守られてきたこその、美しい道場。
酒の席をこよなく愛する地元客が毎夜やってくる飲み屋が軒を連ねる岐阜県高山市の朝日町を訪れるたび、通いきれないほどの素晴らしい店々の多さに胸が高鳴る。
そんな朝日町をさらに魅惑的な場所にしているのが『半弓道場』の存在だ。弓で矢を放つことだけが魅力ではない。床に敷き詰められた砂、的場に盛られた垜の美しさ。矢が命中すると、小気味よい音を立てる山中和紙が貼られた的。たとえほろ酔いでも、この場所へ来ると少しだけ背筋が伸びる。創業から約90年、多くの人に愛されてきたがゆえに、守られ、受け継がれてきたことが伝わってくるからだ。
「かつては、日本中の飲み屋街にあった娯楽施設だったんです」と教えてくれたのは、2017年に高山に移住した黒岩直己さん。唯一無二のたたずまい、それを守ってきた先代の姿に感銘を受けて道場に通い続けた黒岩さんは約3年前、事業継承して道場主に。地元の人も旅人も、若者も外国人も大きな輪になって楽しめる未来へ向けて。
黒岩さんが道場主を務める『半弓道場』では、初来訪者には構え方、射ち方の指導もしてもらえる。10射600円(射ち方指導料込み)、2回目以降は10射400円。
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