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サスティナビリティ

連載 | 森の生活からみる未来

あるヒューマンカテゴリーの存在❷

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 人種や年齢、言語や宗教を超えて世界中に存在する、いくつかの「ヒューマンカテゴリー」。今回はその中の一つ、“スマイル・トライブ(族)”について書いてみたい。

 この種族は特に、黄色人種の日本人がなかなか入り込めない、欧米において非常に重要な存在となる。

 彼らの見分け方は簡単。それはズバリ、「笑顔とウィンク」。これら非言語コミュニケーションツールを通して、彼らはつながり合い、一つのレイヤーを生み出している。

 ここで多くの人が誤解をしてしまうのだが、彼らが活用するこのツールは、接触や場を温めるための、ただのニコニコ顔や挨拶ではない。具体的な気持ちや、確固たる意思を伝えるためのものだ。

 彼らは、この非言語ツールを駆使して、かなり高度なメッセージを伝達する。そして同時に、相手が「同じ種族かどうか」を判別するための“非言語の合言葉”の役割も果たしているのである。

 「ハロー!」や「元気?」という挨拶は言うまでもなく、「気持ちいいね」や「うれしい!」といった感情。そして、「ありがとう」や「ごめんね」という感謝や謝罪、「お先にどうぞ」、「ちょっといい?」、「それダメだよ〜」といった意思表示まで明快に伝えられるという、非常に便利な共通言語なのである。

 前回で書いたようにぼくは、高校3年での1年間の米国留学で英会話を身に付け、その後さらに勉強を続け、英語を使い続けたことで、欧米人と対等にコミュニケーションができるようになっていった。そうする中で、ぼくは「国際人」の仲間入りをした、と思い込んでいた。

 でも、ぼくが“真のコスモポリタン(地球人)”になれたのは、「笑顔とウィンク」を使って、複数の表現ができるようになってから。それは、この国に移住して2〜3年経ってからのことだった。

 スマイル族のメンバーとして認められると、世界は一気に広がる。この種族が特に多いニュージーランドではもちろん、世界中どこでも、笑顔とウィンクを通して「あぁ、あなたはこっち側の人なのね」と、瞬時に受け入れられるようになる。

 何年もかけて、どんなに英語力を磨いても、欧米ではどうしても越えられなかった人種の壁が、ただの笑顔とウィンクだけで消滅してしまう。最初、この事実が衝撃だった。

 一度スマイル族の仲間入りを果たすと、国籍や国境を越えたコミュニケーションが心地よくなり、海外生活と旅が、何倍も楽しくなる。

 彼らと瞬時につながれることが気持ちよくて、より笑顔とウィンクに磨きがかかるようになる。結果、スマイル族として、よりランクアップを果たすことができ、毎日がさらに楽しくなる、という正の循環に突入するのである。

 ただし、忘れてはいけないことがある。欧米のこの「ヒューマンカテゴリー」に入るためには、最低限の英会話力が必要、ということ。

 テクノロジーの進化で、デバイス上でのテキスト翻訳や音声同時通訳の精度がかなり上がってきており、「近い将来、英語力は不要になる」という意見が飛び交っているが、ぼくの意見は少し違う。

 「高度な英語訳」に関しては、デジタルを活用することで、ぼくが習得のために何年もかけたあの大変な労力を、ほかのもっとクリエイティブなことに費やせるようになるだろう。

 しかし、言語には情報伝達のための単なる「記号」という機能以外に、愛や情熱を交換するための「血の通った媒介」という役割があることを忘れてはいけない。

 そして「笑顔とスマイル」こそ、まさにそのために存在しているのだ。

 ぼくは、このスマイル族の共通言語と、「自身の想いや人間性を伝えられる最低限の英会話力」は、AIが誕生した後の“新しい世界”でも、必要であり続けると考えている。

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