「方言の日」の由来
「方言の日」は、鹿児島県の大島地区文化協会連絡協議会が、衰退しつつある奄美方言を保存・伝承する目的で定めたものです。与論島では方言が「ユンヌフトゥバ(与論の言葉)」と呼ばれることから、2(フ)10(トゥ)8(バ)で2月18日が方言の日になりました。大島地区では、奄美方言が受け継がれるようさまざまな広報活動をしています。ちなみに、2009年2月、奄美方言はユネスコにより消滅危機言語の「危険」に分類されています。
方言の方言がある
大島地区は、奄美大島はじめ数々の島でなっていますが、各島ごとに「方言の日」の呼称が異なります。
奄美では「シマユムタの日」「シマクトゥバの日」「シマグチの日」
喜界島では「シマユミタの日」
徳之島では「シマグチの日」「シマユミィタの日」
沖永良部島では「島ムニの日」
与論島では「ユンヌフトゥバの日」
もちろん、呼称が異なるのは「方言」に限ったものではありません。「ありがとう」「おはよう」などのあいさつから、「父」「母」などの呼び名、自然、生き物、食べ物、道具まで、ここでは述べきれないほどです。それぞれの方言が各島ごとに異なるだけでなく、島内で方言が数種類に及ぶものも。気になる方はぜひ「大島地区方言マップ」で検索してみてください!
奄美の多様性
言葉の豊かさは、生きる世界の豊かさと通じ合っているのでしょうか。奄美は動植物の固有種が多いことでも有名で、世界自然遺産登録に向けても動き出しています。たとえば、アマミノクロウサギ、アマミイシカワガエル、ルリカケス。世界的にも希少な野生動植物が数多く生息しているのです。しかし、絶滅の危機に瀕しているものも少なくありません。
この場所でなければ出会えない自然があるように、この場所でなければ出会えない言葉があるのは、地域の美しさの一つではないでしょうか。聞いたことのない言葉が多かったかもしれませんが、あなたの町にも、ほかの地域にはない独特の言い回しはありませんか? 残すことは喋ること。年に一度の方言の日に、地域の言葉がなぜそこにあるのか、考えてみてはいかがでしょうか?