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連載 | 地方創生の知恵袋

人が交流する場をつくろう

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「世界一チャレンジしやすいまち」の実現をビジョンに掲げる宮崎県新富町。人口1万7,000人の小さなこの町で、なぜ1粒1,000円ライチや企業との連携事例が続々と生まれ、移住者たちが飛びこんできているのか。仕掛け人である地域商社こゆ財団の視点から、その理由と気づきをご紹介します。今回のテーマは「人が交流する場をつくろう」です。

宮崎県新富町では、全国の他の地域と同じく、ゆるやかに人口が減少しています。2021年1月1日現在で人口は16,487人。2040年後にはマイナス3,000人になると予測されています。

高齢化の進行もあり、町の中心部にある「るぴーモール虹ヶ丘商店街」もシャッターが下りる店舗が数年前から目立つようになっていました。小学校がすぐそばにあり、子どもたちの通学路になっているものの、登下校時以外には行き交う人の姿もほとんどないのが日常です。

商店街

ここに再び店舗が集まるというのは至難の技。ですが、月に一度のにぎわいを作り、ワクワクを生み出すことならできるのでは。そう考えて私たちがスタートしたのが、地域交流マルシェ「こゆ朝市」でした。

目次

まずやってみよう

この連載コラムでも何度か触れていますが、こゆ財団は元々、地域づくりやブランディングといった経験のないメンバーが集まってスタートしています。「こゆ朝市」のような企画も、商店街をどのように利用するのかも、そしてもちろん本当に人が集まってくれるのかも、何もわかりませんでした。

ですので、私たちにできるのは「とにかくまずやってみる」ということでした。

2017年5月から、まず数回はイベント運営の経験値を積むため、商店街ではなく公共施設の中庭をお借りして始めました。そして半年後の11月、商店街で初めて開催したのですが…

1711

残念ながらお店もお客様もまばらで、関係者一同ピリピリモード(あのときの緊張感は今でも覚えています…)。せっかく来ていただいたお店の方には申し訳が立たず、次の開催は断念も考えました。当時はメンバー全員が運営に参加し、終了後は集まって何がよかったか、改善点は何かを書き出して、少しでもよい場になるようにつとめていました。

ミーティング

それから3年が経過する中、「こゆ朝市」は少しずつ地域に浸透していき、今では周りの小中学校から「学校で育てた野菜を売りたい」「生徒たちが練習した神楽を披露させて欲しい」などの依頼まで舞い込むようになり、無事に継続できています。昨年12月には中学校が餅つき大会を提案してくれて、たくさんの保護者も加勢に駆けつけたことから、過去最高の人出となりました。

2012

夏や秋には「こゆ夜市」として夜祭り風にアレンジしたり、10月にはハロウィンパーティーも兼ねるなど、町の恒例行事にもなりつつあります。楽しんでいるのは、子ども以上に町の大人たちかも!?

こゆ夜市

2010

毎回3時間だけの小さなマルシェですが、ショッピングや食事ではなく、集まる人同士が「久しぶり!」「初めまして」と言葉と笑顔を交わすことこそが楽しいと感じられる、そんな場になってきています。

もちろん、私たちもそうなるとは思ってもいませんでした。なぜなら、始めた当初は農家さんが野菜を持ち込んで直売する、いわゆる本格的なマルシェを目指していたからです。

名前も初めは「こゆファーマーズマーケット」でした。農家さんが朝は忙しいということすら理解できておらず、農家さんに集まっていただけなかったことが、交流の場「こゆ朝市」へとつながっています。本当に、まずやってみないことにはわからないものです。

そんな「こゆ朝市」ですが、なぜ続けられていると思いますか? 

それは、続けてきたからです。

地域の方々

なんだか禅問答のようですが、答えはいたってシンプル。とにかくやり続けることで、集客の方法や、地域の方々との協力の仕方を学び、改善することができたからです。

指出編集長が提唱されている「関係人口」。それには、多様な人の多様な目的を受け入れ、包み込むことのできる“かかわりしろ”がポイントになっています。「こゆ朝市」は、やり続けることで目的が多様化し、多様な人のかかわりが生まれている、面白いサンプルだと思っていただけるとうれしいです。

毎月第三日曜に開催中の「こゆ朝市」。みなさんもぜひいらしてください。

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