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場づくり・コミュニティ

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0

「仕事=稼ぐ」ではない、働き方とは。西岡津世志さん

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目次

空いた時間の使い方ではなく、本業でソーシャルな働き方を実践されています!

お話を聞いた人

アメリカ・ボストンにて、ラーメン屋『Yume Wo Katare』創業 西岡津世志さん

横尾 西岡津世志さんは、利益ではなく、「自ら夢を語れるようになった人の数」を経営指標においた、一風変わったラーメン屋、『夢を語れ』を国内外で経営されています。どういう経緯で、そのような事業を始めるに至ったんですか?

西岡 多くの人は21歳になると就職活動を始めます。すると、バンドを組んでいた人も、サッカーに夢中になっていた人も、すぐにそれを辞めて、誰もが認めてくれる就職先を目指していくんです。そして就職すると、もともと抱いていた夢をすっかり忘れてしまう。「夢」をいつまでも抱き、語れるようにするためにはどうすればいいかと考えた時、店名で表現することを思いつきました。ラーメンを食べて、元気になって、夢を語る人の数が増えればいいと思い、経営指標も夢の数にしました。

横尾 海外の店舗では、実際に、お店の中でお客さんが夢を語る時間がありますよね。

西岡 アメリカのボストンの店舗に来てからは、閉店後に店員同士でお店づくりに関しての夢を語り合っていました。そんな時、アルバイトの一人が突然立ち上がり、営業中の店の中で自分の夢を語り出したんです。「これだ」と思い、次の日からみんなで実践。今では、注文を取る時に、お客さんにも「この場で夢を語りたいか」を聞くようにしています。必ずしも語らなくても、他の人の夢を聞くだけでもいいんです。

横尾 事業を通じて、これから実現したいことはなんですか?

西岡 僕たちの事業目標は、自ら夢を語れるようになった人の数、その次に夢を語った人の数、そして夢が語られた数を増やすことです。僕らはラーメン屋ですが提供したいのはラーメン単体なのではなく、「夢を語れる場所」。「誰もが夢を語れる空間が、常に近くにある」ということなんです。そのために、日本国内、世界中に夢を語れる場所をつくろうと思っています。2030年までに全世界につくると決めました。

横尾 最近、「社会の役に立ちたい」と考える人が増えていて、「働き方改革」などでできた時間を使って社会貢献をしようとする人が増えています。でも、そもそも本業が社会の役に立っていることを実感できれば、それが一番いいですよね。どうすればいいですか?

西岡 自分が喜び、相手も喜ぶ商売を追求することです。今の世の中、株やFXなどで一夜にして大儲けすることができます。でも、そうしてお金を儲けても、なぜか嬉しくない。そこで僕は、稼ぎ方にルールを決めることにしました。例えば台湾のお店では、どんなに売れても、1日に150杯しか売りません。売り切ったら、従業員には、休んだり、地域貢献のために時間を費やしてほしいと思っています。

これからは、NPOの時代になると思っています。必ずしもモノやサービスの対価でなくても、年数回、寄付を貰うだけで経営が成り立つ時代です。お金を溜め込まなくても、価値を生み、会社、従業員、地域のみんなが持続可能になる方法はいくらでもあります。いろいろな価値観があってもいいんだという概念を世界に広げていきたいですし、その根本となる夢をつくっていくのが僕らの仕事だと思っています。

取材後記

「夢を語る場の提供が本業で、ラーメンはその演出に過ぎない」ときっぱり語る西岡さん。稼ぐことが目標にならないように、各店の店長には、持続可能な額だけを残し、あとはお客さんや地域のために還元すべしと説いているそうです。NPO的な考え方で経営をされていることが驚きでしたし、これからの会社の一つのあり方を見たような気がしました。「グリーンバードボストンチーム」も運営し、会社と地域の接点も積極的につくったうえで、地域のニーズを汲み上げる取り組みもしています。現在、ハーバード大学などさまざまなところで講演をしていますが、機会があれば、どこにでも出向いてくれるそうです! 思い切って機会をつくり、声をかけてみてはいかがでしょうか?(横尾)

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