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特集 | まちをワクワクさせるローカルプロジェクト

デザイナー|芝田陽介さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

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デザインの力で社会や地域が抱えるさまざまな問題を解決したいと、NGOやNPOの広報支援にはじまり、幅広く活動する芝田陽介さん。デザインを生み出し、多くの人に伝えるために彼が繰り返し読んでいるのは、思考を深める本でした。

私のデザイナーとしての大きな転機になったのは2011年。大学卒業後、ずっと関わってきた広告などの商業デザインの限界を感じていた頃で、そこに東日本大震災が起きました。震災でさまざまな社会の問題や課題が浮き彫りになってきて、それを解決するためにデザインの力を活かしたいと強く思うようになりました。しかし、課題解決にデザインがどう関われるのか、自分の中で答えが見出せず、悶々としていた時期でした。
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(左から)1.『伝わる・揺さぶる!文章を書く』/2.『かかわり方のまなび方』/3.デザイン思考の授業/4.調理場という戦場/5.早川良雄の仕事と周辺

芝田陽介さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

そんな時に出合ったのが、西村佳哲さんの人との関わり方をテーマにした『かかわり方のまなび方』という本でした。西村さんは徳島県・神山町でまちづくりに関わり、働き方、仕事についての著作も多い方です。本をテーマにした彼のワークショップにも参加したのですが、自分の他者を見る目がいかに隔たっていたのかを思い知らされました。その人をその人としてそのまま見ることから関わり方が始まることを、本や体験を通して学ぶことができました。『かかわり方のまなび方』は、西村さんが出会ったさまざまな地域づくりの実践者たちの思考や活動を通して、既成概念や偏見にとらわれることなく、人や社会、地域の本質を見ることの大切さを深めてくれます。デザインの現場でも、課題も関わる人も取り巻く環境もそれぞれ異なります。その個別性に寄り添っていくことがデザインを考えるベースになると思います。
 

実は、私はそれほどの読書家ではなく、学びは日々の仕事や人との関わりから得られると考えるほうです。この数年は、以前に読んだ本を読み返すことが増えていて、この本もそんな一冊です。読むたびにその本に出合い直している感じがします。
 
デザイナーとしてNGOやNPOの広報を支援する活動にシフトしていくなかで悩んだのは、その活動の意義や本質的価値が、なかなか広く伝わらないことでした。伝えるためには、課題や解決の道筋をわかりやすい形で可視化することが必要です。

『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』では、文章を自分の意思で人生を切り開いていく武器としてとらえていて、自分の思いを自分の言葉で伝えることが人の心を打つのだ、と教えてくれました。文章読本ではあるのですが、言葉(文章)を通して未来を描くという考え方は、デザインにも通じると感じています。デザインによって、多くの人に望む未来の姿を示すことができれば、社会を変える力にもなるはずです。

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しばた・ようすけ●デザイナーとして関西を中心に活動。「本質的課題を可視化し、伝わるカタチで伝えられる」ことを目指し、デザイン教育に力を入れている。『スマイルバトン』デザイナー。『課題解決のためのデザイン教育』主宰。趣味はスパイスカレーをつくること。
記事は雑誌ソトコト2022年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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