「SDGsのことをもっと深く知りたい」。
そのきっかけになるおすすめ映画を、各分野で活躍しているSDGs有識者の関根健次さんに教えてもらいました!
7.フード・インク
監督/ロバート・ケナー 公開年/2008年 製作国/アメリカ 時間/94分 DVDレンタル中(アンプラグド)
食に対する考え方がかなり変化した映画です。健康は日々食べているものに左右されると理解していたつもりでしたが、より一層食べるものを選ばなければならないと思うように。映画では利益を追求する家畜生産の現場で、一日も早く出荷するために無理やり成長を促された鶏が自らの体重に耐えられず、数秒ほどしか歩けない現実が示されます。成長促進のために使われる餌も不安ですし、正常とは思えない鶏を食べた私たちの健康はどうなるのでしょう? 利益優先の裏で軽視されている健康面の配慮、そしてつくり手側に問われるのは命への尊厳です。
安くておいしい食べ物に潜む秘密を暴く、フード・ドキュメンタリー。モノのように大量生産される牛・豚・鶏、野菜より安いハンバーガー、遺伝子組み換え食品……。私たちにできることは? 製作国アメリカでは予想を超える大ヒットを記録し、大きな話題となった。
8.バベルの学校
監督/ジュリー・ベルトゥチェリ 公開年/2013年 製作国/フランス時間/89分 DVD 4000円+税(ユナイテッドピープル)
すべての子どもたちの学ぶ権利を尊重し、実践しているフランス。宗教、経済、政治的な事情でアフリカや中東から移民が大量にやってきますが、移民の子どもたちが学校に馴染めるよう、最初の1年間は「適応クラス」でフランス語を使った授業を受けることができます。この映画で印象的なのは最初の授業。フランス語ではなく、それぞれの生徒たちの母国語で挨拶させるんです。たとえフランスに移民してきた身であっても出身国のことを誇りに思ってもいいという配慮からです。世界20か国、24名の生徒が最初は些細なことでぶつかりながらも、宗教や人種、国境を超えた友情を育んでいく様子は涙ものです。
20の国からフランスの中学校の適応クラスにきた24名の生徒たち。このクラスでフランス語などの通常の授業を受け、通常クラスに行く準備をする彼らが、先生と共に葛藤を乗り越え、絆をつくっていく様子を追う。最後には、温かな涙が待っている。
9.ソニータ
監督/ロクサレ・ガエム・マガミ 公開年/2015年 製作国/スイス・ドイツ・イラン 時間/91分DVD 4000円+税(ユナイテッドピープル)
ジェンダーの平等が求められている現在。イスラム教が主流の国々でこれを実現することは簡単ではありません。映画の主人公である少女のソニータは、「アフガニスタン難民としてイランで暮らす」というなおさら難しい環境で、女性ラッパーになる夢に向かって行動します。イランでは女性がソロで歌うことが禁止だったり、アフガニスタンでは児童婚の習慣があったりと、次々とやってくる壁。それでもソニータは、夢を諦めずにチャンスを徐々につかんでいきます。児童保護施設の子どもたちを相手にラップを続けるシーンをはじめ、彼女の姿に拍手を送りたくなる感動作です。
ラッパーを夢みるソニータは、アフガニスタンのタリバンから逃れ、イランで暮らす難民だ。しかし両親は慣習にのっとり、会ったこともない男性との結婚を迫る。ソニータの出した結論は? 歌うことで人生を切り開くソニータを見つめる、魂に響くドキュメンタリー。