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場づくり・コミュニティ

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0

協力隊ネットワークで半島全体の魅力を発信。清成麻理子さん

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目次

今月のまちのプロデューサー

清成麻理子さん

今回バトンを受け継いだのは、女性の創業支援を行う会社に勤めるかたわら、地元の大分県・国東半島の魅力を伝える団体『半島会議』を運営する清成麻理子さんだ。フリーランスとして働いていた頃、豊かな山・里・海があり、歴史と文化の多様性にあふれている半島の魅力にとりつかれて「地域おこし協力隊」として移住。退任した今も、半島のために動き続けている。

東京で生まれた清成さんは専門学校を卒業後、映画美術のデザイナーとして全国各地を飛び回っていた。各地でさまざまな人と交流し、その濃密な人間関係や人の温かみに触れるにつれ、「いつかは田舎で暮らしたい」との思いを深めていた矢先、撮影で訪れた大分に心に響くものがあった。仕事でお世話になった人の紹介で大分県豊後高田市の「地域おこし協力隊」に応募すると、見事合格。Iターンを果たしたのだ。行く先々で地元の人たちにお世話になりつつも、毎回「与えられて」ばかりで帰ることに疑問を感じていたこと、30代になると先輩たちが次々と田舎に移り、生き方の「選び直し」をしていたこと、また韓国への留学で外から日本を見た際、改めて日本のローカルの魅力に気づいたこと……。そんないろいろな思いが一気につながり、移住へと踏み切ったのだった。

普段は国東半島内の3市1町に別々に暮らしている。互いに隣り合う地域を取材する。
普段は国東半島内の3市1町に別々に暮らしている。互いに隣り合う地域を取材する。

豊後高田市での活動に期待を抱いていた清成さんだったが、次第に自分がやりたいことと自治体からのニーズとの間に齟齬を感じることになる。しかし、そんな清成さんを半島の神様は見捨てなかった。県内で行われた協力隊の連絡会で、5人の同志と出会い、お互いのまちを行ったり来たりするようになると、ほどなく、「近隣の協力隊が協力して、半島全体の魅力を発信していこう」という話で盛り上がった。そしてついに、『半島会議』という団体をつくり、「国東半島手帖」をつくるプロジェクトをスタートさせたのだ。地元の人も知らない島の魅力を「手帖」という形で表現し、半島各地で開催される祭りなどのイベント情報や暮らしや文化の豆知識をぎゅっと凝縮した。「将来的には、高校を卒業すると都会に行ったきりになってしまう若者に配りたい。彼らが少しでも地元を思い出し、自信を持って戻ってくるきっかけになれば」と語る清成さんは、すっかりもう「地元の人」だ。

国東半島の山中には無数の石仏、石塔、遺跡が眠る。足で訪ね歩くことも多い。
国東半島の山中には無数の石仏、石塔、遺跡が眠る。足で訪ね歩くことも多い。

これからも地元に広い意味での「生業づくり」をしたいという清成さん。「移住を考えている人は『自分は何が好きなのか』『どういうところにいたいか』といった根本的なことだけを考えて、まずは気になるまちに行き、話を聞いてみてほしい」という。「今後もきっと自分は何かしらで食べていける」という自信と、「多様な人と一緒に地元をよくしていきたい」という思いにあふれていた。

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