あなたは知ってた?世界初の缶コーヒー、実は〇〇県生まれだった!

あなたは知ってた?世界初の缶コーヒー、実は〇〇県生まれだった!

最近ではコンビニやカフェで手軽に楽しめるようになったコーヒー。しかし昔は一杯ずつドリップしていたコーヒーを「缶コーヒー」として世界で初めて販売したのは、ここ日本だということを皆さんは知っていましたか?実は世界初の缶コーヒーは、島根県浜田市で生まれたと言われています。その生みの親であり“希代のコーヒーマニア”とも呼ばれた人が独自に編み出した「ヨシタケコーヒー」は、現在も認証者によって受け継がれています。

世界初の缶コーヒーが生まれたまち


浜田市
浜田市三隅エリア/筆写撮影

浜田市は、島根県西部にある人口約5万人のまちです。旭・金城・浜田・三隅・弥栄の5エリアから成り、市内には県内最大の漁獲高を誇る浜田漁港を有しながら、「日本の棚田100選」にも選ばれる山間部もあります。


豊かな自然、海の幸やお米、ユネスコ無形文化遺産・石州半紙、伝統芸能・石見神楽など、紹介したい“推しポイント”はたくさんありますが、島根出身の私が個人的によくご紹介するのは温泉です。日本一の泉質とも言われ、肌再生効果に優れているトロトロとした湯が特徴の「美又温泉」は、美肌の湯として有名。温泉好きの方にはぜひ体験してみてほしい、地元で自慢の温泉です。


美又温泉
写真提供:浜田市

情熱とコーヒー愛で生まれた世界初の缶コーヒー


そんな浜田市で生まれ育ち、世界で初めて缶コーヒーを製造・販売したのが“希代のコーヒーマニア”とも言われた三浦義武さんです。


三浦義武
浜田市内には三浦義武さんの記念碑がある。/筆写撮影

彼はとても熱心にコーヒーを研究し、当初は東京でコーヒー豆の販売を行っていました。しかしそれだけでは飽き足らず、比較的入手しやすい豆を自らブレンドしていたそうです。また淹れ方にも工夫を重ね、独自のコーヒーを追求したと言われています。各界の著名人に愛された東京のお店は、コーヒーの輸入禁止に伴い一旦閉店するも、コーヒー豆の輸入再開を待ち、帰郷後に浜田市内で「喫茶ヨシタケ」を再びオープンさせるほどコーヒーを愛した人物です。


そんな三浦義武さんが製造・発売した世界初の缶コーヒーが、「ミラ・コーヒー」という商品です。


ミラ・コーヒー
1965年(昭和40年)発売の世界初缶コーヒー「ミラ・コーヒー」は200グラム入り、当時の値段で80円で販売されていた。/写真提供:浜田市

当時は缶の腐食が原因で難しかった商品化を、地元・浜田市の缶詰工場に協力を仰ぎ、東京都の製缶メーカーとともに腐食しにくいスチール缶を開発したことで販売が可能になったのだそう。風味はお店で飲むものとほとんど変わらず、2年置いても品質が変化しない極めて完成度の高い製品だったとされ、ここにも彼の情熱を感じます。


独自の抽出方法「ヨシタケコーヒー」とは


現在は「ミラ・コーヒー」を手に入れることはできませんが、彼が研究した独自のコーヒー「ヨシタケコーヒー」は今でも飲むことができます。2015年(平成27年)から浜田市がヨシタケコーヒー認証制度を開始し、認証者が市内の各店で提供しているのです。今回は認証者のお一人でもある衣旗孝枝さんにお話を伺い、ヨシタケコーヒーも体験させてもらいました。


衣旗孝枝さん
cafe ダイニング珈琲時間オーナー 衣旗孝枝(きぬはた たかえ)さん。認証制度設立当初からヨシタケコーヒーを提供しているお一人。/筆写撮影

「ヨシタケコーヒー」は2枚重ねの綾織ネル(布)に大量のコーヒー粉を入れ、常温の水を少しずつ注ぎながら攪拌し、最後に湯を注ぐ、という彼独自の抽出方法で淹れられたコーヒーです。一度でカップ7~8杯分が抽出されますが、ネルの下を縛ることで一滴ずつ抽出されるため、約1時間かけて丁寧に淹れる贅沢なコーヒーなのです。


ヨシタケコーヒー
ヨシタケコーヒー用に作られた特注ネルには、200グラムのコーヒー豆を入れ、約1時間かけて抽出している。/筆写撮影

浜田市HPの「ヨシタケコーヒー」紹介ページによると、その味は「香り高く、コクのある濃い味わいが特徴」と紹介されていました。今回実際に飲ませてもらうと、確かに一般的なコーヒーと比べて酸味や苦味よりコクを強く感じるコーヒーだなと感じました。その理由は、抽出時にコーヒーオイルも一緒に抽出されるからなのだそうです。


ヨシタケコーヒー
抽出時は常温の水を使用。衣旗さんによると「淹れる時のコツは、ネルの中で豆を混ぜすぎないこと」なのだそう。/筆写撮影

またヨシタケコーヒーは常温の水で抽出し、常温で飲むコーヒーという点でも珍しいかもしれません。味が濃いわりには雑味や苦味が少なく、コクが強いので、チョコレートなどの甘みにも負けず、コーヒーの苦味が苦手な私もおいしく飲むことができました。


ヨシタケコーヒー
温めて飲む場合は直接温めず、湯煎で温めるのだそう。夏はヨシタケコーヒーで作った氷を使い、アイスコーヒーとしても提供している。/筆写撮影

ゆっくりコーヒーを飲む楽しみを


手軽にコーヒーを飲めるようになった今、時間をかけて淹れたコーヒーをゆっくり楽しむ時間は、とても贅沢で豊かな時間なのかもしれません。


衣旗さん: ゆっくりと本でも読みながら、時間をかけて楽しんでもらうのがヨシタケコーヒーなんです。コロナ以前はクルーズ客船の寄港イベントで乗客の方々に提供したり、焙煎機をお店に持ってきて、焙煎からコーヒーを淹れるまでを体験できる体験会なども開催していました。


店内写真
cafe ダイニング珈琲時間は住宅街にあるお店。お店の庭からは浜田港が見え、夕日がキレイなのだそう。/筆写撮影

三浦義武さんが情熱を持って研究したヨシタケコーヒーは、認証者によって浜田市内の数店舗で提供されています。コーヒーの好みは人それぞれですが、「今まで飲んだことがないコーヒーを飲んでみたい」「ちょっと贅沢なコーヒーをゆっくり楽しみたい」という方には、ぜひ味わってみてほしいです。


●取材協力
cafe ダイニング珈琲時間(コーヒータイム)
営業時間:9:00~17:00
定休日:土日、祝日(他不定休、お電話でご確認ください)
(ヨシタケコーヒーの提供は金曜のみ)


※浜田市内でヨシタケコーヒーを提供している店舗は、浜田市HPよりご確認ください

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