熊本の方言?九州の方言?『おごちそうさま』。御御馳走様と敬語が重なっている不思議な言葉。そんな全国共通ではない習慣『おごちそうさま』について徹底調査していきます!
「おごちそうさまでした」は丁寧な言葉だと思って育った筆者
しかし、大学生となり県外へ出て衝撃を受けた。友達から、なぜごちそうさまの前に「お」をつけるの?と指摘された。(確かに。)
そこではじめて、「おごちそうさま」は当たり前ではないということに気づいた。
インターネットと図書館で調べてみた
そして、地元のおしゃれな図書館キクロスにて、ありとあらゆる熊本弁の本を探してみた。
独自にアンケート調査を行った
そこで、『おごちそうさま 使いますか?』というアンケートをGoogleフォームで作成し、地元の方、九州各地の知人、その他数名の全国各地の方42名から回答を集めた。
アンケート結果
知っている・聞いたことあるが使わない 38.1%(16人)
親や祖父母(上の世代)が使っている 4.8%(2人)
知らない・聞いたことがない 26.2%(11人)
約74%の方が、使うもしくは知っているという結果であった。筆者一安心。
知っていると回答した方のお住まいは、
熊本県の菊池市、合志市、山鹿市、南阿蘇村、熊本市、八代市
福岡県の福岡市、小郡町、大牟田市、
長崎県長崎市
島根県・鹿児島県・神奈川県
知っていると重複する各地
という結果であった。知っているという地域でも、浸透率100%ではなさそうだ。
九州以外は、全く浸透していない可能性もありますが、調査不足のためそこまではわからない。
年齢や世代による偏りもあるのか調査しましたが、特に偏りはなかった。
使う・知っていると回答した方へ
どういう意味だと思いますか?なぜごちそうさまに「お」がくっつくと思いますか?
という質問に関しては、とても共感できる回答が寄せられた。
・ごちそうさまを更に丁寧にした。おご馳走(物)とご馳走様が合わさった?
・使ってくれた方へのお礼の言葉を丁寧にした
・敬う、丁寧に伝えた
・奢ってくれた人に対して、ゴチになりますの敬語として「おごちそうさま」と言っていて、一般化されて、お店の人に対して言うようになった?(仮説)
・感謝の気持ちを込めて丁寧におをつける
・食材や料理してくれた方など全てへの感謝
・状況により使い分けています。お店や目上の人に対してはありがたいという気持ちからおをつけているような気がします
・家で食べるときは「ごちそうさまでした」、よそで食べるときは「おごちそうさまでした」かな
・目上の方などに食事などをご馳走になったときのお礼
・ごちそうは御馳走と書きます。馳走の丁寧語でふるまいやもてなしの意味で、豪華な食事やうまい食べ物のことをいうこともあります。ごちそうさまとはごちそうになったのを感謝する意の挨拶語(広辞苑より)なのでおごちそうを漢字で書くと御御馳走となり、丁寧語と尊敬語を重ねたような感じですかね。現代では、「ごちそう」がもてなしやおいしい食べ物のことを指す単語として使われるようになったのかもしれません
・しみじみ感謝している感じが伝わってくる、何か特別なご飯を食べるときに使いそう
・外食や、他の人のお宅で食事をした後に丁寧に言う。カッコつけではなく自然に出る。自宅での食事では お はつけない
・おいしく頂いたの頭文字のお
・作っていただいた方への丁寧な言い方だから
・僕は、“お”は使わない
・昔の人?祖母世代は、何にでも「お」をつけるイメージがあり(お赤飯、お化粧、おみかん)、おごちそうさまもそれらと同じように、ごちそうさまに「お」がくっつくのかなと思いました。でも、祖父がいっているのは聞いたことがないため、女性に限られる?
調査結果 まとめ
また、熊本県のみならず、九州北部で使われている言葉のようだ。
もはや方言という域を超えて、素敵な文化だなと感動した。筆者は、母が使うからという理由で当たり前のように使っていましたが、言葉の裏側にある、全てのことに感謝するという心が、「おごちそうさま」という言葉を通して継承されている。
これからも未来に残し続けたい、大切な言葉との出会いとなった。
photographs & text by Rika Takamoto
高本梨花|熊本在住24歳のフリーライター。地域の課題を面白く解決できる仕組みを作りたいと20歳で起業。人が好き、田舎が好き、魚が好き、探求が好き。取材を通して面白い地域の方々と出会える事を楽しみにしています。