連載 | 犬猫ヤギと古民家と私。~From 安房暮らし Our life ~ | 5
田舎の“無い無い”古民家暮らし。梁がスカスカ!? 無いなら新たな柱を立てるべし!
使える風呂なし、トイレなし、キッチンなしの無い無い古民家に、ヤギのひじきとともに引っ越し、子犬のあわが仲間入り。暮らしながらの改修作業はなかなか進まないけれど、「梁がスカスカ」が判明した今、急いで対応しなければ。大工さんいわく、「梁への負担を軽減するため、手前に新たな柱を立てるか減築するか」。さぁ、どうする?
目次
無い無い古民家の、梁の先端が無い!
わが家の土間から天井を見上げると、太い梁がいくつも見える。土間から外へと出て、屋根を支えていた梁の一つの先端が、朽ちて外に落ちていた。
「おいおい、大丈夫か?」
と心配になった私。家の中に残っているその梁がちゃんと役目を果たしているか否か、DIY仲間のボスに相談して診てもらった。梁を叩いてみると、気にかけていた梁とは別の、土間の壁の一番上に横たわる、素人が見てもとても大切な役割を果たしているであろうぶっとい梁が、途中からスカスカだった……。
早速、DIYチームの仲間に相談。チーム内の本職大工さんの意見は、土間の内側に新たな壁を作って減築するか、新たな柱を立てて手前で支えて梁への負担を減らすかの2択。減築するのは何だかもったいない気がしたので、手前に柱を立てることにした。
新しい柱が到着。まずは柿渋塗り
「いまどき、こんな太い柱手に入らないのでは?」との声もあったが、我らがDIYチームには材木屋さんがいる。そして、最近の家は和室が少なく、なかなか使われる機会がないまま倉庫で眠っていたという木材商の放出品を、格安で届けてくれたのだ。
180mmの6寸角と、120mmの4寸角の立派な柱。自然のままの木肌が美しいが、黒ずんでいる古民家のなかにこの柱が入ると目立ちすぎるので、とりあえず柿渋を塗る。ボスは、柱を建てる場所にコンクリを打って土台を作製。
作業当日、集まったのは大工さんとカメラ女子を含むDIY仲間6人と犬のバーム。さぁ、どうなる?
柱を立てる前に、家が崩れる!?
新たな柱を接合するため土間の上に横たわる梁にほぞ穴を掘り、柱の先端にはほぞを切る。当然、ぶかぶかサイズよりも、ギリギリ入るくらいのぴちぴちサイズの方がいい。その考えがある大工さんは、若干大き目サイズになるように計算してからボスにほぞを切るサイズを指示。同じくぴちぴちサイズを狙うボスも、指示されたサイズよりも若干大き目にほぞを切る。この時点では大工さんもボスも、「これでぴっちり納まるはず」と思っている。
6寸角の柱を土間に運び入れ、立ち上げる。新たな柱を立てる手前でジャッキアップして、土間を支えている梁を持ち上げる。
「ミシミシミシッ。」
そのとき家が揺れ、埃が舞い、見ていることしかできない私はこのまま家が崩れるのではないかとハラハラドキドキ。
柱が土台に乗らない。大工さんとボスがぴちぴちサイズを狙った分だけ柱が長く、お互いに「もしかして?」と顔を見合わせ、その原因が解明された(笑)。
柱が立ったぞーーー!
気を改め、再度ほぞを切り直して男5人指示を出し合って柱をほぞへ差し込み、土台へと乗せる。ぴちぴちサイズを狙っているのですんなり納まらない。ジャッキを使ったり、かけや(ハンマー)を使ったりして少しずつ正常な位置へと追い込む。
「入った~!!」
家が崩れることなく無事柱が立って、ほっと胸をなで下ろす。6寸角の柱を建てるのがあまりにも大変で印象的だったため、4寸角の柱を立てたときのことは全く記憶に残っていない。
柿渋を塗る暇がなかった4寸角の柱にも後日柿渋を塗り、当初は中途半端な場所に立っていて違和感があった2本の柱だが、現在は柱を利用したカウンターキッチンも完成し、柿渋もいい色になってきて全く違和感がなくなった。
この柱を目にするたびに柱を立てたときのことが思い出され、古民家改修のいい思い出になっている。家を改修するのは大変だが、こうしてこの家のあちらこちらに思い出が散らばっているのはいいものだ。