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連載 | SUSTAINABLE DESIGN

春日台センターセンター

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目次

郊外のセンターを“再センター化”する 新しい福祉の形。

郊外住宅地の衰退が各地で進行している。急速に進む少子高齢化に対して、どのように郊外をモデルチェンジすればよいか? 大変な難題である。今回紹介する『春日台センターセンター』は、福祉を暮らしの核に据えることで、郊外をモデルチェンジしていこうとするプロジェクトである。

神奈川県愛甲郡愛川町内の地区・春日台は、神奈川県の中央に位置しており、鉄道駅のないベッドタウンである。この町で育った福祉法人の代表が町に戻ってみると、暮らしの中心だった長屋商店街はシャッター通り商店街化していた。訪問介護事務所をつくり、自分たちの手でシャッターを一つでも開けようというのが当初の想いだった。ところが連携を期待していた、愛されていたスーパーマーケット『春日台センター』までが店を閉めることに。

町の急速な衰退の進行に、いよいよ覚悟を決め白紙から計画を練り直していくことになる。この計画に伴走していくのは若手実力派建築家・金野千恵さんである。福祉法人の代表と金野さんは「あいかわ暮らすラボ」という、この町の暮らしについて話を聞く場を立ち上げ、ゼロから構想を練り直していく。どんな暮らしの悩みがあるのか? どのように暮らせたら安心なのか?暮らしと福祉の“同居”は可能なのか? 行政が新しい福祉の必要性を理解し、福祉計画に組み込んでくれるのか? オーナーの県住宅供給公社は応援してくれるのか?

何年も長い時間をかけ、多くの人の意見と助言を受けながら構想を練り上げていく。大変な情熱である。みんなで意見を交わし、響きを合わせ、町をつくる。多様な人の暮らしを支える「福祉プロジェクト」であり、同時に町の居場所の回復を図るボトムアップのプロジェクトになっている。こうした小さな都市計画が未来を切り拓いていくのである。

 (125100)

『春日台センターセンター』
住所:神奈川県愛甲郡愛川町春日台3-6-38
施工年: 2022年
藤原徹平
ふじわら・てっぺい●建築家。1975年横浜生まれ。2009年より『フジワラテッペイアーキテクツラボ一級建築士事務所』主宰。2010年より『一般社団法人ドリフターズインターナショナル』理事。建築、地域計画、まちづくり、展覧会空間デザイン、芸術祭空間デザインと領域を越境していくプロジェクトを多数手がける。2012年より横浜国立大学大学院Y-GSA准教授。受賞に横浜文化賞 文化・芸術奨励賞など。
©morinaka yasuaki

記事は雑誌ソトコト2022年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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