでアクションしないと、タイムオーバーになってしまう」と動き続け、実行し続ける渡邉さんの周りには、いつもたくさんの人が集まっています。みんなでつくる、前橋のこれからがすごく楽しみです。シェアオフィス『comm』にも今度遊びに行きたいですね。(横尾)

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