コロナ禍において多様な働き方が生まれる中、アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)では滋賀県立大学 陶器浩一研究室(滋賀県彦根市)と共同で、サファリワールドに日本初の自然体感型竹製モバイルワーケーション スポットを企画・設計、設営しました。素材となる竹60本を切り出し、葉の部分はジャイアントパンダに与え、残る幹や枝をすべて活用することで放置竹林の課題解決・循環型社会にも繋げます。
パンダバンブーワーケーションスポットについて
2021年7月19日(月)より一般利用可。今後、企業・個人向けに予約受付を予定しています
利用時間:午前10時30分~午後3時30分
設置場所:サファリワールド
面積:4.5㎡ / 素材:孟宗竹60本、竹集成材 / 収容人数:2~3人
設備:free Wi-Fi 100v電源
〈ポイント〉
①滋賀県立大学 陶器浩一研究室の学生チームが企画・設計。課外活動でパークスタッフと協働設営
②ワーケーションの聖地白浜に日本初、サファリにある自然体感型リモートオフィスが誕生
③ジャイアントパンダが食べない部分の竹をフル活用したサスティナブルな企画・設計
(ワーケーションとは)
「ワーク」(労働)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワーク(リモートワーク)を活用し、働きながら休暇をとる過ごし方。
<プロジェクト概要> なぜ、竹のワーケーションスポットを開発したのか
アドベンチャーワールドでは、現在7頭のジャイアントパンダを飼育。主食である竹の葉を主に大阪府岸和田市の協力を得て調達しています。パンダが食べない部分の竹幹や食べ残した葉を有効活用することで、竹の価値を見直す「パンダバンブープロジェクト」を立ち上げ、さまざまな活用方法を模索しています。
今回、竹の建築を通して、「竹の復権」「竹と共に生きる社会」を目指し、宮城県気仙沼市で被災地復興などの活動をされてきた滋賀県立大学陶器研究室と出会いお互いの理念に共感し、人、動物、自然、地域社会のサスティナビリティに貢献するプロジェクトとして企画を開始しました。和歌山県白浜町はワーケーションの聖地として注目されており、パークのロケーションを活かした「新たな働き方」の提案、陶器浩一研究室の「竹の特性」を活かした建築技術による、かつてない自然体感型のワーケーションスポットの開発に至りました。
~製作設置風景~
滋賀県立大学 陶器浩一研究室 陶器浩一教授 コメント
わたしたちは「ものづくり・ひとづくり・みらいづくり」を理念に、ものづくりを通じて地域、人、社会に貢献する活動を行っています。放置竹林問題の根本的解決には、地域を愛し自然を愛す人が育つこと、竹の新たな価値を見出すことが重要です。
このスポットは、パークスタッフの方々と学生たちが手を携えて、自ら竹を伐り自ら築いた手づくりのもので、“竹の復権”と“新しい未来社会”を築く、大きな目標の先駆けとなる小さな試みです。この空間の中で自然を感じながら、竹の魅力と新たな生活スタイルを発見していただければ幸いです。
滋賀県立大学 陶器浩一研究室 学生代表 村橋碧空 コメント
研究から実践へ。
私たちの研究室では、自ら考えたものを実際に施工し、実践することで視野を広げ、今まで気付かなかったこと、さらに大切なことを発見できると考えています。
今回のプロジェクトではパークスタッフの方々と我々学生が力を合わせて竹を刈り、加工し、建設しました。自らが体を動かし実践することで、竹の特性を知り、竹の有効活用や放置竹林問題、そして未来社会のありかたを考える素晴らしい機会になりました。
サファリ内の様々な動物が見える空間となっていますので、是非この空間を楽しんでください。
パンダバンブープロジェクトについて
里山を荒廃させる竹を伐採し、ジャイアントパンダの食事として活用することで里山の環境を守り、これまで廃棄していたジャイアントパンダが食べない竹の幹の部分や食べ残した竹、糞を有効資源としてアップサイクルを推進するプロジェクトです。