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連載 | “大継業時代”の担い手たち|齊藤 隆太

未経験かつ未踏の地でカフェ事業を承継!地元に愛され続けてきたからこそ、地域に貢献していきたい【村松大地×齋藤隆太】

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relay対談企画の第4弾として対談をしたのは「事業承継ストーリー#64」にご登場いただいた、「カフェ・カトルセゾン」の村松大地さんです。愛知から秋田県由利本荘市に移住し、「カフェ・カトルセゾン」を引き継いだ村松さん。秋田に住んだ経験もなく、飲食店の経験もない中で、どのような想いで事業承継して現在お店を営んでいるのかお伺いしました。

目次

30歳の節目に新しいことにチャレンジ

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齋藤 よろしくお願いします。秋田寒いですか!?

村松 夜だと5℃とか。寒いですよ。

齋藤 僕は宮崎なのでやっぱり全然違いますね(笑)秋田に移住したのは確か4年程前ですよね。

村松 そうですね。2019年の4月にお店を引き継いでいるので、4年目ですが何とかやっている感じです。

齋藤 素晴らしいですね!もともと、秋田はゆかりのないエリアだったんですか?

村松 妻の祖父母の実家が元々あって、そこが空き家になったので移住しようかという話はしてたんです。妻と結婚したのが2018年で、一度秋田に遊びに来た時があったんですが、すごく惹かれる部分があったんですよね。

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齋藤 どういうところですか?  

村松 妻と街なかを歩いていたとき、まちが静かで。妻から昔はにぎやかだったという話を聞いて、このまま寂れていくのは寂しいなと思ったんです。直感的に、自分もこのまちに貢献したいと感じたのかもしれないですね。

齋藤 由利本荘市のホームページでカフェの後継者を募集している事を知り応募されたんですよね。そのときはどういう気持だったんですか?  

村松 承継者がいなくなって、街の灯りがどんどん消えていくというのを聞いたことがあり、切ないなという想いはありました。自分が30歳になって新しいことに挑戦したいという想いが重なったタイミングだったので、思い切って行動しました。  

齋藤 村松さんご自身は山梨のご出身ですよね?地元に戻ろうとは考えてなかったんですか?  

村松 山梨にかえる選択肢はなかったですね。新しい世界を見たいという欲求が強いうえでの移住でした。会社員を今までやってきたので、自営業もやってみたいという想いもありました。

先代と一緒に舌を鍛えて、だんだんと感覚を掴んだ

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齋藤 前オーナーの堀内さんに出会ったのはいつ頃ですか?

村松 引き継ぐ前年に市の職員の方にお店に連れてってもらって職場体験などをさせてもらったのが初めてですね。それから夏、秋、冬、正月と決断するまでに4回訪れて、堀内さんの家にも泊まりました。

齋藤 自宅にも泊まったんですか!?

村松 そうですね。堀内さんに誘って頂きました。事業承継するにはお互いの腹の内をみないと難しいなと思ったからですね。

齋藤 事業承継をしようと思った決め手は何だったんですか?

村松 飲食に関してはド素人だったので、もし堀内さんが素人NGの方だったら無理でしたね。半年間一緒に伴走してくれて、その間に料理も教えてくれるとのことだったので、それなら自分でも何とかできると思ったのが決め手です。結果的に、技術面など追いつかなかったので、堀内さんには2年半サポートしてもらいました。

齋藤 それだけ教えてもらえれば安心ですね!

村松 堀内さん自身もしのびないという気持ちもあったのかもしれないですね(笑)

齋藤 堀内さんから受け継いだ精神とかやりますか?

村松 堀内さんから「塩一粒でも味は変わる」と言われた時、最初は漫画の世界の話だと思ってしまいました。でも堀内さんから料理を教わり、舌を鍛えて、だんだんとその感覚が理解できるようになってきたんです。嬉しかったですね。手や味の感覚を掴まないとレシピ通りに作っても美味しいものはできないんだと思いました。会社員だった自分は感覚で勝負するということに馴染みがなかったので、驚きでした。

「お客さんに寄り添いなさい」という先代の教え

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齋藤 堀内さんから承継後これだけは残してほしいというメッセージはありましたか?

村松 お客さんに寄り添いなさいということを常々耳にしてきました。お客さんに幸せに快適に過ごしてもらうために努力しなさいと言われました。あと、料理を丁寧に作りなさいとも言われましたね。雑な料理はお客さんの評価は低いんです。

齋藤 そうなんですね。お客さんに伝わるんですね。

村松 見た目はかわっていないんですが、心に余裕がない時に作った料理どこかで抜けているものは売れなくて、集中して作ったものは真っ先に売れたりするんですよね。

齋藤 引き継いだお店は常連客が多いですか?

村松 昔からの常連のお客様は多いですね。引き継いだレシピが思い通りに作れずお客さんに評価されない時期もありましたが、変わらず通い続けてくれました。そうした常連客がいたからこそ、今まで店は残っているんだと思います。

齋藤 愛のムチって感じですね。

村松 移住前の秋田のイメージとしてはよそものに冷たいイメージがあったんですけど、由利本荘市に来てみたら、この土地を好きになってとか嫌いにならないでとか郷土愛を伝える方が多くて、私たちを受け入れてくれる人ばかりでした。お店に来てくれる方には本当に恵まれているからこそ、コロナでも乗り切れたんだと思います。

もう少し技術が身につけばディナーも手掛けたい

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齋藤 今後チャレンジしたいことはありますか。

村松 現在、ランチをメインにしていますが、もう少し技術が身につけばディナーも手掛けたいと思っています。あと、イベントに呼ばれることも増えてきたんですが、地元を大事にしながらも、いろいろな人にもっと知ってもらいたいと思っています。

齋藤 本来、夜も営業すれば売上が伸びるところが高齢で厳しいという部分を、引継ぎすることで新たな挑戦ができるということですね。

村松 由利本荘市では夜に食事を楽しめる場所が少なくて、大体のお店が夜の9時~10時頃には閉まります。だから憩いの場を作っていきたいと思っていて、地域貢献がしたいという気持ちが強いですね。

齋藤 地域貢献への想いというのはだんだん強くなってきたんですか?

村松   そうですね。ここの店が好きで通ってくれる人がいたからこそ、この店は続いていると思っています。そうした人に対しての恩返しをしていきたいですね。

齋藤 これまで事業を経営してみての感想はいかがですか?

村松 コロナ禍での営業で1日ひとりしか来ないこともあって、絶望感も味わいました。個人事業なので、何とかしないといけないという想いでやってきた中で、少しずつ街の人は何が好きなのかとか、こうした方がいいという部分が見えてきた感じです。

齋藤 我慢する時期もあったんですね。

村松 今でも毎日が不安ですね。明日何かあったらどうしようという恐怖感と戦っています。

齋藤 経営者になるってそういうことですよね。この店を譲渡してもらうにあたって、資金面はどうされたんですか?

村松 1年で経営が失敗することもあると思っていたので、基本的には貯めていたお金の範囲内で経営しようと思っていたため全て自己資金ですね。ただし、コロナ対策として少し借りた時もあります。

仲間を作って、由利本荘市を盛り上げていきたい

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齋藤 これから事業承継する方々に向けてアドバイスをお願いします。

村松 新しい職にチャレンジするにあたって、すべての条件を満たすことを待っていると一生チャンスに出会えないと思います。最後のひとつはかけになる部分もあるので、そこに勇気を出せるかが重要です。新しい場所は楽ではないけど、別の視点で挑戦できて、自分の成長にもつながるので、若い人にはどんどんチャレンジして欲しいですね。

齋藤 最後に今後の目標を教えてください。

村松 今はランチだけなのでディナーを提供できるように力をつけていきたいですね。あとは地域の人に本当に助けてもらっているので、地域貢献していきたいと思っています。秋田県は人が減ってきているため、ここでできることはあると思っているので、これからいろいろな仲間を作って、由利本荘市を盛り上げていきたいですね。

齋藤 飲食分野は高齢の人が多い分野なので、ぜひ地域から成功事例としてどんどん露出してほしいと思います。relayでもいろいろなイベントを考えているので、ぜひご協力お願いします。本日はありがとうございました。

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