まちを盛り上げる場所として存在が大きくなっているマーケットやイベントを、組み立て式の木製モバイル屋台で設備の面から支えている「TINY STAND」の鈴木智博さん。設営者や企画者をサポートするプロダクトに込められた思いが、紹介された本から伝わってくるはずです。
僕は「TINY STAND」を社会課題を解決するソーシャルビジネスだと思っているのですが、その軸となる部分のエッセンスが書かれているのが、『これからの「社会の変え方」を、探しにいこう。』です。2003年にアメリカのスタンフォード大学内で創刊された雑誌・WEBメディアの『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー』に掲載された論文を厳選してまとめたもので、紹介されている論文のすべてが興味深く、ソーシャルビジネスの具体的な仕組みやあり方がわかります。これからの時代は、ビジネス自体が社会課題と直結していないと継続が難しいと僕は考えていて、新しいプロダクトを考えるときにも「何のためにつくるのか」を常に意識しています。
プレイスメイキングの実践としてマーケットを始めたいと思っている人におすすめなのが、『マーケットでまちを変える』です。マーケットが地域の地価にも影響を与えているロンドンの事例や、東京で始まった新しいスタイルのマーケットなどを紹介しています。著者の鈴木美央さんは、実際に埼玉県で「Yanasegawa market(柳瀬川マーケット)」を主催されているのですが、本の後半にはマーケットを実際に始める際のポイントがかなり具体的に紹介されています。必要となる設備・備品についても詳しく書かれているので参考になると思います。
こうした本に刺激を受けたり、初心を思い出したりしながら、「TINY STAND」だけでなく、空間の活用をサポートする新しいプロダクトを生み出していけたらと思っています。
記事は雑誌ソトコト2022年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。