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富山県民が愛する「ブリ」の本気は冬のイナヅマが落ちた後?!

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これからますます脂ののるブリ、本当においしくなるのは「鰤(ブリ)起こし」の雷が鳴ってからというのですが、いつ?どんな風に?豊漁との関係は?

目次

旬の味!脂ののった冬のブリ

▼富山県氷見市漁港に揚ったひみ寒ブリ(写真:富山県氷見市)
▼富山県氷見市漁港に揚ったひみ寒ブリ(写真:富山県氷見市)

冬の味覚といえばブリ。正月にも欠かせない出世魚です。そしてブリといえば富山。県の魚にも選定されていて、「富山湾の王者」とも言われています。私ごとですが、夏に富山県に移住して心待ちにしていたのが、富山の冬の味覚ブリの刺身をおなかいっぱい食べることでした!12〜2月は脂ののったブリの出回る旬到来です!
でもちょっと待った。「ブリが本当においしくなるのは、鰤起こしの雷が鳴ってから」なんですって。
冬に雷!?
関東の太平洋気候の恩恵を受けて育った自分にとって、雷といえば夏のものでしたが、ここ日本海地方では雷は冬にこそ本領を発揮するもののようです!

「鳴ればわかる」といわれるけど、いつ、どれが鰤起こし?

冬の日本海に落ちる雷を「鰤起こし」なんていうのは、富山県や石川県に限られているようです。そもそも、鰤起こしの雷はいったいいつ鳴ったというのでしょうか? 
富山地方気象台に伺ったところ、
「ブリの獲れるシーズンの少し前に雷が鳴ることがよくあり、一般にこれを鰤起こしというのですが、特に定義はありません。いまのところ、雷の観測があったのは11月19日と20日です」
春一番などのように、何か決まりがあるわけではないようですが、「これが鰤起こしだったんだな」、という実感はいまいちありません。今度は氷見市の水産振興課に伺ってみました。やはり、とくに決まりはないけれどと前置きしつつ、
「今年はまだ、どのマスコミさんでも鰤起こしのニュースはないですね。雷といっても最低気温が0度〜2度くらいになって、あられが降るような寒気を伴った冬型の低気圧に伴う雷のイメージでしょうか」
と答えていただきました。最低気温が5〜6度では本格的ではないと。

「鰤起こしが鳴ったから豊漁、は迷信ですよ」

▼氷見漁港、冬のセリの様子(写真:富山県氷見市)
▼氷見漁港、冬のセリの様子(写真:富山県氷見市)

最後に、11月21日に「ひみ寒ブリ宣言」を出し、氷見で獲れた寒ブリをブランド化している氷見漁港にも、少しだけお話しを伺いました。ちなみに、JF氷見のホームページでは、その日のひみ寒ブリ水揚げ情報を見ることができます。
「冬には毎日のように雷が鳴りますから、どれが鰤起こしかといわれましても。言った者勝ちみたいなところはあります」
では、鰤起こしの雷が鳴って豊漁という話はどうでしょうか?
「それは迷信です。追究もしたのですが、関連性はないですよ。真剣に考えない方がいいです」
つまり、昔の人が冬に鳴る恐ろしい雷やイナヅマと、冬に脂が乗って旨味を増すお楽しみのブリを関連づけただけということなんですね。

ブリを起こす

▼氷見のあたりではこんなぶりしゃぶも
▼ぶりしゃぶも、脂で白っぽく、大きな一切れ!

某番組でも登場した俳句の季語「鰤起こし」。なんと美しく美味しそうな季語でしょう!その実態は、富山県や石川県など、北陸地方で独特な冬の激しい雷でした。日中というよりも、わりと真夜中にどかんどかんと地響きを起こし、ビカビカと光る冬のイナヅマ。そして風、もちろん雪やあられを伴う悪天候、荒れる日本海。悠長に俳句を詠んでなどいられません。この地方の冬の雷は、自然の恐ろしさの前に、お経を読みたくなるレベルの大音量スペクタクルなのです!
栄養豊富な富山湾で居心地よく過ごしていた産卵前のブリが、冬の荒天とイナヅマに驚いて「なんだなんだ!」と思ったのかどうかわかりません。とにかく、この雷が鳴る頃に、脂ものり、身も締まった天然ブリのおいしさが本気度を増すということのようです。富山市内のスーパーでは、もちろん県外の養殖ブリも売られていますし、ブリに成長する手前のフクラギやガンドブリもたくさん並んでいます。それはそれで、若い筋肉質の旨味があります。でも、寒ブリの、熟成した大人の魅力には抗えないでしょう!
今週の週間天気予報では富山は雪マーク。14日は初雪も積もっています。これからぐっと冷え込むようなので、もしかしたら来るかもしれません!鰤起こし!
寒ブリの刺身は、ぜひ大根おろしとご一緒に。照り焼き、ぶり大根、ぶりしゃぶ、ぶりかまの塩焼き、それからかぶら寿司。。。プリプリした食べ応え抜群の寒ブリを味わえるならば、恐ろしい雷だって楽しみ楽しみ! 

 

 

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