政治を舞台に、新しい世の中の仕組みをつくる。

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0 | 39 政治を舞台に、新しい世の中の仕組みをつくる。

世の中に一石を投じる、学生起業家が日本でも少しずつ増えてきています。


お話を聞いた人


伊藤和真さん 『PoliPoli』代表


横尾 今回の対談相手は、『株式会社PoliPoli』の代表として、政治のコミュニティアプリ「PoliPoli」を開発した伊藤和真くんです。伊藤くんはまだ19歳の大学2年生。最近では増えてきたとはいえ、日本で学生起業家はまだまだ少ないと感じるんだけど、いったいどんなきっかけで起業することになったの?


伊藤 流れですよね。高校生の時はダンスばかりやっていました。大学生になって、普通のサークルにはなじめなくて……。俳句が好きだったので、それを投稿する場がネット上にあったらと思い、ほぼ独学でアプリをつくりました。その後さまざまなご縁をいただき、ベンチャー界隈のコミュニティに出入りするようになりました。経験を積む一方で、社会課題にも気づきました。政治と若者の距離を縮められたらと思い、仲間とアプリをつくることにしました。


横尾 起業するまでにはもう一つ、決断がいると思うんだけど……。


伊藤 アプリを継続して運用していくためには、ビジネス化が必要でした。俳句のアプリをたまたま買ってくれるところがあり、その資金をもとに起業したんです。あるベンチャーキャピタルで、スタートアップのイベントをやったり、投資家と投資先をマッチングさせる仕事のお手伝いをさせてもらっていたりした経験から、起業をすることについては特にハードルを感じていませんでした。


横尾 「PoliPoli」は「政治のコミュニティアプリ」とうたっているけど、「コミュニティ」を入れた理由は?


伊藤 このアプリのポイントは、市民が政治や行政に建設的な意見を届け、政治家が世の中に必要な政策を提言すれば、双方に評価が与えられて、のちのちいろんなところで使えるポイントがもらえるというところなんです。今まで、まちづくりは一般市民にとっては遠い存在で、僕を含めて普通の関心をもった人を巻き込めていなかった。最初は、楽しいから、もしくはいいことを発言すればポイントがもらえるからとアプリを使うところから始めて、だんだんと関心を持ってくれればと思ったんです。いずれはポイントをトークンにし、仮想通貨の「評価経済」が回るようにできればと思っています。いいことをしたら褒められるコミュニティをつくっていきたいんです。


横尾 とはいえ、政治という古い業界で新しいことを始めようとすると、いろいろな反発があるよね。


伊藤 そうですね。「インターネットって何?」っていう人が、いまだに自治体の中に多いと感じます。でも、目指す方向は同じはずなので、じっくり説明すればわかってくれます。今はとにかく誠意をもって説明するしかありません。政治っていうと堅いですが、みんな何かしら、世の中に対してストレスがあるはず。アプリを通じて変えていけるということがわかったら、ユーザー側も、もっと使ってくれると思います。


横尾 これからやりたいことは?


伊藤 このサービスは引き続きしばらくやって、新しい世の中の仕組みをつくることに挑戦したいです。全力でやってみて打つ手がないなら、違うことやるけれど。仮につぶれても、どこかは雇ってくれるだろうと楽観視しています。失敗しても、時間が無駄になことはないし、とりあえずやってみるしかないと思っています。


取材後記


 「人生の目標は、自分の知覚できる範囲の幸福度を最大化すること」だと語る伊藤くん。自分一人ではなくて、関わっている人の幸福度を最大化することに喜びを感じるのだと言います。誰でも関わっている政治を変えることとなると、世の中の幸福量は大きく増えるから、「インターネットによって国のシステムを変えられる可能性にわくわくしている」とも。リスクを考えず、どんどん突き進めるのは、日々の勉強量に加え、彼を応援するたくさんの仲間の力も大きいのかなあと思います。伊藤くんがインターネットを使ってつくる新しい未来に、僕もできる限り協力し、並走できればと思っています。難しいPoliTech業界でどんなことを仕掛けていくのか、とても楽しみな19歳です。 横尾

編集部ピックアップEDITER’S PICK UP