日本列島の中央付近に位置し、東京や大阪からもアクセスのいい愛知県。その愛知県の中心地である名古屋から2時間足らずで三河湾に浮かぶ離島に行けてしまうことをご存じでしょうか。愛知県には佐久島、日間賀島、篠島という3つの島があり、それぞれが違った豊かな個性を持っています。いま、この3つの島を舞台に関係人口を増やし、地域を盛り上げるためのプロジェクトが始まっています(10/24追記:募集は終了いたしました)。
目次
それぞれに違った魅力を持つ愛知の離島。佐久島と日間賀島、そして篠島。
佐久島・日間賀島・篠島の3島は、三河湾と伊勢湾の潮流が交じり合う場所に位置し、海の恵み豊かなこれらの島では、しらすやたこ、あさりをはじめ、多くの魚介類が水揚げされています。気候は年間を通して温暖で、冬には強い季節風が吹きますが、雪が降ることはあまりありません。地理的には3島はそれほど離れていませんが、それぞれが独自の文化、個性を持っています。
さっそく、それぞれの島を見ていきましょう。
豊かな自然のなかに現代アートがたたずむ佐久島。
佐久島は、西尾市の一色港から船で約25分、三河湾のほぼ真ん中にぽっかり浮かんでいます。人口200名に満たない小さな島ですがその歴史は古く、島内には50基余りの古墳があり、7世紀ごろの木簡にも佐久島の名前を見つけることができます。
そんな佐久島をめぐって目につくのは、島の各所に点在する現代アート作品の数々。佐久島には22の現代アートが設置されています。それを代表する作品のひとつが石垣(しがけ)海岸に立つ「おひるねハウス」。潮風から民家を守るためにコールタールを塗った集落の住宅の壁に着想を得たのだそうです。2010年のアニメ映画『名探偵コナン 天空の難破船』にも登場しています。
アート以外にも、あまり市場に出回らない稀少なオオアサリを筆頭に、タコ、カキ、ナマコなどの新鮮な海の幸はもちろん、丹精込めて育てられた野菜もおいしく、若者の集うカフェなどもあり、島のいたるところで多彩な名物料理を堪能できます。
佐久島では、島のコミュニティ「さくちく会」を盛り上げてくれる方を募集中!
そんな佐久島ですが、ここ数年はコロナ禍により、島民同士や島外の方との交流が大きく減ってしまっていました。そこで2022年、コミュニティの場として「さくちく会」が設立されました。月に一度、みんなで集まっておしゃべりをしたり、古着・古布を針山などの小物にアップサイクルしたりする集いです。
島では今後、この「さくちく会」をなじみの方も初めての方も気楽に参加できる交流の場としつつ、布や糸などを利用したモノづくり活動を活性化させ、将来的に小物を販売する仕組みづくりを進めていきたいと考えていますが、島の抱える問題として高齢化が進んでおり、コミュニティを先導する若手が足りない状況です。
そこで、佐久島では関係人口を通じた地域活性化策として、「さくちく会」に参加し、自らのスキルを活かして島の課題解決に取り組んでいただける方を募集します。
名古屋までもほど近いこの離島でのんびり「さくちく会」の活動に協力してみたいという方、ぜひ応募してみてください!
<佐久島では、こんな方を募集!>
(1) 裁縫、デザイン、服飾、商品化・販売ノウハウのうち、いずれか一つ以上のスキル(経験・知識)などを活かしたい方
(2) 佐久島での活動に興味・理解・熱意がある方
(3) 島民との交流を通じて、島の課題に対する解決策を一緒に考えていただける方
※(1)から(3)のすべてを満たす方(個人または少人数で活動する団体)を募集します。
名古屋からもっとも近く、多彩なアクティビティが楽しめる日間賀島。
日間賀島は、面積0.77平方キロメートルほどの小さな島。3島のなかで一番小さいものの、「名古屋からもっとも近い島」として毎年多くの観光客が訪れます。海産物は夏はタコ、冬はフグが名物で、「多幸(タコ)の島、福(フグ)の島」として親しまれています。
堤防や防波堤での釣りや潮干狩り、海水浴などアクティビティが豊富で、季節ごとの楽しみ方もより取り見取り。夏にはイルカと触れ合って遊ぶイベントも開催されます。
また、日間賀島に行ったらぜひ訪れたいのが、東浜海水浴場(サンライズビーチ)から階段を登った高台にある「恋人のブランコ」。観光客に人気のフォトジェニックスポットというだけでなく、丸太でつくられたブランコをこぐと、目の前には海がひらけ、空へと飛び出していくかのような爽快感が味わえます。
日間賀島ではメタバース空間を使って、島民と一緒に島を盛り上げてくれる方を募集中!
そんな日間賀島では、1947年(昭和22年)から76年間の歴史があった、島で唯一の中学校「日間賀中学校」が、島内人口の減少により2023年3月に閉校となってしまいました。そこで「いつまでも中学校を忘れないように」という島民の想いから、日間賀中学校のメタバース空間がつくられたのです。
このメタバース空間を活用して、自らのスキルを活かして島の魅力発信や、島外の人との交流の場づくりなどに取り組んでいただける方を募集します。
<日間賀島では、こんな方を募集!>
(1) メタバース作成、メタバース活用(情報発信・交流の場づくり)、メタバースの使い方指導のうち、いずれか一つ以上のスキル・経験・知識などを活かしたい方
(2) 日間賀島での活動に興味・理解・熱意がある方
(3) 島民との交流を通じて、島の課題に対する解決策を一緒に考えていただける方
※(1)から(3)のすべてを満たす方(個人または少人数で活動する団体)を募集します。
海の幸を通じて伊勢神宮との深いつながりを持つ、歴史ロマンあふれる篠島。
篠島は、三河湾に浮かぶ3島のなかではもっとも沖合に位置します。大小あわせて10数か所の島々からなり、前浜(ないば)とも神風が浜とも呼ばれる800m続く天然の砂浜から、沖合の小島「松島」に沈む夕日を望めます。この風景は「日本の夕日100選」にも選ばれています。
また篠島ではシラス漁が盛んで、漁港単位で漁獲量日本一といわれています。他にも鯛やフグ、カキ、穴子など海産物が豊富。篠島には海の管理釣り堀り「篠島釣り天国」があり、初心者でも鯛やハマチ、アジなどを狙うことができます。
篠島の漁業はただの産業ではなく神事にも通じており、なかでも篠島で獲れた鯛を塩漬けにして伊勢神宮に奉納する伝統行事「おんべ鯛奉納祭」は、1000年以上前から続いているといわれています。
「日本書紀」によると、伊勢神宮を建立した天皇の一行が船で伊勢湾を旅していたときに、篠島に立ち寄り、ここの海産物をお気に召したと記されています。それ以来1000年以上にわたり、島で採れた鯛を塩漬けにし、船団を仕立てて対岸の伊勢神宮へ献上しているそう。これを「おんべ鯛」と呼び、この縁で、伊勢神宮で20年に一度の「式年遷宮」が行われると、伊勢神宮のお社に使われていた木材で篠島の神社が建て替えられます。そして神明神社の古材で近くの八王子社が建て替えられ、さらに八王子社の御社も20年経つと島内に点在する小さな社に姿を変えるのだとか。
篠島では、「篠島の幸」の新たな魅力を見つけ出し、そのブランディングやPR、情報発信に取り組んでくれる方を募集中!
豊かな自然や食に加え、他にはない神事や歴史を持つ篠島。しかし、篠島の持つロマンはまだ、島外の方にしっかり届いていません。そこで、篠島では島の豊かな海産物「篠島の幸」を活用し、その認知度向上やPR、ブランド化に取り組んでいただける方を募集します。
<こんな方を募集します>
(1) 商品開発、調理、デザイン、IT(情報発信)のうち、いずれか一つ以上のスキル・経験・知識を活用して地域のブランディングをしてみたい方
(2) 篠島での活動に興味・理解・熱意がある方
(3) 島民との交流を通じて、島の課題に対する解決策を一緒に考えていただける方
※(1)から(3)のすべてを満たす方(個人または少人数で活動する団体)を募集します。
愛知県の離島3島を盛り上げたい方、ぜひエントリーを!
歴史ある固有の文化や伝統、魚介類、野菜類を中心とした良質な水産物や農作物。そして生活に潤いを与えてくれる豊かな自然……佐久島、日間賀島、篠島の3島には、こんなにも多くの魅力があります。
しかし3島では、人口減少や高齢化などにより、地域に必要な商店などの廃業や産業の担い手の不足の深刻化、地域社会の支え合いの力の低下などのさまざまな課題が生じており、島民だけでの新たな産業の開発や島の発展が難しくなってきている現状があります。そのような中で、島外から“関係人口”として島にコミットし、島の活性化に取り組んでいただける「あいランドサポーター」を募集するプロジェクトが、3島それぞれで動き出しています。
興味のある方はぜひ、愛知の離島を盛り上げるプロジェクトにエントリーしてみてください!