坂野 晶さんが選ぶ、SDGsと地球環境に触れる本5冊
今、世界的に、ドラスティックに物事が変化しています。それに伴い、制度や、みなさんの関心も大きく変わってきているという印象も受けますが、一方で、流行りになってしまったら意味がない。ゼロ・ウェイストだけでなくSDGsも同じ。これが本当にしっかりと根付くかどうか、ここ数年の取り組み次第だと感じています。
資源をテーマにということで、まずは、『2050年は江戸時代─衝撃のシミュレーション』を。1998年に出版された本なのですが、2050年は江戸時代のような自給自足の生活をしていると仮定し、その時代の人たちが「祖先はなぜこんなに無駄にしていたんだろう」と、現在の暮らしを過去として振り返りつつ、未来の暮らしを紹介している小説です。昔、ゴミとして捨てていたようなモノをサルベージして使い直すことで、「そもそも資源ってなに?」という問いを立ててくれたり、エネルギーを含めた自給自足が当たり前になった未来の世界が、実は自然と共存していた江戸時代と似ていて、それがいかに豊かさにあふれているか、といったことに気づかせてくれます。今の社会のあり方を過去と未来の錯綜したおもしろい視点から、改めて考え直すのによい一冊だと思います。
『ギフトエコノミー─買わない暮らしのつくり方』は、お金だけに頼らず、いろいろな「モノの交換」という価値交換に立脚して、すべてのモノが資源であり、そのモノが動くこと自体の価値をしっかり捉えていこうという本。とはいえ、資本主義を完全否定したものではなく、「買うこと」や「新品」が「すべての価値」だったところから、ちょっとずつ脱していったほうがいいのではないか、という考え方も提案しています。「買わない暮らし」のために、個人でできるようなアクションも推奨しているので、辞書のようにも使えます。資源とはなにか、ゼロ・ウェイストへのステップを考えていくうえで、ちょっと拡大解釈かもしれませんが、複雑な課題を多角的に捉え理想を考えてみよう、という意味ではすごくいい内容です。