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関係人口

特集 | 関係人口入門 2023

『ハコダテミライカモン』代表取締役CEO・矢田項一さんが選ぶ「関係人口を理解する本5冊」

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仲間とまちの未来のために動き、「まちにこういうものがあったらいいのに」と複数のプロジェクトを立ち上げて実行している、矢田項一さん。プロジェクトにおいて、関係人口を生むヒントになった5冊を選んでもらいました。

*今回の選書人は、それぞれの分野で関係人口に向き合い、関係人口を理解するうえで大切な活動をされている11名の方々です。これから関係人口を受け入れるみなさんや、今まさに地域と関わり始めた人がよりよいアクションができるように、おすすめの本を選んでいただきました。

選者 category:プロジェクト

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熱海の奇跡 ─いかにして活気を取り戻したのか/市来広一郎著、東洋経済新報社刊
新しい観光の開拓というより、何年も続いていく持続可能なまちづくりをしたことがすばらしいと感じました。小さなコミュニティづくりをすることで、次々とおもしろい人が集まってくる連鎖が起き、関わる人が増えると学びました。

クオリティ国家という戦略/大前研一著、小学館刊
日本が中国やアメリカに対抗する唯一の方法として、高い国際競争力をもつ「クオリティ国家」になることや、今後日本が進むべき針路を論について一冊です。地域に住む人や自治体に勤めている人におすすめです。

僕は北海道函館市出身で、前職は函館にあるバーの店長です。当時から人とのつながりを大切にしてきました。仲間と2020年に『ハコダテミライカモン』を立ち上げてからも、人が大事、人に応援されることが大事だという思いは変わっていません。現在函館駅近くの大門横丁で、地域の内と外をつなぐ場として『函館ブリ塩ラーメンと酒と肴 カモン』という飲食店を運営し、コミュニティづくりをしています。

弊社設立のきっかけは、2019年、食を中心とした事業や取り組みで地域の未来を牽引する“地域リーダー”を応援する「地域創生トレーニングセンタープロジェクト」(通称:トレセン)の4期で地域プロデューサーに選出されたことでした。

全国のプロデューサーから多くの刺激を受けましたが、その一つが「トレセン」の先輩である市来広一郎さんが深く関わっている静岡県熱海市の事例です。『熱海の奇跡』には、衰退した観光地の代名詞になっていた熱海が再生していくまでが綴られています。特に市来さんが大事にしたのが「熱海のファンづくり」を通して小さなコミュニティをつくること。そのうえでプロジェクトをつくるのが大事だとこの本から学びました。函館も観光地です。観光は、「地域を知るきっかけ」でもありますが、「知って終わり」のケースも多いからこそ、関係性を継続していくために必要なのが、まちと関わるプロジェクトだと考えています。

地域という枠組みを超えて、北海道や日本というより大きな視野を教えてもらった本が『クオリティ国家という戦略』です。著者の大前研一さんは道州制の推進を掲げ、日本の進むべき針路を論じていますが、印象的だったのは、フィンランドが教育に力を入れて一人ひとりのリテラシーを上げていること。人材は国の資源で、この考えは日本の地域にも応用できます。地域の内外の人を交ぜ合わせることで、地域の人たちは外の感覚や技術を取り入れて一人ひとりの能力を上げられ、地域の人口の少なさを補っていけるのです。ここに関係人口を生む目的があります。国のあり方とともに、今自分に何ができるのかを考えさせられました。

また地域の将来像を打ち出し、そこに住んでいる人に伝えていくことも大事だと学びました。僕にとってプロジェクトとは、地域を盛り上げたいというより、「まちにこれがあったらいいな」をつくること。その繰り返しで、これからも地域の内と外をつないでいきます。

ハードワーク! グッドライフ!
─新しい働き方に挑戦するための6つの対話

山崎亮著、駒崎弘樹著、古田秘馬著、遠山正道著、
馬場正尊著、柳澤大輔著、大南信也著、学芸出版社刊
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地域に関わる人を増やす大切さを学んだ本。印象深いのは『フローレンス』の駒崎弘樹さんの「人口の1万分の1が変われば変革が起きる」という話。未来の函館のために動きたい人に出会いたいです。
佐藤可士和の打ち合わせ
佐藤可士和著、ダイヤモンド社刊
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佐藤可士和さんは「打ち合わせは本音の真剣勝負」と語っていますが、できていない人が多いかもしれません。理由は、言語化が難しいから。言語化により関係性を継続してプロジェクトを形にしていけるのだと学びました。
キングダム
原 泰久著、集英社刊
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読むと「明日も頑張ろう」と思えるバイブル。登場人物に強烈な個性があり、戦略も異なるのがおもしろいです。人を大事にすること、チームづくりで役割をつくることなど、関係人口づくりのうえでもヒントになります。
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やだ・こういち●「未来を灯す人を増やそう」を合言葉に『ハコダテミライカモン』を設立。地域の魅力を発信するプロジェクトの企画・制作・運営を行う。100万人の人が1回だけ来る観光地から、1万人が100回来たくなる「関係地」づくりを目指す。
photographs by Jiro Matsushita text by Yoshino Kokubo
記事は雑誌ソトコト2023年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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