日本全国から集まっている、まだまだ履ける子ども用のシューズは、アフリカ・ケニアの協力団体や協力者の手で現地の子どもたちに渡されています。その効果もあり、シューズを履けない子どもたちが実際に減っているようです。ケニアから届いたシューズの寄贈レポートです。
アフリカ・ケニアでのシューズ寄贈レポート。
ケニアからシューズ寄贈の活動報告が届いた。
長崎大学熱帯医学研究所はビクトリア湖岸のビタ県で研究活動をしているが、JICAの草の根技術協力事業により小学校を対象とした「学校保健事業」を2012年から17年まで実施してきた。その一環として13年からシューズ寄贈のお手伝いをしていただき、これまで13の公立小学校で1988足のシューズを渡していただいた。その効果もあり、シューズを履いていない児童の割合は13年以降、対象校で29.9パーセントから7.3パーセントにまで劇的に減少したという。
17年も7月から9月に4校でシューズ寄贈を行っていただいた。
1999年に青年海外協力隊隊員としてケニアに赴任し、その後もNGOなどで国際協力の仕事を続け、現在は長崎大学熱帯医学研究所に所属する風間春樹さんは、シューズ寄贈を通じて忘れかけていた初心を思い出したという。
「長くケニアにいると、仕事を仕事としてしか捉えられなくなり、なぜ自分はここに来たのかを忘れてしまいがちです。でも、子どもたちが心から喜んでくれる姿を見ていると、『そうだ、この感動を分かち合うために来たんだ』と初心に戻ることができ、『もっとがんばらなければ』と、こちらが刺激を受けます」
とにかく、子どもたちのシューズをもらった時の喜びようは大変なものだという。裸足であったり、履いていても底の抜けた靴やサンダルの子どもが多く、うれしさのあまり、元の靴を放り出してそのままにしてしまって、先生に怒られる子どももいるほどだ。
風間さんは寄贈の度に、どのような経緯と思いで日本からシューズが届いたのかを説明をしてくれている。子どもたちの心には「日本」が刻み込まれているはずだ。
シューズを履くことが当たり前になるように。
JICA・青年海外協力隊の保健師ボランティアとして活動をしている賀集理絵さんは、学校保健に関する研修会で、「貧困が理由で靴を履けない児童もいて、その子どもたちは、老朽化し、不衛生な学校のトイレを使えない」という話を聞いた。
そこで、賀集さんはその話をしてくれた、エルドレッドという街の郊外にあるチェマラル小学校でシューズ寄贈を行うことを提案してくれた。2017年10月に寄贈が行われたが、それぞれの足のサイズに合ったシューズを渡すために子どもたちの足を見ていくと、木の枝を踏んだような軽い擦り傷を負っていたり、初期の感染症にかかったような皮膚状態の子どももいたという。
日本の子どもたちから寄贈されるシューズにはメッセージカードも入っている。そのなかに「毎日、履いてくれるといいな」というメッセージもあったが、賀集さんもその思いは同じだ。「裸足で歩くことが普通なのではなく、シューズを履いて足を守ることが普通だと、子どもたちとその保護者が感じてくれるようになれば」と感じたという。
この後も生活環境調査などを行うため、これからも継続的に行き、関係は続いていくという。