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場づくり・コミュニティ

連載 | 都市計画家 山崎満広の「明るいまちづくり相談室」

まちづくりのプレイヤーとつながるにはどうすればいいの?

山崎満広

山崎満広

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「明るいまちづくり相談室」の第7回目。今回は、まちづくりに興味があるという建築学科の大学生の方(以下、Aさん)から「実際にまちづくりの現場で活躍されている方や、同じような興味・関心を持つ学生とつながるにはどうすれば良いでしょうか」という相談をいただきました。大学生やまち・地域に関わりたいと考えている方が実践しやすいものから、まちづくりへの関わり方をご紹介します。

目次

まずは情報収集からはじめよう

Aさんのように「まちづくり」に興味がある方であれば、実際に現場で活躍されているプレイヤーや、まちづくりに興味関心のある人とつながりたいと思うのは自然なことでしょう。しかし、ひと口にまちづくりと言っても領域は幅広く、プレイヤーが活躍する地域や専門とする領域は多岐にわたります。

そこで、まずは、まちづくりのプレイヤーとして活躍する方や、まちづくりの事例を調べてみるのがおすすめです。調べることは、誰でも今日から簡単にはじめられます。プレイヤーの数だけ、まちへの関わり方・アプローチの仕方があります。はじめは、自身が学んでいる分野や、興味のある地域から事例やプレイヤーを探して、自分の関わりたい「まちづくり」のあり方を具体化してみるとよいかもしれません。気になるプレイヤーが見つかったら、事例だけではなく、SNSやWEBサイト等を活用してみましょう。彼らが実際にどんな風にまちと関わっているのか、どのようなことに関心を向けているのか、事例として世に出たその後の動きなどが、少しずつ見えてくると思います。

また、同世代でも異なる領域を学んでいる学生の中に、近しい興味関心を持つ学生がいるかもしれません。今回相談をいただいたAさんは建築を学んでいるということですが、実際に経済学や政治学、社会学、福祉学、観光学などを学んでいる方から、今回と似たような相談を受けることがよくあります。他学科・他学部や、大学の外に目を向けてみると、良い仲間が見つかるかもしれません。

他にも、書店に行けば、まちづくりに関する書籍が多くあります。理論的なものから、幅広く事例が集まっているもの、特定の事例を深く掘り下げたものまで、まちづくりに関わる領域では多くの書籍が販売されています。大きな書店では、理工学系の「都市・工学系」のコーナーと、社会科学系の「行政・地域系」のコーナーに、それぞれまちづくりに関する書籍が分かれて並んでいることが多いように思います。是非、両方のコーナーを見て、気になる書籍を手に取ってみてください。

プレイヤーとのつながりをつくろう

まちづくりの事例やプレイヤーについて情報収集ができたら、次はいよいよ「つながりをつくる」方法を考えてみましょう。WEBサイトやSNSを通じて、気になったプレイヤーの方に直接コンタクトを取ってみるのはひとつの手段です。それは少しハードルが高いな、という場合は、身近なつながりを活かしたり、オープンなイベントなどに参加してみるのはハードルが低く実践しやすいのではないでしょうか。

たとえば、Aさんのように大学生であれば、所属する大学でまちづくりに関わるプレイヤーの方が教員をしている場合があります。所属する学部はもちろん、別の学部の教員であっても同じ大学の学生であれば、話をする機会をもらうハードルは大きく下がります。せっかく所属している大学という環境を、使い倒す気持ちでコンタクトを取ってみましょう。

また、プレイヤーの方はSNSなどを通じて関わっている企画・イベントや講演会への登壇、書籍の出版などの情報を発信していると思います。そういったイベントや講演会などに参加をしてみると、その機会をきっかけにプレイヤーの方とつながりをつくることができるかもしれません。そういったイベントや講演会では、同じような興味関心を持つ社会人や学生などの参加者同士のつながりもつくることができるので、まずは参加者として、気軽な気持ちで「リアルな場」に一歩踏み出してみるのがおすすめです。

まちづくりに関わってみよう

プレイヤーや、同じような興味関心をもつ人とのつながりができると、イベントや企画の情報、ボランティアやインターンの機会、実際のまちづくりの仕事などの情報が自然と入ってくるようになると思います。まちづくりに関わりたい学生を求めている地域はたくさんあるので、学生のうちからボランティアやインターン、アルバイトなどの形でまちづくりに「企画・運営サイド」として携わることができます。イベントや企画の参加者としてだけではなく、企画・運営サイドとしてまちづくりに携わってみると入ってみると、さらにまちづくりへのアプローチの仕方や、プレイヤーたちの動き方、表には見えないステークホルダーや仕組みなどが見えるようになると思います。また、一緒にボランティアやインターンをする学生がいれば、まちづくりへの興味関心を共有したり、情報交換したりといったこともできます。

また、実際に関わることで自分の興味関心がより具体的になったり、大学生のうちに学んでおくべきことが見えてくると思います。そのまちで本当に必要なことや実際にまちづくりを担う上での課題や動き方、自分にできること、自分の好きなこと・嫌いなことなど、自分らしいまちづくりへの関わり方を具体化しましょう。

自分のことを発信してみよう

プレイヤーや地域とのつながりが広がると、さらにまちづくりへの視野が広がります。自分の興味関心や、自分なりの経験や感じたこと、関わる地域や事例のことを発信すると、自分にとっても関わる地域にとってもプラスになります。

SNSやnoteなどを通じて情報を発信することで、近しい興味関心を持つ同世代や、他の地域で活動するプレイヤーとつながったり、まちづくりに関わる機会をもらったりするきっかけになります。

発信する内容は、どんな小さなことでも構いません。あなたが、まちづくりの当事者として経験したことや、プレイヤーと会ってみて感じたことなどを、あなたの言葉で発信してみましょう。発信したい内容に自分より詳しい人がいるのではないかと躊躇する必要はありません。あなたの切り口で、あなたの視点で発信することに価値があります。

仲間をつくり、プレイヤーになろう

さあ、ここまで来たあなたは、きっとまちづくりに関わるプレイヤーです。

既存のコミュニティやまちづくりの活動にプレイヤーのひとりとして携わることはもちろん、地域で活動を起こしたり、コミュニティづくりやイベントの企画に挑戦したりと、あなた自身がプレイヤーの中心として、まちづくりをさらに盛り上げることもできます。仲間を集めたり、資金繰りをしたりといったことが実行できるようになれば、あなたは学生がつながりをつくりたいと考える立派なプレイヤーになっているでしょう。

オンラインコミュニティ・スクールの紹介

ここまで、まちづくりのプレイヤーや同じような関心をもつ同世代とつながるにはどうすれば良いのか、段階を踏んでご紹介してきました。情報収集やプレイヤーとのつながりづくり、まちづくりの実践には、オンラインコミュニティやスクールに参加してみるのもおすすめです。ここでは、いくつかの事例をご紹介します。

・NARU(Green Cities, Inc.)

Green Citiesが2024年8月1日にスタートする“まちづくりで働く”を学ぶコミュニティです。オンラインでの講義や交流の機会を中心に、地域でのフィールドワークやゲストスピーカーを招いた特別講義も行います。

・次世代まちづくりスクール(一般社団法人 地域未来創造大学校)
https://hello-renovation.jp/machi-school

・都市経営プロフェッショナルスクール(プロフェッショナルスクール株式会社)
https://www.ppp-ps.net

私立リノベ学園(らいおん建築事務所)
https://www.renova-gakuen.jp

まちづくりに関わりたい想いを応援しています

プレイヤーになるためのステップはここで紹介したものだけではありません。まちづくりへの関わり方も、さまざまな形があります。まちづくりには、そのまちで暮らす人々や、その地域に関わる人々の想いや力が必要不可欠です。まちづくりに興味を持っている大学生の方は、一歩踏み出して現場に飛び込めば、温かく迎え入れてもらえるはずです。まちのために自分にできることをやってみたいという想いを大切に、是非いろいろなことにチャレンジしてみてください。

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