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サスティナビリティ

幼稚園年長さんとの地球温暖化実験|インターナショナル教育とSDGs 第3回

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持続可能、そして世界で活躍できる子どもを育てる教育を考える連載「インターナショナル教育とSDGs」、第3回目は「幼稚園年長さんとの地球温暖化実験」になります。

前回は、SDGsのS(Sustainable: 持続可能な)を考えるにあたり、「地球にやさしい」とか「地球を守ろう」と言った一見耳に心地よい文言に惑わされず、目標(SDGsのG:Goals)にしているのは、「人間の快適な生活」の「持続可能」性だということをしっかり認識することが大切だとお話ししました。

そして、その人間にもっとも大切な衣食住や水に関して、私たちの学校:ローラスインターナショナルスクール・オブ・サイエンス(以下、ローラス)で実施した「無人島でのサバイバル」というテーマのアクティビティを紹介いたしました。

その中には、人間を含むすべての生物に必須の空気についてのアクティビティは含まれませんでしたので、今回は、空気、特に、近年ホットなトピックである地球温暖化や二酸化炭素に関して、ローラスで実施したアクティビティをご紹介します。

このアクティビティは、幼稚園の年長さん(ローラスでは小学1年生にあたります)が、地球温暖化をテーマに行なった約3か月のプロジェクトの中でのものです。そのプロジェクトでは、まず二酸化炭素の性質や検出方法について学びました。子供たちは、石灰水の入った容器に、スプレー缶に入った実験用の二酸化炭素を入れて混ぜ、石灰水が白く濁ることを実験し、石灰水を使って、目には見えない二酸化炭素の存在を知ることができることを確認しました。その後、自分の呼気を入れて、そこにも二酸化炭素が含まれていることを観察しました。

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次にアマゾンやボルネオなどでの森林火災や、工場などで物を燃やしている様子の動画を見た後、森の木々に見立てた割り箸を容器の中で燃やして、石灰水が白濁することを観察し、物を燃やすと二酸化酸素が発生することを学びました。また、植物をビニールで包み、日中、ビニールの中の二酸化炭素の濃度の変化を計測し、植物が二酸化炭素を吸収してくれることも学びました。これらの実験を含めてクラスの中で、二酸化炭素を減らしてくれる森が減り、人間が物をどんどん燃やしているので、地球上の二酸化炭素が増えていることを知りました。

次は、いよいよ地球温暖化に関する実験です。2つのペットボトルの中に太陽に見立てた白熱灯を置き、一つのペットボトルには普通の空気を、もう一つには二酸化酸素を追加して、ペットボトル内の温度の上昇を観測しました。グループ内で、時間を測る人、濃度を測る人、記録を取る人など担当を決め、毎分毎分、「10 minutes!(10分経過!)」「25℃!」などと掛け合いながら、まるでゲームでもしているようにワイワイ楽しみながら、観測を進めていきました。

各グループ、はっきりと追加の二酸化炭素入りのペットボトルの方が、早く気温が上がるのを観測することができ、二酸化炭素があると空気が温まりやすいことを学びました。私たち先生にとっても、理屈では分かっていたものの、とてもきれいなデータが取れ、嬉しい驚きでした。

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今回のプロジェクトでは、実験を含めた様々なアクティビティを通して、子供たちは、二酸化炭素が、どこでどうやって発生し、どのような性質を持っているか、特に、二酸化炭素の熱をためる性質について学びました。ひとつ注意点として、二酸化炭素が悪者になってしまわぬよう気を使う必要があり、無秩序にものを燃やすことが問題だと認識させるためのフォローアップの授業も行ないました。

このプロジェクトを通じて、森林を守ることの大切さを感じた子が多かった印象です。今後、子供たちが大きくなるにつれ、気候変動問題を含め、様々な社会問題、環境問題について、多くの情報にさらされていくことになると思いますが、その際、安直に情報に流されるのではなく、自分の頭や手を使ってしっかりと考え、判断していけるような人間になってほしいと願っています。

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ローラスインターナショナルスクール・オブ・サイエンス
サイエンス顧問:村上正剛さん

オーストラリア、マレーシア(ボルネオ島)にて環境教育に従事。東北大学、北海道大学の他、カナダやオーストラリアの大学(院)にて、人と自然との関わりや科学技術コミュニケーション等について研究。現在も引き続き京都大学にて研究中。

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