「エディットKAGAMIGAWA」修了生インタビュー:ローカルに関心がなかった大学生が高知市・鏡川で地域に入る楽しさを知る。

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2022.07.29

弊誌『ソトコト』は、地方自治体との取り組みでさまざまな「関係人口講座」を運営しています。高知県高知市では2021年度「エディットKAGAMIGAWA」と題して、市外の都市部在住の人を対象とした全4回のオンライン講座を実施。市内を流れる鏡川流域の魅力を発信するための「編集力」を身につけ、地域外からの鏡川流域との関わり方を考えました。今回の修了生インタビューは、受講当時大学1年生だった浅田彩音さんに、受講の動機と受講後の変化について伺いました。

ローカルには特に関心がなかった。

オンラインでインタビューを実施。笑顔で話してくださいました。

神奈川県相模原市に暮らす浅田さんは、都内の大学の商学部に通い流通や貿易について学んでいます。『ソトコト』編集長の指出がゲスト講師として呼ばれた「プロデュース論」の授業がきっかけで、ローカルに関心を持つようになったといいます。

「神奈川生まれ、神奈川育ち。もともと地域に強い関心があるわけではなかったし、『ソトコト』を読んだこともありませんでした。でも指出さんの話を聞いて、地域を編集するって面白いなと思ったんです。一般的には都市の方が注目されがちだと思うけれど、地域にもいいものがあるんだ、ということが分かりました。普段から、身の回りで今まで気づかなかったいいところ、魅力を探したり見つけたりするのが好きなので、講座をきっかけに地域に入って、その土地の魅力を探す体験をしてみたいと思いました」

授業の中で「エディットKAGAMIGAWA」の受講生を募集していることを聞き、「運命だな」と思ったそうです。

「自分の目標に重なる部分があるし、やりたいことがピンポイントでできる機会。絶対にやりたい、やった方がいい、とビビッ!ときました」と笑います。

鏡川河口はシジミの潮干狩りスポット。子どもたちの遊び場でもあります。(高知市提供)

いろいろな人と関わって刺激を受けたかった。

「エディットKAGAMIGAWA」は、浅田さんが大学生活の中で達成しようと立てた目標につながる講座でもありました。

「大学に入ったら、いろいろな人と関わってみたいなと思っていたんです。でも、新型コロナウイルスの感染拡大があってなかなか実現できないし、目標をちょっと忘れかけてもいた。指出さんは授業の中で『好きなものが似ている友人同士で何か始めても、新たな視点がないから大きな変化は起こらない』と話していて、その通りだな、と感じました。この講座を受講することで、いろいろな人のいろいろな視点を得ることができるんじゃないかと期待する気持ちがありました」

そうして始まった講座の中では、想像していた以上に他の参加者から圧倒されることがあったそうです。

「私は大学でこの講座を知ったので、他の参加者も同年代が多いだろうと思っていました。でも始まってみたら、19歳の私が最年少。出身地、年齢、仕事もバラバラな人が集まっていることに驚きました。みんな、自分の得意なことや仕事の経験を鏡川で活かすアイディアを考えていて、私にはない視点ばかり。講座の度に、すごい!と思ったり、わくわくしたり。ここで聞いた話を誰かに話して教えたいな、私ももっと考えたいな、とたくさんの刺激を受けました」

受講後、地域に目が向くように。

オンラインで行われた発表会。一人ひとりが鏡川との関わり方を考え発表しました。

講座の最終回では、地域外から鏡川に関わる方法を各自発表。浅田さんは、ファッション雑誌の編集者になりたいという夢とリンクさせた企画「ファッションで繋ぐ、景色と人」を発表しました。「ファッションを通じて、そこでしかできない経験や見られない景色を紹介し、地域との関わりしろを生み出したい」という思いを込めました。

「今すぐは無理だけれど、編集者になった時に実現したい」と語る様子から、高知市をはじめとした地域と長期的につながっていようという意欲を感じます。この講座は、地域通貨「まちのコイン」を高知市・鏡川流域で活用し、地域課題の解決につなげる方法を考える講座でもありました。

浅田さんは、手入れに手間のかかる竹林に着目。地域外から訪れた人などが竹林の整備を手伝うことで「まちのコイン」をもらい、地元の人から竹を使ったランプなど竹細工の作り方を教わることでコインを使う取り組みを提案しました。

浅田さんの発表した「まちのコイン」活用方法。竹林整備と関係人口を絡めたアイディアです。

■ 高知市の「まちのコイン」詳細ページはこちら。
https://coin.machino.co/regions/kochi

■ 「まちのコイン」の取り組みを紹介する高知市のページはこちら。
https://www.city.kochi.kochi.jp/soshiki/186/machinocoin.html

■ 発表会のレポートはこちら。
https://sotokoto-online.jp/local/13027

もともとローカルに強い関心があった訳ではなく、高知市との接点もなかった浅田さん。講座受講後、何か気持ちに変化はあったのでしょうか。

インタビューが始まってすぐ、「先日スーパーマーケットで見かけた柿の種が高知のゆず味だったので、思わず購入しました」と話してくれました。高知に関するものに自然と目がいくようになったそうです。講座を通じて地域を見る目が変わり、地域に根差した商品へ思いをはせるようになったとも言います。

きっかけのひとつが、講座の3回目に受講生に送った「土佐山ジンジャーエール」。高知市北部の土佐山エリアの活性化に取り組む一般財団法人『夢産地とさやま開発公社』の商品です。土佐山産のショウガや唐辛子、ゆず果汁などを使い、鏡川源流域の水で仕込んだもの。

「東京では、日本や世界中からさまざまな商品が集められ流通していますよね。でも『土佐山ジンジャーエール』は、大手メーカーのペットボトル飲料みたいにいつでも手軽に手に入るわけじゃない。なんだか貴重なものという感じがして、大事に飲みました。地域の商品は、手書きの手紙みたい。パソコンで打った文字と違って、作っている人の個性や思い入れを感じられるものだなと思います」

土佐山エリアの魅力がつまった「土佐山ジンジャーエール」。地域やつくり手に思いをはせて飲んだそうです。

自分らしく、地域とつながりを持ち続けられたら。

講座を通じて親近感をもった高知市・鏡川と、今後もつながりを持ち続けたいと考えています。

「今回の講座は全てオンラインだったので、現地に行ってみたいです。講座で知った『ひまわり乳業』に行ったり、『土佐山ジンジャーエール』を自分で購入してみたりしたい。講座のゲストで登場したローカルプレイヤーの方が鏡川沿いでアウトドアサウナを楽しんでいると聞いて、サウナデビューもしてみたくなりました」

「他の受講生からもさまざまな企画が提案されていたので、実現されたら参加してみたいです。小学3年生からダンスを習っているので、鏡川でダンスを教えるとか、自分のできることで地域や人とつながれたらな、とも思います」

浅田さんにとって地域に対するスタンスが大きく変わるきっかけとなった「エディットKAGAMIGAWA」。どんな人にお勧めしたいか聞いてみました。

「私みたいに高知市を全く知らなくても、旅行を今まで以上に楽しみたいと思う人。観光旅行以上に地域を深く知ることができて、もっとその地域のことを知りたい、何度も訪れたいと思うはず。つながりのある、大切な場所が増える感覚を味わえるのが嬉しいです」

思わぬタイミングで訪れたチャンスを逃さず、講座に飛び込んで高知市とつながりを生み出した浅田さん。大学生らしいフレッシュな感性と言葉で、地域とつながる喜びや高知市への思いをいきいきと話してくれました。

講座をきっかけに、今後も浅田さんらしい形で地域と関わりを持ち続けてくれることでしょう。