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わたしと地域のよりよい未来へ。「神島塾」から踏み出す一歩。

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地元・和歌山県田辺市の特産品を使った商品開発の活動を11年前から続けている神島高校。この地域での学びをさらに広げていくため、今年初めて地域の課題解決を考える講座として「神島塾」を開催。高校生たちが育んだ地域への愛が、地域の未来をまた一つ明るくする。

目次

地域で活躍する大人と、 高校生たちの出会い。

カメラの前で思いっきりジャンプするのは、和歌山県立神島高等学校(以下、神島高校)の1年生と3年生。今年初めて開催された、地域を学ぶ連続5回の講座「神島塾」に参加して、最終回に臨んだ。

同校には普通科のほかに「経営科学科」があり、平成24年度から授業で商品開発に取り組んでいる。さらに、地元の同県田辺市の特産品である梅を使った商品を毎年考案して、販売イベントの企画やビジネスプランの作成も行う。「神島屋」と名付けて少人数で始まったこの活動は、約60人が参加することも。「活動を通じて地域と関わるようになって、生徒も私も人生がより楽しくなりました。この感覚をもっと多くの生徒たちにもと思い、『神島塾』の構想につながりました」と同校教諭の那須正樹さん。

商品開発の際、同市が7年前より主宰する地域のビジネス創出講座「たなべ未来創造塾」(以下、未来塾)の卒業生に話を聞くなどして地域を知り、大いに刺激を受けてきた。そこで、未来塾のように最後に事業プランを発表する講座を神島高校でも開きたいと、那須さんと経営科学科3年生の岡崎晴香さん、小阪彩音さんは、同市たなべ営業室に協力を求めた。「地域の課題をビジネスの視点で解決することの大切さを伝えました」と同室の鍋屋安則さんは振り返る。

そして、「神島塾」の参加者を募集すると普通科を含めて全部で20人から申し込みがあり、今年5月20日に第1回が開かれた。「未来塾の大勢の卒業生の講演は、両親や先生以外の大人の話を聞ける貴重な時間でした。中でも20代で起業した『ソマノベース』奥川季花さんの好きなことにまっすぐな姿は、高校生にも響いたと思います」と那須さん。そして、8月4日と5日に行われた最終回、チームごとにビジネスプランを練って成果発表に臨んだ。冬にイベントがない同市に「冬祭り」をする案や、「高齢者と保護猫のコミュニティづくり」を行う案など、目を見張るような提案が挙がった。

岡崎さんは、「今回の塾でみんな、地域のことが自分ごとになってきたようです。進学で県外に出たとしても、就職は地元でしたいという人もいます」と話す。また、小阪さんは、「大人になったら夢を持ってはいけないと思っていたけれど、夢を持つ素敵な大人に会い、地域には魅力的な人たちがいると分かりました」と話してくれた。地域で活躍する大人たちとの出会いは、地域の未来を変えるかもしれない。そんな期待をそれぞれが抱いて、「神島塾」が修了した。

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「神島塾」の最終回で田辺市の現状やこれからについて高校生たちに説明する同市たなべ営業室の鍋屋安則さん。
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これまでの講座で行われた、地域で活躍する人の講演内容を振り返り、各自で事業プランを練り上げる。
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事業プランのまとめの際、地域課題や自分の強み、実現したい夢などを書き出した。
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事業プランを発表する生徒。それぞれの思いを自分の言葉でしっかりと伝えた。
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神島高校経営科学科教諭の那須正樹さん。
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「神島塾」の立ち上げに積極的に関わった同科の岡崎晴香さん(写真左)と小阪彩音さん。
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個人の事業プランを持ち寄ってチームでの最終プランを話し合った。
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最後に行われた成果発表。完成度の高さに見学した大人たちも感動した。
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「神島塾」最終回の会場となったIT企業『クオリティソフト』の社内を見学した。
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「神島屋」で開発した梅あられ(写真手前)と梅酢の焼き鳥用調味料。

たなべ未来創造塾 第7期が始まりました!

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人口減少による地域経済の担い手不足に危機意識を強めた田辺市は、その解決策の一つとして「たなべ未来創造塾」を2016年よりスタート。地域課題をビジネスで解決する視点を学び、塾生や卒業生との協業を加速させてきた。今年8月6日には第7期の開講式が開かれた。「今回の塾生は教育関係の仕事に就いている方が多いので、いろいろな人がつながって新たなプログラムが生まれることを期待しています」とたなべ営業室の鍋屋さん。

7期生『TODAY』山田かな子さん

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昨年東京からUターンして、今年7月に教育プログラムの開発・運営を行う会社を立ち上げました。この地域での人材育成に興味があり、地域との関係づくりが大切だと思って参加しました。中学・高校生の将来の夢を育みたいです。

7期生『横田』庄司豊さん

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東京からUターンして10年。所属する建築関係会社の新規事業として、地域の新たな仕事を生むためにも人が集まる場所づくりを行いたいです。未来塾では新たな知識の吸収と、参加者や卒業生とのつながりを期待しています。
photographs by Katsu Nagai   text by Mari Kubota

記事は雑誌ソトコト2022年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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