フードロスにつながる規格外野菜の廃棄問題を解決したいと大学在学中に『OYAOYA』を起業した小島怜さん。野菜を買い求める際には「旬」と「購入する場所」が重要だと話してくれました。
目次
買い方の3つのPOINT
お店に並ぶ野菜はどれもおいしい。旬の野菜を選ぶことがシンプルで、ベストな買い方。
安定しておいしい野菜がどこででも手に入るからこそ、何を買うかよりも、どこで、誰から買うかを大切に。
品種改良や農薬農法などを必要以上に敬遠しない。野菜の持つ、品種ごとの特徴をポジティブにとらえてみよう。
安定しておいしい野菜がどこででも手に入るからこそ、何を買うかよりも、どこで、誰から買うかを大切に。
品種改良や農薬農法などを必要以上に敬遠しない。野菜の持つ、品種ごとの特徴をポジティブにとらえてみよう。
自分の選んだお店と人から、旬の野菜を買うのがベスト。
私は京都府生まれで、農家を営む祖父を持つ友人がいたこともあり、野菜に囲まれて育ち、大学でも農業を学びました。その過程で収穫された野菜の約3割が規格に合わないため廃棄され、食品ロスにつながる、いわゆる「規格外野菜」の問題を知り、それを解決したいと考えました。そこで規格外野菜と伝統的な野菜の保存法である乾燥技術を組み合わせ、規格外野菜を乾燥野菜にして売る『OYAOYA』という会社をつくりました。現在は自分の出身地である京都の野菜を乾燥野菜にして、全国に届けています。野菜を買う際にまず念頭に置いていただきたいのは、旬の野菜を選ぶことです。野菜の旬とは、一年のなかで一番おいしく、そして栄養価も高く、たくさん収穫できる時季のこと。お店に並ぶ野菜は、どれも農家の方がおいしく食べてもらえるよう心を込めて育てたものばかりですから、そのなかでも最もおいしく食べられる野菜を選ぶのはベストな買い方です。
そんな旬の野菜をどこで買うのか。これも重要になってきます。例えばスーパーマーケットに陳列されている野菜は栽培から流通に至るまでの各段階で厳しいチェックをくぐり抜けたものばかりですし、八百屋の店頭に並ぶ野菜には、その店主の確かな目利きが入っています。ほかにも有機野菜を取り扱うオーガニックストア、農家さんが収穫した野菜が並ぶ「産地直売所」や「無人販売所」など場所によって売り手の特徴が表れています。生産技術が発展し、おいしい野菜が手に入る時代になったからこそ、何を買うかだけでなく、どこで買うか、誰から買うかを意識することも大切です。
また、「野菜は自分や家族の口に入るものだからしっかりと情報をインストールしたうえで買いたい」という方も少なくないはず。ですが、そういった方にも品種改良や農薬などを頭から否定する考えは持ってほしくありません。栽培技術の進歩によって、野菜は昔に比べて栄養は豊富になり味もよくなりました。そして病気にも強くなり収穫量が安定するようにもなりました。また例えば、ある野菜の品種においても、栄養価の増強に特化させたり、食感にバリエーションを出したり、糖度の改良で甘さを追求したりと特徴もより細分化が進んでいます。農家にとっては栽培する野菜の、消費者にとっては買いたい野菜の選択肢が増え、野菜を取り巻く状況がより豊かになっていく──。ぜひ、こんなことも考えながら野菜を選んでいってみてください。
こじま・れい●京都府出身。農家の友人との交流などから野菜に興味を持ち、フ―ドロスとなる規格外野菜の廃棄問題を知る。その解決に取り組むなかで伝統的な野菜の保存法である乾燥技術に感銘を受け、乾燥野菜を扱う『OYAOYA』を創業。
text by Takanobu Mihashi illustrations by Yuka Hashimoto
記事は雑誌ソトコト2023年8月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。